南アジアから聞こえる反中国感情
近年、中国の経済的影響力が世界に拡大するなか、それに対する反発や抵抗の声が強くなっている。そして、今年に入っての新型コロナウイルスの影響で、反中感情というものはさらに強くなっている。
パキスタンでも反中国感情が高まっている
例えば、パキスタンでは地元の武装勢力が中国への抵抗を暴力という形で表している。南西部バルチスタン州のカラチ市内にある証券取引所では今年6月、武装集団によるテロ攻撃が発生、警備員2人と警察官1人が死亡、複数が負傷した。
4人の容疑者は8分に及ぶ銃撃戦で全員殺害された。事件後、地元の武装組織「バルチスタン解放軍」が犯行を認める声明を出し、今回の標的は「パキスタン経済」だけでなく「バルチスタン州における中国の搾取的な計画を受けて、中国の経済的な利権」も攻撃対象としたと発表した。
バルチスタン解放軍が中国領事館を襲撃
また、バルチスタン州グワダルにある「パールコンチネンタルホテル」では2019年5月、武装集団による襲撃事件が発生し、多数が犠牲となった。実行したのはパキスタンからの分離独立を掲げる武装勢力バルチスタン解放軍で、中国人や外国人投資家を狙ったとする犯行声明を出した。さらには、2018年11月、バルチスタン解放軍の戦闘員たちが中国領事館を襲撃し、警察官2人を含む4人が死亡した。
事件後、バルチスタン解放軍は、「中国が地元の資源を搾取し続けているが、それを停止しない限り中国権益への攻撃を続ける」と発表した。その翌月にも、バルチスタン解放軍の広報官は、「今後も一帯一路戦略を進める中国への攻撃を続ける」との4声明を出した。
パキスタンは2017年6月、中国権益への攻撃が続くことから、中国人の保護を目的に治安部隊1万5000人を投入することを決定したが、今年6月の事件のように、バルチスタン解放軍が中国権益を狙うリスクは依然として残っている。
パキスタンでも最も貧しいといわれるバルチスタン州では、天然ガスや鉄鉱石など資源な豊富にも関わらず、現地住民はその恩恵を受けられない状況にある。それがバルチスタン解放軍の動機でもあり、パキスタン政府や中国が現在のやり方を変えない限り、バルチスタン解放軍の活動は今後とも続く。
インドのモディ首相も中国への姿勢を硬化している
また、インドでは新型コロナに乗じる形で発生した中印国境衝突で45年ぶりに犠牲者が出たことを受け、モディ首相の中国への態度は明らかに硬化している。
モディ首相は15日、首都ニューデリーでの演説で、テロリズムや拡張主義的な動きに対しては断固とした姿勢で臨むとの強い意思を表明した。同演説で特定の国を名指ししなかったもの、明らかに中国をけん制する内容の演説となった。
また、インド各地では。抗議する市民が習近平氏のポスターや中国国旗を燃やす市民の姿も確認された。今後、インドは日米豪との関係を緊密にし、中国と日米豪印との価値観を巡る対立がアジア地域で高まる可能性がある。
https://ai-trust.info/india-china/
毎週1回情報をまとめてお送りします。
AI TRUSTでは日々の金融市場に影響を与えるニュースを独自の視点から解説を行っています。是非ご自身の投資指標としてご活用ください!!