経済ビジネス

中国も自ら墓穴?アント株上場延期

上場延期、アントに何があったのか?

5日に上場予定だったアリペイのアント株のいきなりの上場延期。これには市場関係者も大きな戸惑いを見せています。この背景には10月24日のマー氏の発言にあったわけですが、香港市場への世界からの資金流入の流れに逆行するような動きを行う中国。

中国の企業は信頼できても、中国共産党のルールに対しては、開かれた資本主義とは全く違うものであり、信頼性には欠けるものだということを改めて意識させられました。今回の経緯を振り返ってみましょう。

10月24日の上海での会合

この日上海では、銀行界の大物や金融監督当局や政府の要人が出席した会合が開かれました。この中でジャックマー氏は監督当局や銀行を公然と批判したのです。スピーチで、国内の金融規制が技術革新の足を引っ張っており、経済成長を高めるなら改革がなされねばならないと主張しました。

中国の銀行はまるで質屋程度の感覚で営業していると率直に意見をしたわけですが、この発言がきっかけとなり、最終的にはアリババ傘下の電子決済サービスであるアリペイを運営するアント・グループの上場が、一時延期される事態へと発展することになったのです。

馬氏が批判を浴びせた金融監督当局や共産党幹部らは感情を害し、馬氏の成長戦略を押さえにかかりました。この一番のポイントが3日発表されたアントの上場延期だったわけです。アントは5日に上海と香港で新規株式公開を実施し、370億ドルを調達する予定でした。

やはり共産党の前には自由発言は通用しない

ジャックマー氏は自らの意見を率直に述べたわけですが、やはり中国共産党、共産党幹部にはそれは通用しなかったということです。複数の当局高官は馬氏の批判に憤激し、顔面をひっぱたかれたような発言だったという怒りの声もあったそうです。

規制当局は、アントがオンライン融資サービス「花唄(Huabei)」を含むデジタル金融商品を使って、若者や貧困層に借金の拡大を促してきたなどと記した報告書の作成に着手しました。一方で国務院弁公庁は、ジャックマー氏の発言に対する「一般国民の見方」を報告書にまとめ、習近平国家主席ら政治指導部に提出しました。政治指導部は、この問題への関与を強め、アントの事業活動を徹底調査するよう指示しました。これがIPO延期につながったというわけです。

年内上場は不可能か

関係者の話では、アントのIPO手続きが近く再開される可能性は低く、少なくとも数ヶ月は上場実施は見通せないようで、年内の上場はなさそうです。規制当局が同社の監視強化を徹底化させ、自らの意図、共産党戦略に従わせることが目的でしょう。

ジャックマー氏が政府の優先順位が変わったことを正しく判断できておらず、金融監督当局に異議を唱えても中央政府が後ろ盾になってくれるとまだ信じていたとも指摘されています。中国共産党はアリババ、アントを世界への金融戦略上の武器として使う上で、あくまでも共産党の戦略の上で、自らの掌の上で行うということなのでしょう。

大きな構図で考えれば、今年になって中国政府は、新型コロナのパンデミックでシステミックリスクが発生するのを予防するため、中国の金融セクターをてこ入れし、規制も厳格化することを主要目標の一つにしていました。

今回の馬氏発言が物議をかもす前から、アントがコストのかかる銀行規制を免れながら一連の金融サービスを幅広く展開していることに、当局が徐々に厳しい視線を向けるようになっていたようです。特にアントの収益源の1つで、急成長を続ける消費者向けオンライン融資事業への警戒感が高まっていました。IPO延期は、次第に悪化していった馬氏と規制当局の関係が究極まで冷え込んだことを物語っています。それでもアントは、今回の規制を受け入れると約束する声明を公表しました。

中国共産党が失った信頼は?

今回のアントの上場により、改めて中国共産党による様々なリスクを感じた投資家も多かったと思います。香港の金融市場では事前に既にアント株の予約売買も高値でされていましたが、それらの投資家はババをつかまされた形にもなりました。

では香港、中国へ嫌気が差し資金が逃げていくかといえば否。世界中で有り余る資金は常に効率の良い行き場を求めています。新型コロナが北半球で大流行しているにもかかわらず、世界中の株価は上昇しています。

正直既に理解不能の状態でもありますが、過剰流動性資金の勢いがそれほど強いということであり、米ドル及び紙幣への信頼がどんどん失われているということなのだと思います。

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【AI TRUST編集部】大泉
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AI TRUST編集部の為替担当大泉です。FX、為替歴は11年。今までにトレーダーとしても活躍。最近は為替の自動売買ソフトのアドバイザーなども務めており、為替のプロフェッショナル。
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