大阪都構想において大阪市民は再び反対
大阪市民が大阪都構想に再び反対を突きつけました。政令市としての大阪市が存続する一方、大阪府との非効率な二重行政は制度上、残ることになったわけです。人口減と高齢化が進み、全国の2割の市区町村は2045年の人口が現在の半数を下回るとの推計もあります。効率的で持続的な自治制度を今回の投票で問われたわけですが、残念な結果だと感じます。
将来のリスクを自らのこととして考えられないのか?
今回の投票で大阪都構想は否決されたわけですが、正直言って自分自身が海外に住んでいることもあり、この問題への直接的な理解はあまりありません。しかしシンプルに考えて・・・・
・これからどんどん人口が減っていく
・高齢化がますます進み社会保障費負担が増え続ける
・財政に既に余裕はなく無駄なお金を使う余裕はない
この状況を考えれば、無駄なコストを省くためにも、効率化を進めるべきだと考えますし、都構想が実現してほしいなとは思っていました。
大阪都構想はなぜ負けたのか?
大阪都構想がなぜ負けたのか?大阪都構想が今回も否定されたのは、投票に行くのは高齢者が中心であり、今後の大阪を支えていく若い世代の投票率が低かったことも大きな原因とも言えるでしょう。
今の若い世代には、自分たちが将来の日本を支えるという、意識を持つ層自体が既に圧倒的に少ないのだと思います。豊かさを感じられた、経験したことがある世代ではないことも大きな原因だと思います。バブル崩壊以降、日本人の可処分所得は下がり続けています。年々、生活が苦しくなっている層が増加しているのです。
大阪都構想の本当の目的とは「財源の効率化」
大阪都構想の本当の目的は、大阪市と大阪府がともに手掛けてきた都市開発などの広域行政を府に一本化し、財源を合わせることにあり、限られた財源を大阪府主体で効率的に使うのが狙いでした。
今回の否決でこうした構想は白紙に戻ることになります。松井市長は任期満了で政治家を引退すると発言しましたし、吉村府長もこの件についての再検討は無いと発表しましたので、今回で完全に都構想はなくなりました。しかし人口減や高齢化が進む小規模自治体を含めて、府全体に目配りした成長戦略をどう描くか課題としてそのまま残ることになったわけです。
新型コロナでこれだけ問題が表面化しているにもかかわらず・・・
新型コロナ禍は病床確保や検査受け入れなど、自治体の広域連携の必要性を改めて突きつけています。医師確保や介護なども広域で考えなければ立ちゆかなくなります。政府の推計では、全国の約1700の市区町村のうち、45年の人口が15年比で増えるのは94のみです。
半数以下に減少する自治体は334に上ります。生活圏や経済圏の同じ市区町村でつくる新しい広域的な自治体の形「圏域」が取り沙汰されたこともありますが、市区町村の反発で議論は進みません。人口減と低成長が続けば税収は伸びず、自治体運営は一層厳しくなります。そのとき現在の都道府県や市区町村は残るのか? 非常に難しい状況にあるわけなのです。
このままでは日本の未来は真っ暗
今回の都構想が実現できなかったことを見ると、日本の将来の地方自治体のあり方というか、存続に対して大きな危機感を感じます。存続不可能と思われる地方の街は本当にたくさんあり、どんどん統廃合を進め、公共サービスを効率化させなければ継続などできません。住民の数がどんどん減少する中で、インフラを保ち続けようとすれば、それこそ住民にさらに大きな負担を課すことになり、結果的に街としての魅力は減ることになり、人がさらに流出していくことになります。
本当に地方自治体は待った無しの状況に置かれていること。これはそれぞれの地方自治体だけでなく、そこに住むそれぞれの人にも改めて意識してほしい問題です。だからこそ、今すぐに着手し改善すべき問題なのです。今なら地方の可能性を助成金なども上手に使えば掘り下げられます。
新型コロナ禍だからこそ、地方にとってのチャンスでもあるのです。読者の皆さんひとりひとりにこの点を深く考え、自らに降りかかるリスクを排除し、そしてその上で、そこにあるチャンスを掘り下げてほしいと思います。やり方次第で大きなチャンスとも言えるのです。
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