人生

財政悪化の中で将来の年金は本当に大丈夫なのか?

新型コロナ禍で改めて年金問題を考える

新型コロナの感染拡大が続く中、様々な財政支援策を講じていますが、それに比例して財政は急速に悪化しています。更には新型コロナの後遺症問題は日本ではまだあまり話されることもありませんが、世界ではかなり深刻な状況になっています。

感染症として後遺症についても国が費用を負担するようなことになれば、財政はさらに悪化し、現在の社会保障が今のままで保たれることは考えにくいです。改めて最新のこの問題についてまとめてみました。そしてそこから個人がどのように備えれば良いのか?この点についてもまとめてみることにします。

年金問題とは?

少子高齢化の進展により高齢者(年金受給者)の比率が急増し、積み立てられた年金原資の運用利回りの低下で公的年金の運営状況が悪化している問題を言います。現在、生産年齢人口3人当たりで1人の高齢者を扶養していますが、少子高齢化が進展し、遠からず2人で1人の高齢者を扶養することになると予測されています。

こうした状況の中で年金制度を維持していくためには、年金保険料を引き上げて国民の負担を増やすか、高齢者に対する年金給付を下げるか、の2通りの方法を組み合わせなければなりません。例えば年金の支給開始年齢を引き上げたり、年金受給者が年金を辞退できるしくみを設けたりして、支給額を抑制する仕組みがますます必要となります。

また基礎年金に対する国の負担率を3分の1から2分の1に引き上げるとともに、保険料負担を今後も段階的に引き上げる必要もでてきます。しかし、常に対応が後手後手になる中で、若年世代ははじめから年金はもらえないと諦める人たちも多く、2018年のデータでは、国民年金の未払いは32%を超えており、特に若い世代での未納者が増えています。そして昨年からの新型コロナ禍の影響により、未納律はさらに大幅に上昇することも予想されます。

2,000万円問題を振り返ると

2,000万円問題の発端は、金融庁の金融審査会がまとめた報告書からでした。収入を年金のみに頼る無職世帯のモデルケースでは、20~30年間の老後を生きるために約2,000万円の老後資金が必要になると記していました。総務省などが実施した調査によると、夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯における平均的な実収入は月額約21万円ですが、消費支出は26万4,000円ほどになるとみられており、毎月約5万円の赤字が出ることになります。

30年間で、5万円×12カ月×30年=1,800万円の赤字が出る計算で、この赤字分は貯蓄から補填する必要があるだろうというのが報告書に書かれた内容でした。。その後、2,000万円問題に対しての政権の対応は皆さんも知っての通りであり、この問題は既に黙殺されたかのようです。そのような中で2020年、年金改正が行われました。

2020年の年金改正のポイント

①年金加入者が増える

2020年に年金改正が行われましたが、年金に加入する人が今後増えていきます。今まで厚生年金の加入対象ではなかった方が、対象に含まれるようになります。例えば、パートなど短時間勤務で働く方は、勤務先が従業員500人以下の事業所の場合、今までは基本的に対象ではありませんでした。しかし、この従業員数の基準が、2022年には100人以下、2024年には50人以下に変更されます。国は、この変更で厚生年金加入者が65万人増えると推測しています。また、企業の確定拠出年金やiDeCoも、加入できる上限年齢が上がるなど、利用者が増えやすいように加入要件が変更されます。

②年金の受け取り開始時期の選択肢が増える

老齢年金を受け取り始める時期は、今まで60~70歳の間で選択することができました。改正後は60~75歳から選べるようになり、選択の幅がより広がります。厚生年金や国民年金だけでなく、企業の確定拠出年金やiDeCoも同様です。この改正については勘違いされる方も多いのですが、「75歳まで受け取れないようになった!」というわけではなく、あくまで「75歳まで選べるようになった」ということです。

③働きながら老齢年金を受け取る人の支給停止基準が上がる

働きながら老齢年金を受け取る場合、年金と給料の合計が一定額以上になると、年金の一部が支給停止になるという制度があります(在職老齢年金)。これまで「働き損」「高齢者の働く意欲を下げる」などと言われることもありましたが、年齢が上がってからもずっと働き続ける人も増えている現状を反映して、この基準が変更になりました。具体的には、60~64歳の労働者の支給停止になる基準が、今までの「月28万円」から、65歳以上の労働者と同じ「月47万円」まで引き上げられます。

④今後も年金改革は加入者に不利益な形で進むと覚悟すべき

今後も少子高齢化が進む中で、保険料収入の増加のための加入対象者拡大の改正や、長い期間働いてもらうための方策が進んでいくことになるのは確実でしょう。高齢者の人数が膨れている逆ピラミッドの人口体系が変わらない限り続くと考えるべきでしょう。また、年金の給付についても、低所得の人への給付はそのままにして、高所得の人への給付額の抑制が進むことも考えておくべきでしょう。

5年に1度の財政検証で、将来へも続く安定した年金支給のために、政府は制度を改正してきており、今後も間違いなく改正は続いていきます。年金がなくなるリスクは一切無いでしょうが、安心できる老後を送るためには、個人個人で年金以外の老後資金を確保していく必要があります。

そして大きなリスクとして今後考えられるのは紙幣の刷りすぎによる紙幣価値の下落です。既にコロナ禍の中、資産インフレが大きく起こりました。紙幣からの逃避が進み紙幣価値が大きく下落することになれば、もらえる年金額が変わらなくても、その年金で買えるものが大幅に減ってしまいます。国とすれば、そうなれば支払い負担が減ることになりますので、年金問題が、受給者である国民にとっては厳しい形で解決していくのかもしれません。

年金問題への対策は?安心できる老後を送るためには?

当たり前で、誰もがわかっていることではありますが、改めて現状のリスクを理解し、そこから自らを、家族を守る方法を実践していく必要があります。

① 慌てることも、焦ることなく、時間を活用し、味方につけ、強く賢く生き抜く力をつける
② 年金以外の老後資金がなくても、お金を稼ぎ出す知恵、実践力を作る
③ 創意工夫、仕組みを活用し、お金のかからない生活を実践する
④ 常に健康を保ち、病気にならないことで、医療費がかからない肉体作りをする
⑤ 長期分散積立手法を用い、米優良株、ビットコイン等で自己年金を作る

まずはこの5つを実践していきましょう。