政治混乱

【 緊縮財政から方向転換を 】大阪維新の愚策から見えた、日本の間違った政策

日本が成長しない理由「緊縮財政」

コロナ禍で日本経済が停滞しています。新型コロナウイルスでいえば、感染者、死者数共に欧米と日本を見ても比べ物にならないほど少ない中で、です。ここに日本国民はしっかりと目を向ける必要があります。

今年は必ず衆議院選挙が行われる政治決戦の年で、10月までのどこかでそのような流れとなりますが、これに向けて国民一人一人が現在の政策の間違いなどを理解しておく必要があります。現在、日本経済が停滞している理由はいくつかありますが、大きくいうと「緊縮財政」これに尽きます。

そして、大阪維新の会はこの緊縮財政を活用し、大阪で一気に知名度を高め、不動の地位となりましたが、コロナ禍での対策は大阪を苦しめる展開となっています。この原因も緊縮財政にあります。今回は、緊縮財政とはなにか?ここに焦点をあてたいと思います。

緊縮財政、プライマリーバランスの黒字化は国民が苦しむ政策

「国の借金で財政破綻する」このような脅しにも近い内容を、大手メディアなどの発信で聞いたことはありませんか?実際、有名な大学教授ですらこのような発信をしています。主流派経済学者といわれる方々ですが、まずはこれは間違っています。

間違っているかそうじゃないかの前に、主流派経済学者の言うがままの現在の日本の結果を見て成長しているでしょうか?というのもポイントです。それを受けて間違った解釈をした政治家が舵をとる、これではうまくいくわけがありません。

まず、国の借金などは存在しません。「政府の債務」です。国といえば、国全体、まさに我々があたかも借金しているかのような表現をされますが、新聞やテレビでも小さく、「国の借金は、国民一人あたり800万円(相当)」などと” 相当 “ と書かれています。

これは国民が借金しているわけではなく、ましてや外国からお金を借りているわけでもなく、ただ政府の債務が積み上がっているということです。その債務も政府は通貨発行権があるため、自国通貨建ての国債を発行し、それを日銀(政府の子会社)が買い取るため、なんら問題がありません。

しかし、ここに小泉政権は、プライマリーバランスの黒字化という意味不明な目標を掲げてきました。これは、政府が黒字化するということですが、政府は経営者でも家計簿をつける主婦でもありません。政府が国債を発行し、計画にしたがって財政支出を行うことで日本経済がうるおいます。

黒字化にこだわっていると、緊縮財政となり、政府がお金を使わない状況となります。そうなると当然、民間も投資を減らします。結果、日本は成長しません。これらの間違った解釈が、ここ20年以上続いています。

・プライマリーバランス黒字化は国民赤字化
・緊縮財政は、日本が成長しない
・主流派経済学者の発信自体間違いが多い(過去の日本を見れば一目瞭然)

大阪維新の会が掲げた「身を切る改革」はただの人気取り

「緊縮財政はプライマリーバランス黒字化」がピンと来ない方は、今回のコロナ禍での大阪の現状を知ればしっくり来るかも知れません。当然、大阪だけでなく、緊縮脳である日本全体がよくない流れです。

大阪維新の会は橋下徹知事が誕生して以降、身を切る改革といった行政のスリム化を行い、人口10万人あたりの府職員数は86人と全国最低レベル(ワースト2位)まで削減しています。これはテレビなどで聞くと国民にとって非常に大切で必要な内容に感じるかも知れません。「無駄を削減する」といった言葉で、ここまで削減をし続けました。税金を無駄に使うな!という国民からの後押しで、支持を得やすくなり、実際に維新の会はこれで大きく飛躍しました。

しかし、コロナ禍における10万円の特例給付金の配布の遅れは、全国が終了している中でも3%とのもたつき具合、これは当然人手を減らしたしわ寄せに起因しています。さらにはその公務員の部分に派遣社員などの導入をパソナ会長竹中平蔵氏と進めました。竹中氏は当時維新の顧問、派遣社員が増えれば、パソナは儲かり、維新は削減できるといったお互いにとってWIN-WINの関係のように見受けられますが、果たしてそうでしょうか。

派遣社員のしわ寄せは確実に正規雇用者にきます。これは派遣社員がいい、悪いではなく、組織としての連携が薄れるということです。このような体制となった根源は、身を切る改革、緊縮財政にあります。

大阪府の病床数は激減していた

次に、医療現場のひっ迫という言葉をよく耳にしませんか?これは病床数が確保できないということですが全国でも起こっていますが、大阪は身を切る改革でこちらも削減してきました。

大阪府の病床総数
・2007年:110,840
・2018年:106,920

3,920床減少しています。病院経営は、民間では厳しい側面があります。ICUや感染症病床などコストの高い医療体制を担保するのが公立病院の役割である中、公的病院が赤字という理由で、次々に統合・民営化を加速させてきました。

当然のことでは?と思う方もいるでしょうが、全てが民間企業の考え方である必要はありません。新型コロナウイルスのような有事の際に活躍するのが、公立の役割なのです。ここに政府の財源が使われるのは当然の話なのですが、これを間違った緊縮財政脳で圧迫させてしまいました。

日本は病床数が世界一といっても過言ではない中、このような医療ひっ迫の報道がされる背景には、行政の間違った対応があり、これらが招いた人災ともいえます。欧米と同じ感染者数だったらと思うとゾッとする話です。

大阪で有名なのが、市立住吉市民病院の廃止統合です。府立急性期・総合医療センターと「2キロしか離れていない」という理由で廃止統合されました。198床、本務医師28人、看護師等141人の削減です。4月には「閉鎖病棟をコロナ病棟に」という声も無視して解体したという話もあります。保健所の人員削減も、コロナ禍では対応が後手後手になる原因となっています。

大阪都構想、全ては政治のため

コロナ禍で驚いたことがありました。それは、11月に行われた都構想です。都構想とは聞こえはいいですが、大阪市を解体しようという住民投票です。詳細は割愛しますが、一つ言えるのはこの都構想は2015年に住民投票で否決となっています。それを再度ほじくり返す理由は、政治にあります。

大阪吉村府知事はむやみやたらとコロナ禍でテレビに出て、全国にスピード感のある府知事という認識を根付かせました。その知名度が冷めない間に行う、さらには、解散総選挙を狙った動きとも考えられます。第二波が来るかも知れないのに・・という周囲の声を無視した結果、大阪市民からの反対で否決となったどころか、多くの人手が奪われる展開、そしてコロナ対策など投げやりとなりました。都構想に前回反対だった公明党が支持に回ったところからも、政治勢力の忖度が見え隠れします。

大阪だけではない、日本全体緊縮財政

これらの無駄を削減する動きは、結論として中央政府が緊縮財政であるからという点にあります。地方は財源が限られています。その財源を出すのは、中央政府です。そこをケチられると、限られた枠内でやりくりをする必要性が出てきます。

緊急事態宣言が、東京、千葉、埼玉、神奈川と連盟で要請が出て、政府が受け入れる形となりましたが、あれは東京小池都知事のアイデアです。理由は、東京だけが政府に緊急事態宣言の要請をすると、独自でやれと言われるからです。なぜなら、東京には財源が多くあるからです。しかし千葉、埼玉、神奈川は厳しい財政状況にあるので、1都3府で訴えられると、政府が支出をせざる得ない流れとなりました。

ただ、この部分も冒頭でお伝えした緊縮財政からの転換を政治家が気づく必要があります。財源は限られていません。ここを気づくのと気づかないのでは大きく政策、景気が変わってきます。民間ではどうしようもない部分です。

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Hatanaka
投資歴16年。過去には様々な投資案件を行ってきており、為替FX、暗号資産(仮想通貨)分野に精通しており、現在は、トレーダー講師としても活躍中。