お金の話

格差社会が引き起こす問題②

格差社会の問題についてシリーズ2つ目となります。

前回の「格差社会が引き起こす問題①」はこちら。

今回は医療と健康をテーマに4つの格差についてまとめてみます。

健康格差

今回の新型コロナで健康格差問題は世界中で浮き彫りになっています。病院にかかりたくてもかかれない。以前の日本であれば考えにくかったことが現実的に起きているわけです。健康格差とは所得や学歴、職業と言った様々な要因から健康状態に関して生じる格差のことです。

低所得者の死亡率は高所得者より3倍高いといった健康格差や、男性ではパートタイマー、女性では派遣・契約社員が、最も高い割合で心理的ストレスを感じているといったように、雇用形態によっても健康格差が生じています。他にも所得や学歴、職業といった要因において社会階層の高い人ほどうつ病の発症率、生活習慣病の発症率が低いといったデータがあり、様々な要因から健康格差が生じています。

医療格差

医療格差とは所得や地域といった要因から、我々が受ける医療に格差が生じている現象のことです。日本は社会保険により医療費の一部を負担するだけで済むため、アメリカなどの諸外国ほど所得に関する医療格差は小さいと言われていますが、地域による医療格差は生じていると言われています。例えば、同じ日本国内であっても過疎化が進むような地域では、ある程度設備の整った病院に行くまでに数時間かかることもあります。また、離島などでは病院はおろか診療所さえないといった地域も存在していることから地域間で格差が生じています。

高齢化社会が特に地域で進む中で医療不足というのも、今後はますます深刻になりそうです。新型コロナによる世界での看護師の死者数もすでに相当数に上っていますが、医療、介護の人不足が深刻になったとき、ロボット、人工知能がこの分野でその人不足を補うだけの技術革新が進むのか?これも時間との戦いだと思います。ワクチン開発に成功したとしても、実際に世界中の多くの人にワクチンが接種されるまでには、最低でも1年以上はかかるでしょう。まずは何より健康であることが最も重要な対策方法となりそうです。

教育格差

教育格差もこの20年の間に大きく開きました。そして今後はますます開くことになるでしょう。非常に厳しい現実ですが、今のアメリカが進んだ道のあとを、今の日本は進んでいるように思います。今回の米大統領選挙では、国民の分断がアメリカでは顕著になりましたが、日本の将来も不安になります。

教育格差とは家庭や地域など生まれ育った環境により教育に関して格差が生じていることを表す言葉です。例えば、親の所得によっても教育格差が生じています。貧困層の中には経済的な理由から、大学や専門学校などの高等教育への進学を諦めている子どもがいる中で、富裕層はそういたことがないだけでなく、幼少期から学習塾や家庭教師と言った教育を受けることで、効率的な学習を受けることができています。

東京大学に入学した親の世帯年収は950万以上が半数以上であったことから、実際に所得差によって教育格差は生じています。また、教育格差は所得だけではなく、地域によっても生じています。例えばネイティブな英語を話せる人材も都心では確保しやすいのに対して、地方ではそういった人材を確保できないことも多く、教育を受ける子どもに差が生じているのです。

学力格差

学力格差とは、教育格差の内の試験などを通じて、測定可能な学力と言った点において生じている格差のことです。そのため、経済的な理由から進学できないと言った差は、学力格差には含まれません。また、学力格差は、同じ学校に通う同年代・同学年の間でも格差が生じていることを表す際にも使用されます。学力格差も教育格差も、子どもが社会人になり、収入を得るようになった際の所得格差にも影響を及ぼすため、格差社会における大きな問題の1つとなっています。

この問題を解決するためには、まずは高校卒業までの教育費用の無償化が必要でしょう。そして更には、地方においては特にITの教育での浸透が重要になると考えられます。ウェブを活用し、遠隔で教育を行うことに慣れれば、都会と地方という格差は埋められるでしょう。そして親の資産による教育格差の多くもIT活用、教育無償化によって多くを埋められる問題だと思います。高齢化社会が急速に進む日本では優先して取り組むべき課題であることは間違いありません。

そして教育・学力問題に関しては、国や自治体に頼るのではなく、それぞれの家庭で解決できる問題でもあると思います。子供たちの将来の選択肢を増やしてあげることは、結果的に両親や祖父母の将来の安全弁にもなるわけです。優先順位をあげて各家庭で取り組みたい問題ですね。合わせていうとすれば、子供に対してお金の教育もしてあげることが、これからの社会では必要条件になると考えられます。