暗号通貨

Facebookのリブラの進展に注目

FacebookのLibra(リブラ)と米ドルが裏付けされる可能性

フェイスブックの仮想通貨Libra(リブラ)開発を主導するデービッド・マーカス氏は、Libra(リブラ)が複数の法定通貨の裏付けによるステーブルコインだけでなく1つの法定通貨の裏付けによるステーブルコイン開発も目指すことを認めた。

これにより、米ドルを裏付けされる形で開発が進められる可能性が最も速いと考えられる。FRBや米政府との間で、何らかの進展があった可能性も高いこと予想できる。

Libra(リブラ)のホワイトペーパーも文言が新たに追加

「我々は、(これまでの)リブラ=LBRに加えてシングル通貨のステーブルコインも開発することでリブラネットワークを強化する。まずは、≋LBRに含まれるいくつかの通貨(例えば、リブラUSDもしくは≋USD、リブアEURもしくは≋EUR、リブラGBPもしくは≋GBP、リブラSGDもしくは≋SGD)で始める」

昨年6月に発表されたLibra(リブラ)だが、米議会を中心に既存の金融システムに対する悪影響を批判されてきた。新たなホワイトペーパーは、「≋LBRは複数のシングル通貨のステーブルコインから切り離されたデジタル資産になることはない」とし「≋LBRはリブラネットワークにおける複数のシングル通貨のステーブルコインの一部の合成からなるデジタル通貨になる」と述べた。

この形であれば、各国での調整が進めやすいとの判断も当然あるだろうし、当局としても、コロナ蔓延による緊急時だからこそ、世界中で多くの利用者がいるFacebookを使った送金手段の必要性を感じているのではないだろうか。移民、出稼ぎ労働者の送金手段として、また、全国民への給付金の送金・受取手段としても重宝されることになり、需要が大きいことは確実である。

以前は複数の法定通貨バスケットからなるステーブルコインとリブラは説明しており、これに対して各国は、自国通貨よりも通貨バスケットステーブルコインであるリブラに、国民の資金が逃げることを高いリスクと考えていたわけだが、各国の通貨に裏付けされるステーブルコインであれば、この問題の多くはクリアーでき、受け入れやすくなる。

さらにLibra(リブラ)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)との連携も望んでいることを記し、リブラ協会側も、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が現実のものとなれば、リブラの決済システムをアップグレードして公共セクターのイノベーションを支える形になりえる。

新型コロナ蔓延の中、世界の多くの政府、専門機関が後手後手で、機能もしない中で、Amazonやネットフリックスなど、一般企業が世界中の人々の問題解決や、ストレス解消につながったことは間違いなく、フェイスブックのリブラも同様の可能性がある。

Libra(リブラ)はFacebook(フェイスブック)の仮想通貨とよく言われるが、これは正確ではない。フェイスブックが主導することは間違いないが、Libra(リブラ)は、リブラ協会というコンソーシアムが運営し、リブラ協会にはすでに多くの国際的企業、団体が参加し、今後100団体の参加を目指しているという。

リブラは、銀行口座がない人も、金融サービスを利用可能にする

Libra(リブラ)の目的はFinancial Inclusionにある。これは銀行口座を持たない人でも、金融サービスを利用できるようにする取り組みのことを指す。世界では新興国、途上国を中心に、17億人が銀行口座を持っていないのだが、そのうち10億人がスマートフォンを使い、5億人がインターネットに接続できる環境にあるとされる。

貧しい人ほど、金融サービスを受けるためにお金を払わなければならず、手数料も高いのが現実である。これらの課題を解決するのがリブラのビジョンであり、新興国を含めたより多くの人が、グローバルかつオープンに、低コストで送金などの金融サービスを利用できることを目的にしているわけである。

実際どう使われるのかは、予想として考えられることは、国際送金や海外の店舗決済で使うことが、一番メリットが高いと想像できる。法定通貨をリブラに変えると少額の手数料が引かれるため、国内の決済に使うにはユーザーのメリットが小さいどころか、手数料分だけ損をする可能性もある。

リブラ協会にはすでにカード決済会社や世界的なプラットフォーマーも多数メンバーに含まれているので、まずはその周辺のグローバルなサービスから使われはじめるのではないかと予測できる。

Libra(リブラ)とビットコインとの競合化は?

現在、ビットコインは送金手段として用いられるより、紙幣に変わる安全資産の一部として長期保有される割合が高くなっている。そのひとつの根拠として、過去1年間で全体の60%のビットコインは移動、売買をされていない実態がある。

ビットコイン2020年
ビットコインの全体の60%が未稼働という事実ビットコインの全体の約60%は1年間移動していない フィンテック企業デジタル・アセット・データ(Digital Assets Data...

送金手段として各国の通貨価値に裏付けされたリブラを選択し、安全資産としてビットコインを所有する。今後はこの選択を行う人が増えるのではないだろうか?

そして、Libra(リブラ)の利用者が世界中で広がる中で、改めてビットコインが注目され、保有者数が大幅増加することで、ビットコインは中長期的な価値が上昇していくと編集部では予測している。

https://ai-trust.info/2020bitcoin100/