失業率高止まりに警戒せよ
新型コロナの感染拡大をきっかけに失われた雇用はすぐに戻らないと考えるべきであろう。
世界中の数億人規模の失業者は以前の仕事に戻れず、新しい職が見つかるまで数年かかる可能性もあり、世界の貧困者数は大きく増加することになる。
詳しくはこちらの「貧困層が拡大する未来」を見て欲しい。
新型コロナの世界での流行が蔓延する中で失業率が何処まで上昇しているのか?
これを主要各国の最新状況をまとめてみたので、各国の状況を理解し、自らの投資やビジネスに活用して欲しい。
香港:失業率5.9%
香港の失業率が15年ぶりの高水準に達した。新型コロナによる経済活動停止や再燃した民主化要求デモが影響した。3〜5月失業率は5.9%となった。
これは2005年4月以来の高水準となる。当時の香港は、SARSの感染拡大からの回復途中にあった。金融危機後のピークを付けた2009年8月ですら失業率は5.5%だった。
アメリカ:失業率13.3%
今回の新型コロナによるアメリカ経済への影響は、所得の低い人たちが雇用の大幅な減少に直面していて、アフリカ系アメリカ人や、ヒスパニック、そして女性の失業がより深刻となっている。そしてこれは経済格差をさらに拡大させるおそれがある。
アメリカの5月の失業率は13.3%と厳しい水準が続いており、中でも所得の低い人たちの雇用環境の悪化が深刻で、経済格差をさらに拡大させることが予想される。
カナダ:失業率13.7%
カナダ統計局が発表した5月の失業率は0.7ポイント上昇して13.7%となり、1982年12月に記録した過去最高の13.1%を更新した。新型コロナ感染拡大に伴う一時解雇が増加し、カナダの失業者の総数は2月から4月にかけて2倍以上に増えた。
カナダ統計局は、一時的に失職した後、元の職場に戻ることを想定して求職活動をしていない人(失業者の定義を満たさない人)を求職者に加えた場合、5月の失業率は19.6%になると推測している。
日本:実質失業率は12.6%?
新型コロナが拡大する中でも日本の失業率は2%台と低水準で推移しているが、その背後には潜在的な失業者が多数いるとの見方が出ている。4月の緊急事態宣言後に外出自粛や営業自粛が進んだ中で、統計上の失業者には含まれない休業者や労働市場から一時的に退出した非労働力人口が急増したためだ。
休業者がすべて失業者に振り替わった場合、4月の休業者を加えた不完全雇用率は11.5%、非労働力化した人も加えると12.6%に達するとも推測されている。
中国:失業率6%の謎
新型コロナの発生源である中国では、このパンデミックの中でも、公式の失業率はほとんど影響を受けておらず、1月の5.3%から直近の6%にほんの少し上昇しただけとなっている。
オーストラリア:失業率6.7%
オーストラリアの4月の失業率は6.2%で、予想よりもかなり良い結果となった。今後は一段と悪化見通しだが、4月予想値である8.3%を勘案すれば、5月の失業率の6.7%も予想を下回る数字と考えられ、世界各国と比較すれば、大きな落ち込みは感じられない。
韓国:失業率4.5%
韓国の労働市場が急激に悪化している。5月の失業率は4.5%に上昇した。その水準は、ムン・ジェイン大統領が就任して以降で最悪の数字となった。
重要なポイントは、就業機会が限られてきた若年層を中心に、働く能力があるにもかかわらず、仕事探しをあきらめざるを得ない状況に追い込まれていることにある。
マレーシア:失業率5%
マレーシア統計局が発表した4月の労働力統計で、失業率は5.0%だった。過去10年で最高だった前月の3.9%から1.1ポイント上昇し、1989年通年の5.7%以来の水準に悪化した。新型コロナ抑え込みのための活動制限令で、4月は多くの企業が操業停止をしたことが大きく影響している。
イギリス:失業率5.8%
英政府統計局が発表した4月の失業率も5.8%と、前月の3.5%から急上昇し、ここ20年余りで最も高くなった。
ドイツ:失業率6.3%
ドイツ連邦雇用庁が発表した5月の失業率(季節調整済み)は6.3%と4月の5.8%から上昇した。
EU:失業率7.3%
4月のEU27カ国全体とユーロ圏19カ国の失業率(季節調整済み)は、前月からともに0.2ポイント悪化し7.3%となった。チェコが2.1%と最も低く、スペインが14.8%と最も高かった。ただし、最新データが未発表のギリシャは、2月時点で16.1%となっている。
台湾:失業率4%
新型コロナの影響で、台湾の4月の失業率が4%を上回った。行政院主計総処の発表によれば、4月の失業率は4.03%(前月比0.31ポイント増)で、失業人口は48万1000人。工場閉鎖による失業者はひと月で3万6000人増加した。
失業率が高止まりする中で行うべき対策は?
アフターコロナの時代にどのように自ら、家族の失業から身を守るのか?これは本当に切実な問題である。人工知能(AI)の急激な進化は今後多くの人の職を奪っていく。工場やサービス業でもロボットが浸透し、職を奪っていく。
特別な技術や資格をとるという選択肢も当然あるが、それには時間もかかるし、コストもかかる。更に言えば、技術や資格がお金をもたらすわけではなく、技術や資格を持つ本人自体の質・レベルが報酬をもたらせてくれるわけで、競争が激しい中で、新たにそこに加わっても、大きな稼ぎにつながる可能性は非常に低いのではないだろうか。
それよりもまずは、誰でも、今の環境の中でできる2つ目の財布を持つこと。これが最重要だということは間違いないだろう。
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