投資

【アフターコロナバブル】ミセスワタナベが相場を動かす

コロナで個人投資家が世界中で急増

世界で個人投資家が急増している。新型コロナの感染拡大で外出を自粛、自宅でスマートフォンを使って株式を売買し為替投資をしている。休業補償や給付金で得た資金も元手となっており、これが投資家層の広がりにつながっている。短期的な値上がりを期待した投資など一部に投機色もみられ、活発な売買で相場を動かす存在になりつつある。

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ミセス・ワタナベは新興国通貨に向かう

新型コロナのまん延による巣ごもりで個人の取引が拡大しているのは株式だけではない。外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける国内の個人投資家「ミセスワタナベ」は、オーストラリアドルを活発に売買している。

ミセスワタナベの正体とは?

ミセスワタナベは、個人の投資家のことで、日本人のFX女性投資家やサラリーマンなどと言われる。一時期FXで有名になった池辺 雪子氏などもミセスワタナベとも言われている。

実際は、30代以降の中高年男性が圧倒的だが、個人投資家を総称することで大きな影響を与えるようになっている。

ミセスワタナベのポジションは相場が大きいペアへ

FX取引の主要な通貨ペアである「ドル・円」は相場が膠着しており、ミセスワタナベの視線は動きのある通貨へと向かっている。相場の動きが大きいことがミセスワタナベにとっては魅力となっている。

豪ドルは今月7日に76.77円の高値を付けた後、23日には73.61円まで調整している。押し目買いのチャンスとみた逆張り投資家の買いも巻き込んでいる。

日米の金利差縮小などにより、円の対ドル相場の動きは日増しに乏しくなり、FXではドル円は取引全体の6~7割を占める主要な通貨ペアで、ここが動かないと全体として商いが盛り上がりにくい。そのため、多くの個人は値動きの大きい通貨ペアに流れており、当面は豪ドルなど変動率の大きな通貨にミセスワタナベの関心は向かいそうだ。

今後、為替の動き、「ドル円は今後どうなるか」についてこちらの記事でも詳しく書いているのでぜひ目を通して欲しい。

コロナで証券口座が増加中

新型コロナの感染拡大による相場変動により、スマートフォン金融のLINE証券の1日平均株式売買代金がコロナショック前と比べて約3.6倍に跳ね上がっている。

オンライン専業証券各社で売買代金や新規口座数が急伸したが、スマホ証券でも同じ傾向が確認できたことになる。LINE証券は直近の口座数や売買代金の実数を公開していないが、相場が大きく下落を始めた2月25日を挟んで前後30営業日を比べたところ、売買代金のほか、1日平均の約定件数は約2.5倍、同稼働口座数は約2倍に増えたという。

>>【LINE FX】スマホで簡単に口座開設する手順

米:ロビンフッド口座急増

米国で若者を中心に人気なのが、売買手数料が無料の新興インターネット証券、ロビンフッドだ。1~3月に300万の新規口座が開設され、3月以降に取引額が急増した。

GAFAM株主急増

ナスダックが年初来安値を付けたのは3月23日だった。この日、アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグルの親会社)、フェイスブックのGAFAM、5社合計の時価総額は4兆1,160億ドルだった。

それが6月22日には5兆6,052億ドルに37%増加した。一方、5社のロビンフッド経由の保有者数も延べ955,000人から1,412,000人に48%増加した。このうちアマゾンは11万人から25万人に約2.3倍になった。

口座開設も急増

日本でも口座開設が急増している。ネット証券大手5社の新規口座開設数は新型コロナ前の2019年12月は12万件だったが、3~5月は18万~31万件になっている。個人投資家が約8割を占める中国でも、外出できない個人が暇つぶし感覚で株式売買に乗り出した。

上海、深圳の両市場を合わせた売買代金は2月に20兆元に迫り、3月も19兆元を上回った。中国株バブルが崩壊した直後の15年秋以来の規模となっている。

「巣ごもり」と「臨時収入」

スマホで取引できるアプリも増え、外出制限などで時間を持て余した個人が自宅で投資している。経済下支えで各国が打ち出す政策も後押しする。米国のクレジットカード決済状況では、4月22日までの1週間で個人投資家の決済額が前年同期比約3倍になった。

アーネスト・リサーチはこのタイミングで政府から最大1,200ドルの現金給付があったことで、売買が伸びたと分析している。

日本でも1人10万円の特別定額給付金の支払いが始まり、マネーフォワードの調査では13%の人が投資資金を使い道に挙げた。もともとは税金である給付金の一部が投資に回っていることが明白となった。あぶく銭が金融市場に流入する、まさに過剰流動性資金である。

過剰流動性相場がもたらす、実体経済と乖離したコロナバブル過剰流動性相場がもたらしたコロナバブル 株価と実体経済のギャップが大きくなった現在の相場を「コロナバブル」と呼ぶ声が増え始めた。 ...

アフターコロナバブル 短期的な価格変動に注意を

個人の増加は市場を活性化させるが、現状は元手の資金が少なく、リスクをとり早く利益を出そうとする傾向もある。資産運用でなく、アメリカや中華圏では、閉鎖や移動規制がかかるカジノなどの代わりという面もみてとれる。

個人の株式買い付け金額は6月第2週まで3週連続で3兆円を超え、累計では10兆円あまりに膨らんだ。相場の上昇局面としては異例である。

LINE証券を始め、スマホサービスを手掛ける証券会社の口座開設が急増しており、こうした潮流は歓迎すべきことだが、個人の投資ブームはバブルを引き起こし、崩壊させる歴史も繰り返されるため、このあとの展開には注意も必要となるだろう。

市場はボラティリティが高い状況が続くことが予想されるため、高いレバレッジは避けることが賢明だろう。

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