恐慌特集

【日米マネーストック】マネーサプライの推移に注目!

バブル崩壊はいつ起きるのか?バブルが崩壊するきっかけの理由として、今までに下記の7つをお伝えしてきましたが、

本日は、バブル崩壊のきっかけ8つ目の理由「日米マネーストック」についてお話させていただきます。

中央銀行が金融市場に供給する流動性の量も、バブルの膨らみ、崩壊を読み解く上で重要な指標となります。

米国マネーサプライ(M2)

M2とは現金通貨と国内銀行等に預けられた預金を合計したものをいいます。米国の通貨供給量M2は昨年から急拡大し、暗号資産のビットコインからIT株に至るまで、さまざまな市場へとバブルを広げています。

米国マネーサプライ(M2)は2020年5月時点で前年比+23.1%となり、1960年1月の統計開始以来で最も伸び率が高くなりました。この背景にあるのは新型コロナのパンデミックでの経済の落ち込みに対しての、FRBによる大規模な流動性供給策であり、これによって株式のようなリスク資産価格の押し上げがその後継続的に続くことになりました。コロナ禍によって景気低迷が長引けば、資金調達リスクは返済能力リスクに変化するおそれがあり、この点について非常に懸念しています。

ロビンフッターの動きにも注意を

ロビンフッターの大量発生というのも、米国民全員に配られた助成金がきっかけになったことは間違いありません。2020年の最初の助成金がアメリカで配られたタイミングでは、新規口座開設が急増し、銀、小型株、暗号通貨などの、どちらかと言えば裾野に近い投資先に資金の多くが振り向けられたことで、それぞれの価格が急騰しました。

しかし2021年3月に国民一人当たり15万円が配られた資金は、当初想定されていたようには金融市場には向かわず、3月24日に発表された、テスラ車のBTCでの購入が可能になったイーロンマスク氏のツイートにもかかわらず、直後はBTC価格は急騰するも、翌日の早朝には既に元の価格を下回るまで下落しました。

相場の流れが明らかに変わってきているように思います。ゲームストップ株もこの日は35%を超える下落となりましたが、多くのロビンフッターが既に相場で痛い目を見て、市場から退出し始めているのかもしれません。今後のロビンフッターの動きには注意が必要です。

日本マネーストック(M3)

M3とは日本銀行が公表しているマネーストック統計で用いられる指標です。現金通貨と預金通貨の合計に準通貨(定期性預金)とCD(譲渡性預金)を加えたものをいいます。

日銀が発表した2021年2月のマネーストック速報によると、M3の平均残高は前年比8.0%増の1485兆4000億円となり過去最高の伸び率となりました。預金通貨の伸びがM3を押し上げた形です。

新型コロナウイルスの感染再拡大で消費が手控えられ、個人の預金が一段と増えたほか、銀行の貸出増で法人預金も増えたもようです。M3の残高は過去最高を記録した1月からは減少しましたが、これは季節性によるものだと考えられます。M3の季節調整後の残高は、1494兆8000億円で過去最高を更新しました。

アメリカも日本も、さらにいえば世界中で、紙幣がじゃぶじゃぶばら撒かれていることが、M2,M3の急激な伸びを見れば明確です。紙幣が行き場を失い、金融市場に流れ込み、過剰流動性バブルが出来上がりました。

バブルではあるが崩壊にはまだ時間がある

金融市場には慢心と高度の楽観の兆候はありますが、相場を動かすファンダメンタルな要因と景気循環の初期という今の段階は、バブル崩壊にはまだ時間があることも、いくつかの数値からは見て取れます。

①S&P500種株価指数と米テクノロジー株のここ数年の上昇は急激ではありますが、1990年代後半のインターネットバブルのような極端なものではありません。

② 主要なテクノロジー企業およびリテール投資家に広く保有されている銘柄のファンダメンタルな1株利益(EPS)は、市場全体を大きく上回っており、アウトパフォーマンスは優れた成長とファンダメンタルズに支えられているといえます。

③ 高いバリュエーションは長期的なリターンが低くなることを意味しますが、市場全体のバリュエーションバブルを示すものではありません。

④ 投機的バブルは通常、民間部門のレバレッジ拡大と貯蓄の急減を伴いますが、今のところはそうなっていません。ようは借金をしてまで投資をするレベルには至っていないということです。

手元にある現金を使って投資をする分には、相場が下落しても、それを失うだけで済みます。しかし多くの法人・個人を含め、借金を積み重ねて相場にのめり込めば、下落時には全てを失うだけでなく、多くの借金が残ることになります。そういう面では過剰流動性バブル崩壊には時間があるといえます。

ただし気をつけて見るべきものとして、ゾンビ企業で積み上がる社債、ゼロ金利で運用先のない世界中の金融機関が抱える潜在的な不良債権。これが表面化した時には、金融市場が暴落する恐れが高いのです。新型コロナからの経済回復が先に伸びれば、資金が尽きる企業が続出する恐れがありますから。

世界中で発行されるジャンク債、さらにはそれらを組み合わせた複雑な金融商品の総額、そしてマネーストックの過去の推移を検証することで、今後のバブル崩壊もある程度の予測が立てられるのではと考えています。

このシリーズで記載している崩壊指数を組み合わせていくことで、何らかの傾向が見つけられるのではないかと考えており、AI TRUSTでは日々検証を繰り返しています。

バブル崩壊を掴むことができれば?
バブル崩壊への準備・対応が万全にできるのであれば?

バブル崩壊自体を次の大きなチャンスに変えることもできるわけですから。

AI TRUSTメルマガへ登録しませんか?

毎週1回情報をまとめてお送りします。

AI TRUSTでは日々の金融市場に影響を与えるニュースを独自の視点から解説を行っています。是非ご自身の投資指標としてご活用ください!!