けん制されていた仮想通貨
仮想通貨市場は、まだまだ時価総額でいえば一大手企業並です。話題性はありますが、大口投資家は「安全面」などを理由に大きな資産を入れるのを渋っていました。安全面とは取引所のハッキングやその後の対応、補償問題などで、仮に投資をしても資産が守られるのか?という部分です。
資産を守るというのは、投資で資産が目減りする以前の問題で、例えるなら銀行に預けていたお金が大丈夫か不安といった状態です。正直銀行に預けて、資産が心配という人は、先進国の中では少ないでしょう。しかし仮想通貨業界はそれが不安になる状態でした。さらには、グローバルに行き交う仮想通貨がゆえに、各国の規制などの脅威もちらつきます。
このようなことから、まだまだけん制されている面が多く、資産を投じたとしてもごくわずかという投資家もいるでしょう。ただ、ここ数年でその流れは大きく変わりつつあります。いよいよ雪解けとなり、盛り上がりつつある仮想通貨市場について解説します。
PayPalが仮想通貨売買を導入で話題
以前こちらでも取り上げましたが、米大手決済サービスのPayPalで仮想通貨売買が行えるようになりました。ここで注目されるのは、まずは中身よりも「大手決済会社が仮想通貨導入」したこと、このインパクトが市場を賑わせます。投資家心理とは、大きな情報で動き、そして市場も細かい情報はノイズに過ぎず、大きい話題がマーケットをけん引します。
その意味では、このPayPalの話題は、マーケットにとって話題性は非常に大きく、これに便乗して投資を始めよう、仮想通貨ってそんないいのか?と興味を持つ人も増えてきます。この時期でのPayPalの発表は、それだけ仮想通貨市場にとっても大きな内容と考えられます。
マイクロストラテジーがビットコインを企業戦略に
ナスダックに上場しているマイクロストラテジーが、2カ月間で自社の余剰資産の4億ドル相当をビットコインに変えたことも話題になっています。まさに大口の参入です。そしてCEOのマイケル・セイラー氏は、ビットコインに対する自身の考えを覆しています。
600ドル台だった頃にビットコインを疑っていたことは「間違いだった」
多くの経営者は、ビットコインの情報を個人投資家よりもいち早くキャッチしています。しかし、それを行動に移さず否定的な考えを持っている人も多くいたことは事実ですし、世界三大投資家の一人、ウォーレンバフェット氏は未だに否定的です。
ビットコインがこの世に誕生したのが2009年。まだまだ10年ちょっとです。投資として行なっている人もまだ数年レベル。ここからは、セイラー氏のように考えを180度変えてくる人も多くいるのではないでしょうか。
マイクロストラテジーの企業戦略としては、保有する数億ドルを、インフレの悪影響によって徐々に減っていく可能性のある場所、つまり銀行口座にそのまま置いておきたくないということです。ドルは今後ドル安になり価値が目減りする中で、ただただ放置しておくのはもったいないと考えたのでしょう。お金に働いてもらうということですね。
セイラー氏が最初にビットコインを購入したのが、8月11日。この時の価格は、1BTC=約123万円。10月28日現在のBTCは、143万円をつけています。すでに1BTCあたりで、20万円幅の値上がりを見せています。追加購入の9月15日は、1BTC=約113万円です。
オンライン決済のスクエアも参入
さらに大口の参加は続きます。Twitterのジャック・ドーシーCEOが率いるオンライン決済のスクエアもビットコインの購入をしています。ドーシー氏はビットコインにたいして非常に肯定的な考えを持たれている方です。
10月8日にスクエアの総資産の1%、5,000万ドル(約53億円)でビットコイン(4,709BTC)を購入したと話されています。10月8日は、1BTC=約114万円ですので、現時点で資産が大きく膨らんでいます。マイクロストラテジー同様、ビットコイン(仮想通貨)の将来性に大きな魅力を感じ行動を開始している一人といえます。
大口が投資すると個人投資家の意識は変わる
上記のような大口の投資家や著名人がビットコイン投資をしたり、発言をしたりするとマーケットにも活気が生まれます。例えば、マイクロストラテジーやスクエアの株主の立場になって考えてみてください。株主とは、その企業に期待して投資している訳ですからその企業の戦略の一つであるビットコイン購入をただただみているだけでしょうか。
当然、だれでも購入可能な訳ですので、ビットコインを保有してみようかと考えるのが投資家の心理です。全員が全員そのような行動を取る訳ではありませんが、影響力のある人が動くと、連動して動くことは大いに考えられます。
市場最大の波が押し寄せている
ビットコインバブルといわれた2017年は、個人投資家の購入でビットコインや仮想通貨市場は成り立っていました。しかし今回の波は違います。データアグリゲーターUnfoldedは、1,000BTC以上を保持する大口投資家のウォレット数について、過去最高を更新しています。
大口の投資家はクジラと呼ばれますが、まさにクジラが大量にビットコインを保有しだしたということです。株や為替のマーケットに比べるとまだまだ小さい市場ですが、この波は加速する可能性が高いです。最大の理由としては、コロナ禍での資産の逃避先。世界各国が低金利を打ち出し、経済がどうなっていくか不透明な中で資産をどのように守るのか?ここに関して、特に大きい資産を保有している人たちは頭を悩ませる部分です。
その1つの候補としていよいよ仮想通貨が頭角を現しているというところでしょうか。そして、仮想通貨といえば何千種類もありますが、だれもがすぐに頭に浮かぶのが、「ビットコイン」。このビットコイン一強の時代はまだしばらく続くと考えられますので、この辺でもビットコインに上値期待をしたいところです。
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