2026年8月13日 過去24時間の市場動向と経済ニュース
今日のポイント
CPIは「9月利上げを急がなくてよい」と市場を安心させましたが、利下げ期待に転じたわけではありません。株はAI・半導体を中心に上昇した一方、10年金利はほぼ動かず、BTCも下落しました。今日は「インフレ通過後、次のリスクがどこへ移ったか」を見る日です。
過去24時間の市場動向
指数(S&P 500、ナスダック指数)
S&P 500は7,748.50(+0.26%)、Nasdaqは26,588.49(+0.54%)で終了しました。7月CPIがほぼ予想通りの穏当な内容となり、9月FOMCでの追加利上げ懸念が後退したことに加え、CoreWeaveやSuper MicroなどAIインフラ関連の好決算がテック株を押し上げました。半導体指数も約2.5%上昇し、11業種中8業種が上昇しましたが、売買高は20日平均を下回っており、全面的なリスクオンというより「CPIの悪化を警戒していた分の安心買い」という色合いです。
米国金利(10年債利回り)
米10年債利回りは、4.6820%(-0.04%)とほぼ横ばいでした。CPIを受けて9月利上げ確率は低下し、2年債利回りにはより明確な低下圧力がかかりましたが、長期ゾーンでは財政赤字や国債供給への警戒が残り、10年金利の低下は限定的でした。10年債入札も概ね安定した需要を確認したため急騰は避けられましたが、短期金利が下がりやすい一方で長期金利が粘るイールドカーブのスティープ化は引き続き重要です。
ビットコイン
ビットコインは63,418.05ドル(-0.32%)となり、株式とは逆にCPI発表後も64,000ドルを回復できませんでした。インフレ指標は悪材料ではなかったものの、利下げを促すほど弱くもなく、BTCに新たな流動性相場を期待させる材料にはなっていません。62,000~66,000ドルのレンジが継続する一方、8月末オプションでは60,000ドル付近の下落保険が70,000ドル付近の上昇ポジションより割高で、株高に比べて暗号資産市場のセンチメントは慎重です。
過去24時間の重要な経済・金融ニュース
米CPIは3.4%へ鈍化 9月利上げ観測後退、ただし「インフレ勝利宣言」には遠く
米労働省が12日に発表した7月CPIは前月比0.1%上昇、前年比3.4%となり、前年比では6月の3.5%から鈍化しました。コアCPIも前月比0.2%、前年比2.5%と6月の2.6%から低下し、特にエネルギー価格が前月比1.5%下落したことが全体を抑えました。これを受け、9月FOMCで政策金利を据え置く確率は市場で約62%まで上昇し、前日までのほぼ五分五分の状況から明確に据え置き優勢へ傾きました。株式には好材料ですが、前年比3.4%というヘッドラインインフレは依然として高く、Fedが緩和へ転換する内容でもありません。しかも7月CPIには足元の中東情勢によるエネルギー価格上昇が十分反映されておらず、「利上げ回避」と「インフレ収束」を区別する必要があります。13日のPPIが強ければ再び金利が上向く可能性があり、特にグロース株・REIT・小型株など金利感応度の高い資産では注意が必要です。今日の株高を新しい金融緩和局面の始まりと解釈するより、まず「追加引き締めの緊急性が薄れた」と見るのが妥当です。
米7月財政赤字4320億ドル 関税還付で歳入に穴、長期金利の重し残る
米財務省が12日に発表した7月の財政赤字は4320億ドルと同月として過去最大となり、2026会計年度の累計赤字は1兆7990億ドルに達しました。これは9月末の年度終了を2カ月残した段階で、2025年度通年の1兆7750億ドルをすでに上回っています。7月は給付日程のずれで歳出が膨らんだ特殊要因がありますが、それを調整しても赤字は前年比18%増の3330億ドルでした。さらに見落としやすいのが関税で、最高裁が昨年の広範な緊急関税を無効とした影響から330億ドル超の還付が発生し、純関税収入は3カ月連続でマイナスとなっています。つまり「関税収入で財政を補う」という政権側の計算にも不確実性が増しており、短期金利とは別に長期国債のタームプレミアムを押し上げる材料になります。CPIが穏当だったにもかかわらず10年金利が大きく下がらなかった背景を考える際、この財政問題は重要な盲点です。今後は13日の30年債市場を含め、国債入札で海外投資家や実需家がどの程度の利回りなら長期債を吸収するのかを確認したいところです。
原油需要予測に異例の開き IEAは大幅減、供給不足との綱引き鮮明
12日に公表されたIEAの月報は、2026年の世界石油需要を前年比160万バレル/日減と予測し、前月予測からさらに51万バレル/日下方修正しました。ホルムズ海峡の閉鎖と高い燃料価格が物流や消費そのものを抑え、「供給ショックが需要破壊を生む」段階に入りつつあるとの見方です。一方、同日のOPEC月報は世界需要を約60万バレル/日増と予想しており、両機関の見通しには実に約220万バレル/日の開きがあります。それでもIEAは中東の供給停止が大きいため、第3四半期の世界需給は約180万バレル/日の不足になると見込み、7月の世界在庫も6900万バレル減少したとしています。このため12日の原油価格は、船舶攻撃や米・イラン交渉の膠着という強材料がありながら、需要予測の悪化に抑えられてほぼ横ばいとなりました。昨日までは「ホルムズ再開交渉→供給」という見方が中心でしたが、今日からは高値がどこまで需要そのものを壊しているかも同時に見る必要があります。原油価格だけでなく、ガソリン・軽油のクラックスプレッドや製油所マージンが高止まりするなら、CPIへの二次波及リスクはまだ消えていません。
中国人民銀「追加策を適時投入」 大型刺激策には踏み込まず内需の弱さ映す
中国人民銀行は12日、金融政策を「適度に緩和的」に維持し、必要に応じて追加措置を速やかに導入すると表明しました。ただし市場が期待し得る政策金利引き下げや預金準備率引き下げを明示したわけではなく、既存政策の活用や財政政策との協調を強調する慎重な内容です。中国経済は4~6月期の実質成長率が4.3%まで低下し、政府の通年目標4.5~5.0%の下限を下回るペースとなっています。人民銀自身も「強い供給と弱い需要の不均衡」を認めており、輸出の強さとは対照的に国内需要の回復が依然として課題です。これは銅・鉄鉱石・原油など中国需要への依存度が高い商品や、欧州高級品・資本財、中国株・人民元に影響しやすい材料です。同時に、中国が大規模な景気刺激策に踏み切らない限り、世界経済を米国以外から押し上げる力も限定的となります。今後数日は実際の政策金利・準備率変更よりも、インフラ支出の前倒しや不動産・小売・固定資産投資データに政策姿勢が具体化するかを確認したいところです。
