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オリガミに見るユニコーン企業の凋落

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オリガミが実質破綻!メルペイが買収

スマホ決済サービス「メルペイ」による同業のOrigami(オリガミ)買収は事実上の救済支援だった。オリガミは日本経済新聞社が2019年の「NEXTユニコーン調査」では、6位にはいり、417億円の価値と算出されていた。

ランキング上位20社の合計は2019年では1兆円を超えていたが、オリガミの実質破綻により、企業価値の算定については、今後は改めて厳しい評価が行われることになるであろう。

人工知能(AI)や、金融とITが融合したフィンテックの分野の企業が上位に集まり、技術革新をけん引しているが、今回のオリガミの破綻により、価値を押し上げてきた投資マネーがしぼむ可能性も出てきている。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドが投資をするWework(ウィーワーク)の昨年夏のドタバタ劇や、既に上場しているウーバーの上場後の株価の低迷、更にはまだ上場していない多くの投資先ユニコーン企業が数々の問題が表面化しており、ユニコーン企業に対しての価値算出は厳しくなり、スタートアップ企業の資金調達はバブルが去り、ようやく通常に戻ったとも考えてよいのかもしれない。

オリガミ買収価格はわずか1株1円

メルカリへの身売りを発表したスマートフォン決済のオリガミの譲渡価格は1株1円だったことが6日に分かった。キャッシュレス決済の先駆者だったオリガミは競争激化により、事実上の経営破綻に追い込まれた形となった。

スマートフォン決済の老舗であるオリガミは1月23日、フリマアプリ大手メルカリのスマホ決済子会社であるメルペイに会社を丸ごと売却すると発表した。両社は売却価格を非公表としたが、複数の関係者により1株1円だったことが明らかになった。

同社の株数は259万株であるため、譲渡価格は総額約259万円だったことになり、実質的には破綻による救済とみてとってよいだろう。

NEXTユニコーンの評価への疑問符

日本経済新聞社が2019年に発表したNEXTユニコーン調査では、オリガミは全体の6位、企業価値は417億円と算定されており、今回の売却価格は市場評価の6/100,000と大きく下回ったことになる。

世界中でユニコーン企業の過大評価が問題視されているが、日本国内でも今回のオリガミの破綻で、フィンテック・バブルが崩壊したと言えるのかもしれない。

オリガミは売却発表と同時に社内向けに大規模な人員削減策を公表し、社員185人のうち約9割にあたる160~170人規模のリストラ策に踏み切ることになった。大半の社員は1月末が最終出社となり、2月末で退職になるという。

オリガミはコスト面の負担が大きい一方で収益が追い付かず、1月中旬の段階で残り数週間で資金がショートするレベルだったようだ。これは規模こそ違えども、昨年10月の段階のウィーワークと同じ状況が見て取れる。

当時はまだ企業価値は5兆円程度だったWework(ウィーワーク)が、翌月末の資金がショートする状況だった。その後、ソフトバンクグループによる1兆円にも及ぶ救済劇でウィーワークは難を逃れた。

収益力を伴う地に足がついた成長の必要性

康井義貴社長をはじめ、オリガミ幹部は資本調達に走り回ったが、出資先が見つからずに八方ふさがりとなり、最後にたどり着いたのがメルカリだった。康井社長は1株1円という破格での売却の代わりに従業員の雇用維持を申し入れたが、従業員の削減がメルカリからの買収条件だったという。

オリガミがしのぎを削っていたキャッシュレス決済の分野は、官民一体による推進と消費増税の緩和策として取られたポイント還元制度などを追い風に、多数の新規プレイヤーの参入が続いていた。

中でもオリガミは、2012年創業でいち早くキャッシュレス決済に進出した業界の先駆者だった。信用金庫の中央銀行としての役割を担う信用中央金庫と資本業務提携を結び、地方の加盟店開拓にも取り組んでいた。

しかし、ソフトバンクグループ傘下のペイペイは、消費者還元キャンペーンを繰り返して顧客を拡大し、それに加えて、ヤフーとLINEの経営統合によりラインペイの顧客基盤が加わり、顧客獲得競争は激化した。ペイペイの加盟店数185万カ所に対して、オリガミは約19万カ所にとどまり、すでに大きく劣後したことが、追加出資先を得られなかった最大の要因だろう。

負の遺産を抱える銀行や証券会社など従来の金融プレイヤーがサービス改革に出遅れる中、イノベーターとして勃興してきたフィンテック・ベンチャーだが、今は何処も厳しい向かい風が吹いている。

ユニコーン企業に期待されるビジネスモデルの変化

これまでは、赤字でも粗利益さえ増やせば資金は後から付いてくるというビジネスモデルだったが、資本力のある超大手の参入により、この後は一気に淘汰が続くことになり、資金が尽きればオリガミ同様の未来が待ち受けているだろう。

ユニコーン、フィンテックベンチャー企業への投資は今後より慎重になり、今までの一番のお金の出し手だったソフトバンク・ビジョン・ファンドが、出資予定先から新規資金を次々と引っ込めるような状況の中では、超大型の資金調達は難しく、新たなユニコーン企業はより絞られることになるだろうし、収益を伴う事業モデルでなければ、資金調達のハードルはより高まることになるだろう。

しかし、これは投資家にとっては決して悪い話ではなく、上場時、既に企業評価、時価総額が高すぎ、前評判だけ高い株を高値掴みさせられるリスクは減ることになる。

市場本来の姿に戻り、上場後、本来の企業の成長力に合わせ、価値が高まる形になる事を期待したい。

そして、ウーバーのように、上場後に株価が低迷した企業であっても、業績が追いつくことで、改めて注目されるなかで株価の上昇が期待できれば、これは個人投資家にとっても大きなチャンスとなる。ウーバーは6日に四半期決算を発表したが、損失額はアナリスト予想を下回り、さらには年内に四半期ベースで初の黒字決算を実現する見通しを示した。

経費削減策が同社の直近の見通しさえも上回るペースで奏功していることを示唆した。2020年に入ってからのテスラ株の上昇は、流石に行き過ぎだと感じるが、ウーバーはこのあと改めて市場で大きく評価される存在になる可能性も高い。

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AI TRUST編集部の為替担当大泉です。FX、為替歴は11年。今までにトレーダーとしても活躍。最近は為替の自動売買ソフトのアドバイザーなども務めており、為替のプロフェッショナル。
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