ビジョン・ファンド2の話を聞かなくなった!?
2020年にはいり、ソフトバンクのビジョン・ファンド2の話が余り聞かなくなった。このまま行くと立ち消えになる可能性もあるのではないだろうか。ソフトバンクグループが立ち上げたソフトバンク・ビジョン・ファンドは相当厳しい状況に置かれている。
10兆円ファンドとして話題になった1号ファンドの出資先が不振であるのみならず、2019年7月に発表した2号ファンドの出資者が思うように集まらない状態が続いている。
ソフトバンクが970億ドルを投じたソフトバンク・ビジョン・ファンド1は、2017年の立ち上げ当初、史上最大のプライヴェート・エクイティ・ファンドだった。
投資先それぞれの企業が、それぞれの市場の独占を目指させることを目的とし、スタートアップ1社につき最低でも1億ドルを投資する戦略をとった。これにより、3年足らずで800億ドル以上を投資する結果となり、多くの投資額が実質溶けてしまっていると市場からは懸念されている。
そのような中で、ソフトバンクグループ社長の孫正義氏は、2019年7月に、前回よりさらに規模の大きい最大1,080億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド2の発表を行った。ところが、2020年1月時点で確定した出資者は、ソフトバンクグループの380億ドルのみとなっている。
サウジアラビア政府系の公共投資ファンドは、ビジョン・ファンド1の最大の支援者であり、ファンドの成功に賭け、450億ドルを提供した。しかし、ビジョン・ファンド1が昨年末に89億ドルの損失を計上したことを受け、今のところ新たな事業への出資を保留している。
ソフトバンクのビジョン・ファンド1への投資決定や、資本展開に関する説明が不足していることに対し、公共投資ファンド内で追加出資への反対議論が増している。
1,080億ドルの目標に対してたった20億ドル?
ソフトバンクの広報担当者は、出資者がビジョン・ファンド2への参加の可能性を査定しており、資金調達は想定通りに進んでいると語っているが、ビジョン・ファンド2が2019年11月に初回クロージングを完了した際に集まった額は、20億ドルだけだった。
ビジョン・ファンド1の損失は、評価額が470億ドルから100~120億ドルに落ち込んだウィーワークや、昨年のウーバーのIPOの失望に続くものである。
苦境にあるソフトバンクのグループ企業はこれらにとどまらず、ここ数カ月、ビジョンファンドが投資をする多くの企業で大規模なリストラが行われ動揺が走っている。
インドのホテルスタートアップOYO Rooms、コロンビアのデリヴァリースタートアップRappi、ピア・ツー・ピアのカーシェアリングサービスGetaround、そして以前はピザ生産の自動化と宅配を手がけ、現在は植物由来のパッケージ資材を開発するスタートアップのZumeなどだ。
2019年7~9月にはビジョン・ファンド1の上場株式投資の大部分であるウーバーやスラック・テクノロジーズ、ガーダントヘルスなどの価値が下落した。
不動産投資の評価額も下落しており、保有株の価値は現在75億ドルで、ビジョン・ファンドが当初出資した90億ドルから下回っている。
ソフトバンクは当初、マイクロソフトやアップルもビジョン・ファンド2を新たに支援する可能性があると発表したが、どちらもファンドへの出資を公約しておらず、両社ともに、そもそもファンドに出資するかどうかについてもコメントしていない。
孫正義氏の判断ミスが世界大恐慌に繋がる!!
現在の状況を考えれば、ビジョン・ファンド2への逆風は大きく、そのまま立ち消えになる可能性は高いと思われる。
ソフトバンクグループにとっても、今は新たな新規巨額投資を行うより、既存投資先の立て直しを急ぐべきであり、それが多くの投資家への信頼、安心に繋がり、結果的に関係各社の株価上昇にも繋がるのではないか。
大きな岐路に立つビジョン・ファンド2の成り行き次第で日本のみならず、世界の株式市場へ大きな影響を及ぼすことは間違いなく、孫正義氏の判断ミスが世界大恐慌を巻き起こす可能性も否定できない。
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