新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国会議員の歳費を1年間2割削減することが、2020年4月14日に決まった。「国民の窮状を考えたらやったほうがいいということになった」と、与野党幹部は説明するが、ネットを中心に広がった「税金で高収入を得ている国会議員は歳費を返上すべきだ」という批判に屈した形だ。
しかし、「2割返納」といっても実際に試算してみると驚くほど少ないことが明確である。
国会議員の報酬は?
国会議員は月給制であり、129.4万円を歳費月額として受けとっている。(歳費とは、日本の国会議員に対して支払われる給費のことをいう。)
また、国会議員には一般の公務員などと同じように期末手当(ボーナス)が支払われ、その金額は年間で約635万円となっている。この合計を計算すると、ボーナスを含めた国会議員の給料(年収)は129.4×12+635=約2187.8万円 となる。
これは1年間の任期を満了した場合の年収であり、実際には衆議院では解散の可能性があるわけだが、日本人の平均所得が400万円台と考えると、非常に高い給与であることは間違いない。
テレビで放映される国会中継の様子を見ていると、多くの議員は議会中に寝ており、居眠りしながらこれだけの報酬を得られる職は世界中を見渡してもないだろう。そしてこれ以外にも国会議員には様々な手当てが支給されている。
文書通信交通滞在費
これは電話代、郵便代、交通費、東京での滞在費などの名目で支給される費用であり、第二の給与と批判もされている。月額100万円が非課税で支給され、かつ、報告や公開の義務がない。これを含めると国会議員の実質年収は、2,188+100×12=約3,388万円となる。
JR特殊乗車券、国内定期航空券
これは国会議員の特権として、新幹線のグリーン車を含めたJR全線が乗り放題、また、航空機は月に4往復分が無料になるというものだ。文書通信交通滞在費が交通費の名目で支給されていることとJR特殊乗車券、国内定期航空券があることは矛盾しているのではないか。
立法事務費
立法に必要な経費としての各会派の所属議員数に応じて交付される費用
議会雑費
国会が開かれている間に、常任・特別委員長、正副議長等の特別役職についている日人に1日6,000円の雑費が支給される。出席している・してないに関わらず、国会開会日数分の金額が支払われている。
手取り総額は3,360万円?
国会議員も国民なので、歳費と期末手当(ボーナス)には税金がかかる。国会議員は控除などの仕組みが複雑なので具体的な計算式は割愛するが、一般的な国会議員の月の手取りは70~80万円で、期末手当を含めて1年に換算すると2,040~2,160万円となる。
非課税の文書通信交通滞在費100万円は、事務所経費に当てる政治資金としての用途と言われているが、実態は使用先を調査することはなく、これを加えて計算すれば3,240〜3,360万円ということになる。
国会議員の給料は税金から支払われる
憲法49条で「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と定めている。したがって、参議院・衆議院両国会議員の歳費は税金から支払われていることがわかる。そして、公設秘書の給与も国費(税金)から出ている。国会議員は国費(税金)により政策担当秘書、公設第一秘書、公設第二秘書の3人を雇用することができる。
公設秘書の給与は「国会議員の秘書の給与等に関する法律」などで決まっており、おおよそ600万円から1,000万円程度となっており、これが3人なので、約1,800万円〜3,000万円が国から支給される形になっている。
各国の国会議員の報酬を比較すると?
日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国の5カ国の国会議員の報酬を比較してみると、日本人の報酬が突出して高いことが理解できる。
順位 国 報酬(単位 USドル) 一人当たりGDP
1 日本 201,800ドル 38,440ドル
2 アメリカ 174,000ドル 59,501ドル
3 韓国 105,000ドル 29,891ドル
4 ドイツ 102,600ドル 44,550ドル
5 イギリス 91.200ドル 39,735ドル
日本はアメリカの一人あたりのGDPと比較して65%程度であるにも関わらず、国会議員の報酬は116%であり、アメリカの議員の倍近くの報酬を得ていると言える。イギリスと比較すればGDPと合わせて考えても2倍以上となっている。
国会議員別の給料
内閣総理大臣(首相)
内閣総理大臣の期末手当を含めた年間給与額は約4,015万円となっている。
大臣(国務大臣)
国務大臣の期末手当を含めた年間給与額は約2,929万円となっている。
議長・副議長(衆参両議院)
衆参両議院の議長の給料は3,239万円、副議長の給料は2,531万円となっている。
都道府県知事
都道府県知事の給料は一律ではなく、各都道府県によって変わる、平均は2,222万円となっている。
国民と同じ痛みを味わうべきでは
20%の議員報酬削減が実際にはどれだけ小さいかを理解頂いたかと思うが、店舗に営業自粛をさせ、企業にはテレワークを進め、80%の接触削減を国民に求める以上、国会議員は推測される報酬額の3,240〜3,360万円の80%の自主返納を行うべきではないだろうか。
少なくとも、政権を批判し続ける野党の全議員にはその責務があると感じるがあなたはどう思われるだろうか?
今の議員に期待していては、どうなるのか分からない部分が多い。
結局は自分の未来は自分で守るしかない。
今後もAI TRUST編集部として、何処よりも早く自分を守るヒントを皆さんにお伝えし続けていく。この点にも是非期待してほしい。
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