バブル崩壊前の日本とのデジャブ
新型コロナウイルスが広がる中国では、コロナウイルスの広がりが沈静化した段階で、更に金融バブルが大きくなる可能性も高いのではないだろうか。
中国当局は株式市場が再開される前日に、約18兆7,000億円の資金供給を行った。そして3日の取引再開日は2015年以来最大の下げをみせ、1日で78兆円相当が失われた。
しかし、翌日には新型コロナウイルスの広がりは加速する中で、株式市場は落ち着きを取り戻している。当局のコントロールがある程度の成果をみせたといって良いのではないか。
為替市場でも中国人民銀行は4日、前日に続き市場に大規模な流動性供給を行うとともに、人民元の中心レートを1ドル=7元より元高に設定し、市場を支える姿勢を鮮明にした。人民銀はリバースレポで銀行システムに差し引き約6兆2,000億円を供給し、1日の供給額として2019年1月以来の高水準となった。
人民元の中心レートは1ドル=6.9779元で、前日の公式終値よりも元高方向に設定された。人民元は3日に元安が進み、1ドル=7元より安くなったが4日の取引では、人民元が上げている。
日本のバブル崩壊も金融緩和のあとに行った急激な金融収縮に原因があるが、このあとの中国では、金融当局による金融市場に対するコントロールが広がり、バブルが広がる可能性が高いと考えられる。
管理体制を強化する中国
新型コロナウイルスの広がりが収まらない中国では、ドローンを使った監視体制が広がっているようだ。中国・成都市の路上に住民数人が集まって座っていると、小さなドローンが近づいて空中停止すると、話を始めた。
「感染症が広がっているときの屋外麻雀は禁止されています。見つかっていますよ。麻雀をやめて今すぐそこを離れなさい。」ドローンから注意されるのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大抑止に向けたドローンの創造的な活用法だと中国共産党系英字紙グローバル・タイムズが報じたこの動画は、中国以外の人にとっては、徹底した中国の管理体制が、更に強化されていくように映る。
中国政治指導部、共産党本部にとっては、この管理体制こそ誇るべきものと考えているようだが、自由、民主国家に住む住民からすれば、おぞましい世界である。
この件で中国はあらゆる手段を駆使して新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようとしているだけでなく、これを機に世界一高度な監視国家である自らの能力を強化し、誇示、PRしている。
そしてもう1つ、小型で無人の媒体やプラットフォームが、大衆の監視だけでなく、直接的な社会統制の手段としても急速に普及しつつあることが鮮明になった。
ドローンの進化
中国は数十年前からドローンと監視技術に資源を投入し、現在は世界で最も進んだ技術を持っている。見た目や動きを鳩などの鳥に似せた無人ドローンについても、中国が開発中で、国境地帯や、イスラム教徒への弾圧で知られる新疆ウイグル自治区で既に活用中だといわれている。
このドローンは羊の群れの上を飛ばしても羊たちが飛行物体に騒がないほどの性能が証明されている。羊は通常、飛行機に非常に敏感に反応する。
中国政府がこの技術をカメラや顔認識データベースなど、他の監視手段と組み合わせて使おうと考えているのはほぼ間違いない。中国は他に、歩き方の癖で人を認識するシステムなども開発中だと報じられている。
現在は中国もまだ人間による人間の監視に頼っている部分もあるようだが、しかし状況は急速に変わりつつある。人工知能のアルゴリズムと、過去に蓄積された膨大なデータの組み合わせを活用し、自動化されることになるだろう。
監視体制の強化の先にある姿
中国は今回の新型コロナウイルスを壮大な実験の場として活用を広げているようだ。
・世界最大規模の在宅勤務の実験
・ドローンを活用した監視体制の強化
・金融市場のさらなるコントロール
新型コロナウイルスの蔓延を避けるために在宅勤務を進める中、中国企業のIT技術の進化はさらに進むことになるだろう。
ドローンを使った監視体制はシステム毎、同様の管理監視を求める国、組織に輸出されることになるだろう。
金融市場のさらなるコントロールは、中国をさらに大きなバブルに導く可能性が高い。市場の下落を抑えるために資金供給を続ければ、資産インフレ、バブルが発生する。これにより、新型コロナウイルスの広がりが終焉した段階で、中国株は大きく高騰する可能性もある。
中国の新たな金余りが、世界中の資産バブルを再加速させることになるのではないか。
中国株の上昇から広がる形で、世界中の株価も大きく上昇する流れになる公算が高い。
新型コロナウイルスの終焉の見極めが、この後の株式市場で大きな利益を得るチャンスとなるだろう。
ただし、バブルは必ず崩壊する。金融市場をコントロールし続けることなど出来ず、制御不能に陥ったとき、バブルは崩壊し、バブルの規模が大きいからこそ、崩壊の規模も悲惨なものになるであろう。
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