政治混乱

ジンバブエがハイパーインフレになった理由とは?コロナでさらに事態が悪化中

アベノミクスの未来は?

アベノミクスでは、マイルドなインフレで経済成長を目指す方針を掲げてきたが、新型コロナに伴う財政出動や供給不足によって今後を不安視する見方も出てきた。

企業業績の向上や賃金増を起点に、好循環の未来図を描いたアベノミクス。国民が一定の評価をし、期待も寄せた国主導型の所得増加計画が揺らぎ始めている。

紙幣の刷りすぎが巻き起こすインフレ。ほんの10年ほど前までハイパーインフレがあったアフリカのジンバブエに今回は焦点を当ててみた。

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ハイパーインフレとは?

ハイパーインフレとは、物価が極端に上昇する現象で、月間インフレ率(物価上昇率)が50%以上となった状態を指す。ジンバブエでは当時、貨幣の大量供給によって物価がいわば天文学的な水準にまで達し、経済活動や国民の日常生活が大混乱した。

ジンバブエ政府の統計部局が2008年7月に発表したインフレ率は月間2600%であり、年率では2億3100万%に達し、その後、同国政府は公式なインフレ率の公表を諦めることになった。

通貨の価値が暴落

インフレが起こる原因はいろいろあるが、ジンバブエの場合は複数の原因が同時に大規模に起こったために、ハイパーインフレになったと思われる。一般的にインフレを起こす要因としては、マネーサプライの増加がある。

マネーサプライとは通貨の供給量であり、これが増えると、国内に流通している通貨量が増えたことを意味する。ジンバブエは2000年初頭、労働者からの賃上げ要求に対応し、選挙費用を捻出するために、通貨のジンバブエドルを無節操に発行した。そのために、物価が極端に上昇したことになった。

農業生産性の低下

ムガベ政権の間違ったと評される経済政策は多くあるが、その1つが2000年に行われた農地の強制収用である。それ以前のジンバブエ農業は、白人の地主と黒人の農業労働者という構図が存在していた。これは、かつての日本の地主と小作人の関係に似ている。ムガベ政権は、黒人を優遇するために、黒人たちが白人の地主から農地を奪うことを合法化してしまった。

黒人が力ずくで白人から農地を奪うことを黙認したため、多くの白人の地主たちは国外に逃げてしまった。黒人は土地だけ取り返したものの、農業のノウハウについてはよく知らないため、それ以来ジンバブエの農業生産性は大きく低下し、食料が不足するようになった。

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外資系企業の逃避

2007年9月に議会を通過した外資系企業の株式強制譲渡法案も、経済の混乱・インフレの進行に拍車をかけた。これは、ジンバブエに進出している外国企業の株式のうち、過半数をジンバブエの黒人に強制的に譲渡しなくてはならないという内容の法案だった。

そんなことをされてはまともなビジネスができないので、外資系企業は一斉にジンバブエから撤退することになる。これで外国企業の存在がなくなり、ジンバブエの物資不足はさらに深刻化が加速した。

決定的なインフレの要因が

物資の不足、そしてインフレの進行を決定的にしたのが、2007年6月に出された価格統制令だった。インフレ対策として政府が、ほぼ全ての製品・サービスの価格を強制的に半額にするというものだった。

しかし、これは経済の基本を完全に無視している。無理に半額で売らせても、企業は利益にならない。利益にならなかったら赤字になり、そのまま倒産してしまう。最初は様子を見ていた企業だが、価格統制令に反して逮捕された者が出たというニュースが流れてから、一斉に商品を売るのを止めてしまった。

この時から、ジンバブエのスーパーなど小売店の棚はガラガラになっていしまった。多くの店が、商品を売らずに倉庫に保管したままだったのだが、そのような商品の保管も違法として、違反したものは逮捕するという内容も含まれていた。これでは、企業は製品を製造したり、仕入れることもできなくなってしまう。

結局、倒産企業が続発し、ジンバブエの経済はさらに混乱、インフレは歯止めが効かなくなった。世界最悪の独裁者と言われ、アフリカ南部ジンバブエの独立後、37年にわたり政権の座にあったロバート・ムガベ氏は2019年9月に95歳で死去している。

アフターコロナのジンバブエ

2020年5月、食料危機に陥っているジンバブエで、夜明け前に強制捜査が行われた。新型コロナ対策のためのロックダウン発令を受け、取り締まりにあたる警察は新鮮な野菜や果物3トンを押収し、焼却処分した。さらに、国内で最も賑わいを見せる市場で貴重な農産物を販売するため、農村から一晩かけて来た人々に対し、移動制限に違反していると警棒を振りかざし追い散らした。

食料品は焼かれ、人々は何も持たず農村へ帰った。食料の供給不足がきわめて深刻であるジンバブエやアフリカ大陸にとって、驚愕の出来事であった。そして、食料の安定供給面で脆弱性を抱える現状が、新型コロナの感染拡大抑制を目的としたロックダウンによって、さらに深刻化する可能性があると顕著に示された。

国連食糧農業機関(FAO)によると、アフリカでは新型コロナの流行以前から、約2億5,000万人、およそ5人に1人が十分な食料を得られていなかったという。さらに、サハラ以南のアフリカでは人口の25%が栄養不良に陥っている。

貧困層への支援対策が講じられないままロックダウンが行われた場合、その影響は甚大なものになる。アフリカでのコロナ蔓延が収まらなければ、世界中の国々は新型コロナ第二波、第三波に襲われるリスクが高く、決して他人事ではないのである。

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チャーリーTAKA
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日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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