政治混乱

最近のインドにおけるテロ情勢

インド国内ではコロナでの感染拡大が止まらない

日系企業の進出も増えるインドで、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。インド国内の感染者数は360万人を超え、米国とブラジルに次いで3位となっている。

死者数は6万5000人あまりとブラジルの約半分程度で、致死率は1.79%あたりで推移している。9月からはさらにロックダウンが解除されており、再び感染が拡大することが懸念される。

インド国内ではテロ発生が増加の懸念も

しかし、インド国内におけるテロ発生を懸念する声が少なからず広がっている。幸いにも、近年インド国内で大規模なテロ事件は起こっていないが、インド情報機関からは繰り返しテロ警戒情報が発信されている。例えば、以下のような発信があった。

2020年6月:テロ発生の恐れ、警戒情報を発信

インド情報機関は、首都ニューデリーでテロ発生の恐れがあるとして警戒情報を発信した。

同情報機関によると、ニューデリーでテロを実行するため、4人から5人の集団が同市内に潜入したとみられ、それに伴いニューデリー警察は周辺の街との境、また市内にある病院や繁華街などでの警備を強化した。今回、同機関はテロ組織の名前など具体的なことは明らかにしなかった。

2020年6月:テロ発生の恐れ、注意喚起

インド情報機関は、首都ニューデリーでテロ攻撃の恐れがあるとして注意喚起を発した。

具体的には、ニューデリーにあるインド中央警察予備隊(CRPF)の施設を狙ったもので、CRPFの本部は隊員たちに関連施設の警備を強化するよう求め、重要な情報を入手した際、迅速に伝えるよう要請したという。どのような組織によるテロかは示されていない。

2020年3月:ISを支持する組織によるテロの恐れ、注意喚起

2020年3月:インド情報機関は、数日以内に首都ニューデリーでイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を支持する組織によるテロの恐れがあるとして注意喚起を発した。

北部カシミール地方で活動するパキスタン人のテロリスト2人が、カシミール地方からニューデリーに向けて移動を開始したとされ、ニューデリーにある主要バスターミナルなどでは警備が強化された。ムンバイでも同様に警戒意識が広がった。

2020年2月:テロ発生の危険性インド西部ゴア州北部に注意喚起

2020年2月:インド当局はテロ発生の危険性があるとして、インド西部ゴア州北部に注意喚起を発した。既に法的に許可されていない集会などを禁止する措置が講じられており、同措置は4月10日まで続く可能性もあると発表した。インド当局は脅威となる組織などに関して具体的なことは明らかにしていないが、現地住民や旅行者に対し強く警戒心を持つよう呼び掛けた。

インド国内へのテロを呼びかける声明もある

インド国内で、アルカイダ系やイスラム国系の組織が根付いて活発に活動しているわけではない。しかし、昨年4月のスリランカ同時多発テロのように、そういった過激思想に共鳴するセル(小集団)や個人が密かに活動している可能性があり、イスラム国やアルカイダなどのイスラム過激派も独自のメディアでインドへの攻撃を呼び掛ける声明を出し続けている。

今年に入っても、イスラム国系のネット機関誌では、「新型コロナウイルスに治安機関が翻弄されている、今が攻撃する絶好のチャンスだ」などのメッセージが発信され、インドなどを活動地域とするイスラム過激派組織「インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)」は、指導者の殺害に対するインドへの報復テロを実行する姿勢を示した。

インド国内に明確なジハーディストの脅威があるわけではないが、トランスナショナル化したテロの脅威に対して、常に注意が必要である。

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