アフリカから聞こえる反中国感情
近年、中国の一帯一路によるアフリカへの進出が目覚ましい。莫大な資金援助のもと、アフリカ各国はインフラ整備や都市化を進めるなど近年の経済成長率も著しい。しかし、現地情勢に着眼すると、いいことばかりではなく、中国への反発や抵抗の声も聞こえてくる。
ザンビアでは中国人幹部3人が殺害された
例えば、ザンビアでは今年5月、中国企業の中国人幹部3人が現地の従業員2人に殺害される事件が発生した。犯人の2人は、中国人幹部から不当な雇用条件を押し付けられ、同幹部たちに強い不満を抱いていた。
国連によると、ザンビアには推定8万人の中国人が在住しているが、事件が発生した町では多くの地元民が中国企業の不当な扱いに対して不満を募らせている。
中央アフリカ共和国では中国企業への反発
中央アフリカ共和国では2019年7月、同国北西部で金鉱採掘を行う中国企業が、採鉱によって河川が汚染されて生態系に大きな被害が出るだけでなく、住民の健康に害を及ぼす恐れがあるとして地元議会から撤退するよう要求された。
地元議会はその前月、議会のメンバーが現地を調査した際、汚染によって死亡者が増加し、住民が飲み水を得られなくなっている状況を確認したというが、同国では中国人が殺害されたり、中国企業への反発が強まっている。
シエラレオネでは中国からの融資を中止
シエラレオネでは2018年2月、同国政府が新空港建設のため中国輸出入銀行から多額の融資を受け、2022年までに新空港建設を完成させる4億ドルもの契約を結んだが、翌月の大統領選で勝利したジュリアス・ビオ現大統領は急遽、その建設中止を発表した。
同大統領は積み重なる債務に疑念を抱き、中国主導の新空港建設は経済的ではないと判断したとみられる。
アフリカでは中国の影響力と米中対立の深まりを警戒
さらに、今年2月、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は米国シンクタンクで講演した際、アフリカが米中競争の主戦場になることに対して強い懸念を示し、アフリカ各国の選択する自由と権利を強調し、米中に対してアフリカの自主性を尊重するよう求めた。
アフリカ各国では今後急激な人口増加が見込まれ、経済的には最後のフロンティアとも呼ばれるが、中国の影響力拡大と米中対立の深まりを警戒する声は日に日に高まっている。
現地民は中国への強い不満を増加させている
以上4カ国の事例は、おそらくほんの一部であり、中国から多額の支援を受ける他の国々からも聞こえてくるはずである。
政府が多重債務者になること、中国企業が現地の重要な天然資源を搾取していくことなどに対して、強い不満を持っている現地民は増加の一途を辿っている。
今後もチャイナマネーを武器とした経済的影響力の拡大が続くならば、反中感情はいっそう高まるだけでなく、現地の中国権益がテロの標的になる可能性もある。
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