恐慌特集

過剰流動性バブル崩壊に備えよ!!②

前回の「過剰流動性バブル崩壊に備えよ!!①」からの続きとなります。

過剰流動性バブル崩壊が迫る3つ目の要因は「金利急騰による悪影響」があります。

米長期金利は5月に入って3年5カ月ぶりの高水準となる3%台まで上昇し、債券価格は急落しています。

金利急騰による悪影響

これは2021年末からほぼ2倍の水準であり、金利上昇は企業や家計の借り入れコストを増やし、先々の経済を悪化させる要因となります。

※2021年からの金利の推移(参照元:モーニングスター)

企業は設備投資や自社株買いに慎重になります。2020年の過剰流動性バブル発生の後、アメリカの上場企業は低金利の借入で多額の借入を行い、その資金を使って自社株買いを積極的に行いました。

自社株買いは株式の流動性を低めることになり、株価の高騰につながります。

金利を利用して一番稼いだ人はイーロン・マスク

企業経営陣は自社株買いにより、目先の株価を上げ、それによって自らの報酬(ストックオプション等)を大きく増やし、資産を増やしました。

これを最も大きく成功させたのはイーロンマスクです。彼の資産の多くは、Teslaの業績向上、株価向上で得たTesla株なのです。

この後は日米間の金利差拡大で換金売りも増える

この後は金利が継続的に上昇する中で、自社株買いを行う余力のある企業はどんどん減ります。

高金利での借入は先々の支払い負担増加となり、結果的に企業の業績を下げるリスクを高め、資金繰りを悪化させるリスクも高まります。多くの企業が自社株買いに慎重になります。

低金利時代、金余り時代と今では、真逆の回転がこのあと続いていくのです。日銀はあくまでも今の低金利の姿勢を貫いていますが、日米間の金利差拡大は円安を継続加速させるでしょう。

その中で物価は確実に上昇しますから、日本人の懐事情はどんどん厳しくなります。やむにやまれぬ換金売りも増えることになり、金融市場の全方向的な売りが起こり、市場は下落していくということです。

お金の流れが完全に逆流する

過剰流動性バブル崩壊する理由の4つ目は「お金の逆流」にあります。

今回の過剰流動性バブルの発生は2020年2月からになります。

世界中で広がった新型コロナのパンデミックへの対応で、世界中の中央銀行が大掛かりな金融緩和政策に舵を取り、金融市場に巨額のお金を流し込みました。個々人への助成金も多くの国で国民に配られ、その資金も金融市場に流れ込んだことで、過剰流動性バブルが発生しました。

欧米ではいよいよ金融引き締めが開始

そして今、欧米ではいよいよ金融引き締めが行われます。FRBは保有する国債などの金融資産を6月から段階的に圧縮していく対応を始めることも決めています。月額475億ドル、日本円でおよそ6兆1000億円を上限に圧縮を始め、3か月後には上限を950億ドルに拡大するとしています。

有り余るお金が株式市場や暗号通貨市場に流れ込んでいたものが、全く逆の流れがこの後始まっていくのです。ただでさえ出来高が少ない今の市場から、さらに資金が継続的に逃げていくことを考えると、市場は更に下落すると考えるのが正解なのです。

暴落はオーバーシュートとなる可能性が高い

ゴールドの価格も下がると考えた方が良いです。最後の拠り所は資源かもしれませんが、価格が上昇すれば実体経済にさらにダメージとなるため、資源市場もどこかのタイミングで暴落するでしょう。このような流れで、リスク資産市場全体でレバレッジが急低下し、売りが売りを呼び、暴落はオーバーシュートとなると考えるべきです。

そして、今度はリーマンショック後と異なり、量的緩和でこれを救済することはできません。コロナ禍の最初にこの仕組みを使い切ったうえに、資産縮小を世界中の多くの中央銀行が行っているからです。過剰流動性バブル崩壊がこれから起こる理由なのです。

米住宅市場の冷え込み

過剰流動性バブル崩壊の理由の5つめは「アメリカの住宅市場の冷え込み」にあります。

アメリカの30年固定の住宅ローン金利は、4月に5.1%台と12年ぶりの高さまで上昇しています。3月の新築戸建ての販売件数も3カ月連続減になっています。米家計の住宅ローン残高は昨年末で、約11兆ドルとコロナ前より14%増えています。

金利上昇で家計はこれまでのように、住宅ローンの借り換えで金利負担を軽くすることが難しくなりますから、個人消費は冷え込む可能性が高く、企業成長が鈍化、マイナス成長に陥る可能性が高いです。企業成長がマイナスになるとすれば、当然上場企業の株価は下落します。

特にNASDAQ市場へのマイナス影響は大きく、NASDAQ市場の2倍以上のボラティリティのある暗号通貨市場はさらに大きな影響を受けると考えるべきでしょう。そしてBTCの倍以上のボラティリティがアルトコインにはあり、下落率はさらに大きなものになります。

暗号通貨バブル自体は崩壊しかけている

既に暗号通貨バブル自体は崩壊しかけていますから、新たな買い手がいない中で価格は継続下落します。

※ビットコインチャート

暗号通貨には配当や目に見える資産はないため適正価格というものはありません。オーバーシュートしほとんど無価値化します。

それが暗号通貨の特徴の一つなのです。

日本の不動産の動向にも注意が必要

日本の首都圏の不動産はコロナでのバブルでかなり上昇しました。特に東京のマンションは上昇し、平均単価が1億円近くまで上昇しました。これもこのあと上昇は確実に止まります。そして、来年、再来年と下落は加速するでしょう。

1億円のマンションを高学歴夫妻が購入していますが、これらの物件が今後5年後から10年後には大量に市場に出回ることになるでしょうね。

なぜそうなるのか?答えは簡単です。支払いが不可能になる物件が増えるからです。夫婦共働きの形が確実に崩れますし、給与の下落や片方の病気になり働けなくなるリスクもあります。そしてさらには離婚等のリスクが出てきますから。

どこまで下落するのか?

これはその時の過剰流動性バブルの崩壊具合により変わってくるとは思います。

過剰流動性バブル崩壊に備えよ!!③前回の「過剰流動性バブル崩壊に備えよ!!②」からの続きとなります。 過剰流動性バブル崩壊の理由の6つ目としては、中国不動産バブルが...