日本のズサンな新型コロナウイルス対策
日本では、3月26日現在緊急事態宣言が解除されています。しかし、東京や大阪などでは、飲食店に対しては「時短要請継続」です。営業時間は、20時から21時に1時間伸びている反面、協力金は6万円から4万円に減少。まず感染者を抑え込んでいる素晴らしい国、日本・・ は、もうありません。
今回は、日本政府のズサンなコロナ対策から、この先予測される倒産ラッシュについて解説します。
行政の強引さに飲食店が訴訟
まずおかしいのが、時短要請に対して応じない飲食店に対しての命令や過料(30万円)です。ご存知の方も多いと思いますが、かんたんに説明すると「飲食店は営業時間短縮してくださいね、従わないなら過料(いわゆる罰金)を命じますよ」という内容です。
店舗をやっていない立場の方からすると、「感染抑止だから仕方ないかな」と考えられるかも知れませんが、6万円という協力金(今は4万)が一律で支払われている点、飲食店からの感染の根拠が明確に示されていない点から、飲食店の狙い撃ちに反発する店舗も増えてきています。
そんな中、都心で飲食チェーンを展開するグローバルダイニングが、” 時短営業の命令は違法 ”と主張し、都に対して1店舗あたり1日1円、計104円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。金額から見て日本の行政の対策に対しての「問題提起」と考えられえます。当然、企業側は死活問題ですし、従業員の生活がかかっています。今後、リアルな訴訟は出てくる可能性があります。
緊急事態宣言の影響
今年に入って、2回目の緊急事態宣言が発令されました。比較的緩い規制とは言われていましたが、影響は、出はじめています。
コナミスポーツ閉店続出
・3月22日:コナミホールディングス傘下のコナミスポーツが16店舗の追加閉店を明らかにした
・2月末に6都道府県の9店舗を閉店、今年だけで閉店は25店舗
沖縄初の大型倒産
・ホテル運営「フェリーチェ」負債36億円
・負債総額が10億円を超える大型倒産
アパレル大手のワールド450店閉店
・店舗全体の2割強にあたる450店を来年3月までに閉店
・グループ会社2社で約100人の希望退職を募る
京都のゲストハウス管理会社が倒産
・計78施設を管理運営する不動産開発会社レアル
・負債総額は約18億2800万円
まだ序章・大爆発の前触れ
実は、意外なことに、直近の倒産件数は減少傾向です。東京商工リサーチにより、2月の全国の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比31.5%減の446件、2月としては過去50年で最少となっています。
コロナ禍で過去最少?ここにはあるトリックがあります。それは公的資金です。金融機関の実質無利子・無担保融資、飲食業にへの時短協力金が資金繰りを下支えしているのが現状です。
ただ、これは需給のバランスをおかしくします。供給能力は保てているものの、需要が上がらないと結局は見せかけの下支えで、崩れてしまう可能性があります。
倒産と失業はセット
倒産が増えれば、失業も増えます。協力金をもらった後は、店を畳もうと考えている店舗も多いのではないでしょうか。アルバイト1人雇っていれば、その方は失業者になります。すぐに次の働き先が見つかればいいですが、失業中は消費を控えるようになります。そうなると国内総生産(GDP)は悪化し、日本経済全体にとって当然いいことはありません。
コロナ禍で、ウーバーイーツが流行り、そこで生計を立てる人も増えていますが、3月から京都市と福岡市で試行している新たな報酬体系では、改悪された状況となっています。配達1回あたり120円台~300円前後ばかりで、従来より2~3割減、そしてウーバーの配達員は、ウーバーのスタッフではありません。
このような個人事業主の体制は、各企業にも入り込みつつあり、雇用状況の改悪が見られます。企業側からすると社会保険料などの削減が狙いです。
問題は、粗利補償をしない日本政府・財務省にある
政府の政策で支えられている現状は問題がありますが、他国でも同様に行われています。ただ、英国では8割を補償したり、米国でいえば3回に渡る個人給付金やインフラ投資など、コロナ対策としての支援策が明確に行われています。
協力金6万円一律が正しいか、正しくないかでいえば、事実として大手企業は苦しみ、個人店は潤う状況となっています。大手企業は倒産に追い込まれ、個人店はコロナ収束後、客足が戻るのか?という点は疑問が残ります。
粗利補償で各自、身の丈に応じた対策が取れるのが理想と考えますが、厳しいのでしょうか。この辺り、行政の本気度が今後の日本経済の未来を握っています。

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