政治混乱

【 香港の中国化 】香港移民法可決で海外移住の動き加速

2019年から香港情勢激変

香港情勢が動き出したのは、2019年の民主化を求めるデモからです。その後、香港は中国の圧力によって、今までの香港ではなくなっています。現在の香港、そして移民法可決で香港はどのようになっていくのでしょうか。

日本のメディアでは、香港人が世界に助けを求める中、香港デモに関しても大きく報じられませんでした。ただ日本人として知っておくべきところはたくさんあります。

逮捕者続出・国家安全維持法

香港が動いたのが、2019年-2020年香港民主化デモです。最終的には、香港警察が抑えきれない規模になりますが、そもそもの発端は「逃亡犯条例」の改正案にあります。

「逃亡犯条例」の改正案とは、香港が犯罪人引き渡し協定を締結していない国・地域の要請に基づいて、容疑者引き渡しを可能とするもので、これは一定の条件を満たした場合に、容疑者を中国大陸へ移送し裁判にかける機能もあり、「一定の条件」に抵抗を覚えるのも不思議ではありません。

中国側が何を言いだすか分からないとの見方です。これがデモの発端です。しかし、このデモを抑え込むかのように次は、国家安全維持法が施行されました。国家安全維持法のこの部分だけ見ても察しがつきます。

” 国家安全維持委員会トップは香港行政長官、顧問は中国政府が任命。”

香港行政長官の林鄭月娥は中国習近平のあやつり人形とも言われています。そんな人が香港を守れるはずがありません。

そして国家安全維持法により、多くの言論人が逮捕されました。民主化の女神といわれたアグネスチョウ氏も同様です。現在彼女は、刑務所暮らしを強いられています。

香港移民法可決

国家安全維持法や新型コロナウイルスによって、香港への注目度がおさまったかのように見られますが、香港人の暮らしは追い込まれるばかりです。次に香港移民法が可決されたからです。

香港移民法とは、香港からの出国、香港からの入国を制限する法律で、移動する人間を拘束できるという悪法です。4月28日に可決され、8月1日に施行されます。

香港政府は、同法は移民申請から不法移民を見つけ出すのが目的で、移動の自由の権利には影響しないと説明していますが、世界からは、懸念の声が上がっています。何よりも国民が行動を起こしています。林鄭月娥行政長官の支持率は18%、不支持は68%です。(2021年5月27日現在)

ロイター:香港議会が移民法可決、移動の自由制限を懸念する声
https://jp.reuters.com/article/hongkong-security-immigration-idJPKBN2CF1EH

香港の公務員8,500人が退職

2020年から21年の1年間に退職した香港の公務員は8,500人、過去最多となっています。過去最多の1年間の公務員の退職者数が、2006年4月から2007年3月末までの1,400人でしたので、いかに多いかというのが理解出来ます。

ここには、公務員に強要された「誓約書」も関係しているのではないかと考えられます。誓約書は、公務員全員に「中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くす」との誓約書の提出を義務付け、反発が起こりました。公務員は退職金が出ますので、2019年のデモからの一連の流れで考えを改めたのではないでしょうか。

加速する海外移住

公務員だけでないですが、移民法を受け移住から永住を考える人が増えています。今までは少しほとぼりがさめるまで・・という感覚で香港から離れていた人も、移民法で香港を離れる決意をしたということです。諸外国への不動産購入、香港での物件売却を急ぐ必要があります。

既に富裕層は香港から離れていますが、中間層も動いている感じです。ただそうなると、低所得者層が残される状態となります。また、高齢者は香港に残り、家族が離れ離れとなり、2度と連絡が取れない(取らない)状態となっています。仮に連絡が盗聴されていたら、何をされるか分からないということです。

移住先は英国、オーストラリア、カナダが多いようですが、最近ではニュージーランド、シンガポールも選択肢に増えています。日本への移住は、働き場としては日本語が必要であったり、収入面も考慮してもあまり選ばれる国とはなっていません。

タイムリミットは7月31日

香港移民法施行は8月1日。私立の人気中高一貫校退学者が続出しています。理由は当然ですが、「海外移住」です。そうなると香港の人気中高であっても、生徒を確保する必要が出てきます。

この先、経済、治安、雇用悪化は免れることは出来ないと予測されます。実際、8,500人の公務員が一気に抜けて行政が回るのか?ということですね。また、政府への不信感からワクチン接種率も低く、医療従事者でも3割です。アジアの金融ハブの香港が、一気に様変わりしてしまいました。

しかし、ここには日本に住む我々にとっても、他国ごとではない内容があるのではないでしょうか。8月以降の香港情勢にも注視です。

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Hatanaka
投資歴16年。過去には様々な投資案件を行ってきており、為替FX、暗号資産(仮想通貨)分野に精通しており、現在は、トレーダー講師としても活躍中。