株式

2020年の中国株はどうなるのか?

中国株予想

米中貿易戦争のひとまずの終戦は中国の勝利?

米中貿易戦争はまずは最初の調印により、金融市場には好影響を与え、年初来、世界各地の株式市場は堅調に推移している。

中国株式市場をみると、様々なリスク要因を抱えているが、それぞれが表面化し、大きな問題とならなければ、2020年、堅調に株価は推移することが予想される。

米中貿易協議は第一段階での合意に達している。第二段階の合意は簡単ではないが、協議が決裂する可能性は低いだろう。

米中貿易戦争はトランプ大統領が仕掛けたものであり、その行方はトランプ大統領次第である。そしてトランプ大統領は、11月の大統領選挙を自らに有利にするための材料として最大限に利用することが考えられ、大統領選挙が終わるまではアメリカ経済、株価への影響を考えても、中国側が足元をみて無理な揺さぶりをかけてこない限り、米中貿易戦争は沈静化するであろう。

中国側の思惑は?

中国側も米中貿易戦争をうまく利用しているように思われる。米中貿易戦争は中国に対して対外開放への圧力を強めているが、その外圧を利用して改革開放政策の加速、資本市場の自由化、国際化が進んでいるのだ。

中国国務院は2020年、証券会社、先物会社、資産運用会社などに対する外国金融機関への資本規制を無くすと発表しており、中国の経済成長率は、この30年間で最低となった。しかし、2020年も6%前後の成長率を保つと予想され、14億人の人口規模、世界2位の経済規模、他の先進諸国と比較しても高い成長率を維持することになる。

足元の景気減速を受けて、インフラ投資の拡大、中国人民銀行による預金準備率の引き下げ、特定金融機関に対する貸出金利の引き下げなどが行われることで、景気は下支えされるとみており、その結果、金融機関をはじめ上場企業の業績は大きく崩れることはないことも予想される。

中国証券市場の国際化が進展することで、海外の機関投資家による中国株の取り込みはさらに活発となり、株式指数を中心として海外機関投資家は中国株への投資を構造的に拡大させるだろう。

中国の不動産価格の上昇は現在沈静化したことで、当局の価格抑制策が終了すれば、不動産市場、建築、デベロッパーにとっては追い風となり、株価の下支えの要因となる。

中国株式市場への継続的な資金流入

現在の中国株式市場はここ数年見られなかったほどに投資家の信頼感が高まっており、トレーダーはレバレッジを増やし、ファンドには資金が継続的に流入している。

中国株式市場の証拠金債務は約16兆円を突破し、2018年2月以来の高水準に達している。私募ファンドの株式ポジションは15年初め以来の高水準で、外国人からの買い注文は昨年12月の記録的な流入の後、今月も続いている。

中国株式市場は、現在の世界の金余りが続く中で、アメリカの株式市場と比較して相対的に出遅れ間もあることから、年間を通じて継続して上昇する可能性が高いが、11月のアメリカ大統領選挙の前後は注意する必要がある。

トランプ大統領再選後に貿易戦争再燃のリスクには注意を!

このままいけば、トランプ大統領は再選する可能性が高く、その場合、選挙終了後は再び対中恐慌対策が打ち出されることも考えられ、そうなれば、中国株は弱含みに推移することになり、日本株、アメリカ株も同様に下落するであろう。

日本の株式市場が、中国株式市場の影響を大きく受けることは、2020年は考えられ難いが、米中貿易戦争へのトランプ大統領の発言、行動には継続して注視をしていかなければならない。

2019年の中国株式市場は前半に大きく上昇した後、米中貿易戦争のエスカレートを受けて伸び悩んでいたが、ここにきて両国貿易交渉の第1段階の合意が投資家心理を後押しすることになった。

順調な資金流入を追い風にし、上海総合指数は昨年11月の安値から、1月半ばの時点で約8%近く上昇し、世界の主要株価指数の中で屈指のパフォーマンスをあげている。

大手金融機関のアナリストの多くが、中国株式に対しては楽観視しており、短期的な下げに対しては継続的な追加投資が考えられ、価格は下支えされることになりそうだ。

中国の投資家によるレバレッジ拡大は市場に対する強気のシグナルと見なされる。現在の株式証拠金債務は過去5年間の平均にすぎず、中国株バブル期の2015年に付けた水準の半分未満であることから、レバレッジ拡大余地があることが示されている。

中国元は中国国外への持ち出しが規制されている関係もあり、中国人の殆どは中国国内で投資を行っている。不動産市場は高値圏にあり、更に現在は融資等の規制も強化されていることで、多くの中国人にとっては投資妙味が低いと感じられている。

結果的に、中国国内にも有り余っている資金の多くは株式市場に流れ込み、レバレッジ率が過去のバブル期までの上昇する余地を考えても、2020年の中国株式市場は継続的に強含みで展開するであろう。

ABOUT ME
劉義文
中国で生まれ、その後日本に移住。中国語、日本語、英語と3ヶ国語を話す。中国の大手企業でも働いた経験を持ち、中国でも幅広い人脈を持っており、現代中国の事情に精通している。