経済ビジネス

【新型コロナ】新興国経済への影響最新状況

ビットコイン価格上昇

新型コロナの感染拡大により新興国からの資金流出が続く中、通貨安が進む国でビットコインへの需要が高まっている。アルゼンチンやレバノンなど、資本規制で外貨が入手しづらい国ではドルに代わる資金逃避先として購入が相次いでいる。自国通貨が不安定な地域では資産として着実に浸透しつつある。

半減期は期待倒れ?

ビットコインは12日に供給量を半分に絞る4年に1度の半減期を迎え注目を集めていた。過去2回の半減期前後は大きく価格上昇していたが、今回はコロナショックの影響もあり、3月半ばには1BTC:5,000ドルを割り込む場面もあったが、5月14日の時点では9,300ドル台まで回復している。

先週末は9,900ドルを超える場面もあり、安値からは既に2倍の水準にある。ビットコインは少額からでも買えることや、アルゼンチンではドルと並び、資産として考えている人が増えていることを現地では紹介している。

自国通貨よりビットコインが安全

デフォルトの瀬戸際にあるアルゼンチンでは現在、外貨の購入は制限されている。闇レートでのペソ価格が年初来から約4割下落する中、資産の避難先として、ビットコインの需要が旺盛になった形になっている。

正確な取引量は確認できないものの、ビットコイン情報サイトのコインダンスによると、5月9日までの1週間の交換業者を通さないビットコイン取引高は前年同期比で5.3倍となり、過去最高を記録した。

新興国債券市場が崩壊の危機に

新型コロナの影響で、新興国では社債不渡りの危険性が大きくなり、海外投資資金が急速に抜け出している。新興国の負債規模が過去最大水準に膨れ上がり、国際通貨基金などから資金提供を受ける国も増加している。

アルゼンチンは9回目の債務不履行の危機に陥るなど新興国発の世界経済への連鎖打撃の懸念も出ている。アルゼンチン内でビットコインへの逃避が続いているが、これは世界の新興国に広がることも予想できる。

社債不渡りの可能性高まる

フィナンシャルタイムズによると、格付け会社のムーディーズは来年3月まで新興国の投機等級社債の不渡りの可能性を8.3~13.7%水準と予想しているとした。既存の見通しは7.8~11.2%で、0.5〜2.5%上昇したことになる。同紙は「不渡り率が13.7%まで上がれば2008年の金融危機当時に記録した13.6%を超える」と伝えている。

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新型コロナの大流行で多くの企業の工場閉鎖が世界で続いている。世界的な需要崩壊まで重なり新興市場企業は収入が減少し収益悪化が加速する。新興国の一部小売業と石油・ガスなどの分野でデフォルトが続くことが予想される。

JPモルガンも新興国の社債の危険度が高まり債券金利が上昇(価格は下落)すると予想している。米国債と新興国の投機等級社債の金利格差は7ポイントまで広がると予想した。既存の金利格差予想値は4.45ポイント水準だったので、2.55ポイント広がったことになる

そこまでの金利魅力がなければ新興国債券に投資家は手を出さないということであり、新規での資金調達は高コストになり、調達ハードルが高まることで破綻リスクが高まるという悪循環に陥ることになる。

下落する通貨

トルコなど新興国の通貨への下げ圧力が一段と強まってきた。新型コロナ対策としての利下げも売り材料となっている。経常収支が慢性的に赤字であり、財政拡大時の借金を海外に依存せざるを得ない不安定さも投資家の懸念を呼ぶ。

アルゼンチンでは海外投資家との政府債務の再編交渉が難航する。各国の不安材料が影響し合えば、新興国通貨の下落局面が長引く可能性もある。

2020年1月13日と5月14日の新興国通貨の価格と下落率

1トルコ・リラ:18.64円 → 15.33円 (18%安)
1ロシア・ルーブル:1.79円 → 1.44円 (20%安)
1アルゼンチン・ペソ:1.84円 → 1.58円 (15%安)
1南アフリカ・ランド:7.64円 → 5.76円 (25%安)
1タイ・バーツ:3.64円 → 3.33円 (8.5%安)
1韓国・ウォン:0.095円 → 0.087円 (8.5%安)

資金の逆流が加速する

先進国各国で行った金融緩和によるマイナス金利の影響で、金利収入を求めて先進国の金融機関・投資家が新興国に押し寄せて来た。

新型コロナの世界的パンデミックにより、投資家の資金を引き揚げが加速している。そして現地通貨からドルに逃避することで新興国通貨安が加速することになるわけである。こちらの記事も合わせて読んでほしい。

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