経済ビジネス

2020年、日本の不動産価格はどう推移するか?

不動産価格2020年

有り余る資金が改めて都心部の不動産に向かう

東京オリンピックを前後し、日本国内の不動産価格に関しては、特に都心部の不動産は既に高値圏にあり、人口の減少が続く日本では、下落を予測する識者も多い。

そのような中で、海外大手ファンドの資金は継続的に都心部の優良不動産に流れ込んでいる。

米投資ファンド、ブラックストーン・グループが、日本の賃貸マンション群を一括の取引として過去最大の約3,000億円で買収することになった。日本の不動産の利回りは現在のマイナス金利が広がる状況では、相対的に高く、海外大手機関投資家、ファンドの取引が高値圏の価格をさらに押し上げる構図となっている。

マネーゲームの色彩が濃く、不動産投資リスクも高まっているとも言えるのではないか。

ブラックストーンは運営するファンドを通じ、中国の安邦保険集団から全国の賃貸マンション約220棟を一括購入する。ブラックストーンはこの物件の大部分を14年に推定約2,000億円で購入、17年に一部追加した上で、安邦保険へ約2,600億円で売却している。そして今回は14年当時とは別のファンドが約3,000億円で買い戻す形となった。

海外からの投資家の日本の不動産の購入額は日銀が異次元緩和を始めた13年から拡大し、19年9月までの累計で約5兆円に達している。17年には1兆円超と全体の取引額の26%を占めている。

東京、恵比寿にあるウェスティンホテル東京は19年末、中国系の投資会社ブライトルビーが約1,000億円で買収した。同じく19年にはドイツの保険大手アリアンツが日本で賃貸マンション約80棟を取得している。

15年で2倍に?

ウェスティンホテルは海外勢が何度も転売してきた経緯がある。

2004年にモルガン・スタンレーが約500億円で買収し、4年後の2008年にはシンガポール政府系ファンドが約770億円で購入した。11年ぶりの取引で約1,000億円と最初の取引から約2倍になった。

低金利がバブルを引き起こしている

都心部の大型不動産に海外からの資金が流れ込む背景には日本の超低金利がある。

海外投資家は投資利回りと金利の差である利回り差を重視している。物件を高値で取得して投資利回りが下がっても、借入金利が低ければ収益を得られることになる。 超低金利が続く中で、以前よりも好条件での融資を引き出すことができ、投資収益を得やすい環境となっている。

東京の主要オフィスビルに投資した場合の利回り差は19年9月時点で2.8%あり、ニューヨークの2.3%など世界の主要都市と比べて高い。国債がマイナス金利の中で、国内金融機関も融資先が慢性的に不足しており、優良不動産を担保とする融資には何処も積極的なのだ。しかしこれは不動産バブル当時を彷彿させる流れでもある。

こうした投資の動きが価格を押し上げ、国土交通省が算出するオフィスビルや賃貸マンションなど商業用不動産の価格指数は、三大都市圏で2010年時点に比べ約3割上昇した。海外マネーに支えられ、当面は高値圏で推移するとの見方が多い。

不動産価格の上昇は広く波及している。首都圏の新築マンションの販売価格が29年ぶり高値となり、平均的な所得では手が届かなくなっている。投資マネー流入による弊害を指摘する声も出ているが、リスク面も考えなければいけない。

2019年の台風15号や19号が国内各地に甚大な水害・災害をもたらしたのは記憶に新しいところだが、気候変動のトレンドは今後もさらにその趨勢を増し、海面温度上昇による大規模な台風の発生する可能性はますます高まっている。浸水可能性のある地域の不動産を避ける動きは今後、顕著になるのではないか。

日本の不動産投資は今後メリットよりもリスクが高くなる

不動産価格のピーク感も鮮明になっている。12年の民主党から自民党への政権交代以降、「都心」「駅近・駅前・駅直結」「大規模」「タワー」といったキーワードに象徴される物件中心に価格上昇を続けてきた新築マンション市場も、発売戸数は年々減少し、好不調を占う契約率も恒常的に70%を割り込むなど息切れ感がある。

2019年の首都圏新築マンション供給は3.2万戸の見込みも、2020年は3万戸を割り込む可能性が高い。

供給は都区部や駅近・大規模・タワーマンションなどが中心となり、平均価格は横ばいか、やや下落する可能性が高い。新築マンションには値ごろ感がない為、中古マンション市場は過去数年のトレンド同様、好調が継続することが予想される。

実質的な日銀による国債引き受けといった現在のスタイルに懸念が示される展開となると、金利上昇など景気に悪影響を及ぼしかねない状況が生まれるかもしれない。

金利が上昇すれば不動産価格は下落に向かい、不動産ブームが終焉すれば、下落スピードが加速する可能性もある。

2020年の不動産市場は、地方については人口減少による需給バランスの悪化により、継続的に弱含み。都心部や三大都市圏の主要部は大きなマイナス要因が表面化しなければ、横ばいとなり、世界経済に大きなマイナス要因が表面化すれば、大きく下落する可能性があり、新規に投資を行うより、既存物件を持っているのであれば、売却するタイミングと考えるべきではないだろうか。

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チャーリーTAKA
チャーリーTAKA
日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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