米中対立が加速、双方の領事館を閉鎖
米中対立が深まるなか、中国政府は27日、四川省成都にある米国領事館を閉鎖したと発表した。27日現在、中国政府の担当者らが総領事館内に立ち入り、撤収状況を確認しているとみられる。
米国のポンペオ国務長官は21日、スパイ行為や知的財産侵害の拠点になっているとして、南部テキサス州ヒューストンに中国領事館の閉鎖を要求し、ホワイトハウスは24日までに同領事館の閉鎖を発表した。
21世紀に入り、中国の存在力が国際社会で着実に高まるにつれ、米国の中国への警戒心も着実に高まってきた。そして、今年初めからの新型コロナウイルスのパンデミックは、米中対立を悪化させる決定的要因となっている。
これまで米中対立は主に経済領域で繰り広げられてきたが、上記のように今では外交の領域にまで影響を及ぼすようになっている。米中対立の悪化は今後どんなシナリオを誘発するのか。
米中対立の悪化は今後どんなシナリオを誘発するのか?
まず、現在の米中対立悪化は全面戦争に繋がるのだろうか。全面戦争は昔の戦争のような状態を想像するかも知れないが、その可能性は極めて低い。
経済のグローバル化と深化によって米中も経済的には相互依存関係にあり、全面戦争となると双方にとって自爆行為となり、また、現状では中国の軍事力は米国のそれにはるかに及ばず、過剰な被害は双方とも避けたいはずだ。
軍事衝突になった場合どの程度になるのか?
重要なのは、どの程度の軍事衝突に繋がるかだ。コロナ危機に入り、中国は香港に国家安全維持法を導入するだけでなく、南シナ海や東シナ海、そして中印国境での覇権的行動を加速化させ、日米印豪との関係が急激に悪化している。
日本の尖閣諸島周辺の接続水域では、100日以上連続で中国海警局の船が確認され、最近は中国が日本に自らの領海に立ち入らないよう要求したことが明らかになった。このまま南シナ海や東シナ海で中国の覇権的行動がエスカレートすると、いつかは偶発的な衝突が発生し、極地的かつ一時的にも軍事衝突に発展する恐れが十分にある。
偶発的な衝突とは、2010年9月の中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件が例となるが、漁船の武装化や海警と軍との一体化が進んでいるとされる中では、何気ない1つの衝突が自衛隊や米軍を巻き込んだ軍事衝突に発展する可能性は上がっている。
米中対立により貿易戦争、ブロック経済化が加速
しかし、米中対立の長期化は軍事衝突以上にさらなる貿易戦争、そして相互のブロック経済化をもたらす可能性が高い。これは、米中それぞれがいつどの瞬間で経済依存を放棄するかによるが、香港国家安全維持法にアフリカや中東を中心に世界52カ国から支持が集まったように、中国が独自の経済圏を構築できる空間は以前より広がっている。
そして、現在、インドやオーストラリア、そして欧州主要国はこれまで以上に中国への警戒心を高めており、現在の米中対立は経済領域での二極化、中国圏VS自由民主主義圏へと発展する可能性もある。
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