今日のポイント

原油安で割引率が下がり、AI関連企業が利益成長を証明したことで株式市場は最高値を更新しました。ただし引け後は、好決算でも投資負担や高すぎる期待を超えられない銘柄が売られています。今日の軸は「AI需要があるか」から「誰が採算よく取り込めるか」への変化です。

過去24時間の市場ダイジェスト

S&P 500:7,736.52(+1.79%)

S&P 500は136.02ポイント上昇し、過去最高値で取引を終えました。ホルムズ海峡再開に向けた合意期待で原油価格が急落し、インフレと金利上昇への警戒が後退しました。パランティアやキャタピラーの好決算も、AI投資が実際の企業収益へ波及しているとの見方を強め、テクノロジーと資本財を中心に買いが広がりました。

ナスダック指数:26,584.99(+2.59%)

ナスダック指数は671.10ポイント上昇し、主要指数の中で最も大きく上昇しました。パランティアが約30%上昇したほか、半導体指数も約7%上昇し、7月に調整していたAI・半導体株への資金回帰が鮮明になりました。金利低下だけでなく、AIソフトウェア、データセンター、電力設備まで利益成長が広がっていることが評価されています。

米国10年債利回り:4.6270%(-1.26%)

米国10年債利回りは前日比で約5.9ベーシスポイント低下しました。ホルムズ海峡再開への期待から原油価格が5%前後下落し、エネルギー起点のインフレ再加速リスクが後退したことが主因です。求人件数の減少も債券買いを支えましたが、採用と解雇は安定しており、金利上昇シナリオが完全に消えたわけではありません。

ビットコイン:64,169.61ドル(+1.01%)

ビットコインは一時6万2,250ドル付近まで下落した後、6万4,000ドル台を回復しました。Strategyによる1,638BTCの売却やColdcardウォレットの流出事件を消化し、6万3,000ドル付近では買い需要が確認されています。ただし、ナスダックの2.59%高に比べて上昇は小さく、ETF需要やステーブルコイン流動性の弱さから、株式市場のリスクオンが暗号資産へ全面的には波及していません。

過去24時間の重要な経済・金融ニュース

ホルムズ海峡再開案が具体化、原油5%安で株・債券に同時追い風

ベッセント米財務長官は、米国とイランがホルムズ海峡の航行再開で早ければ8月4日または5日に合意できるとの見方を示しました。報道された案では、船舶がイランとオマーン双方の海域を通り、イランが機雷などの安全確認を担う一方、米国はイラン港湾への封鎖解除や原油輸出免除の復活を検討します。前日までは協議そのものの有無が錯綜していましたが、今回は条件面まで報じられたことが新しい進展です。これを受けてブレント原油は1バレル79ドル台まで約5%下落しました。原油安はエネルギー株には逆風ですが、消費関連株、運輸株、長期債、グロース株には追い風となります。ただし、イラン最高指導部の最終承認や実際の船舶通行再開は確認されておらず、合意報道が再び後退するリスクは残ります。投資家は原油価格そのものより、海峡を通過する船舶数と保険料率が正常化するかを確認すべき局面です。

AI相場、ソフトから重機へ波及 引け後はAMD・SpaceXに採算警戒

パランティアは通期売上高見通しを引き上げ、株価は約30%上昇しました。キャタピラーもデータセンター向け発電設備や建設機械の需要を背景に業績見通しを引き上げ、AI投資の恩恵がソフトウェアや半導体だけでなく資本財へ広がっていることを示しました。S&P 500企業の決算は8割以上が市場予想を上回っており、日中の株高は単なる金利低下ではなく利益予想の上方修正を伴っています。一方、引け後に決算を発表したAMDは、データセンター売上高が前年比107%増の67億ドルとなったものの、株価は時間外で約7%下落しました。SpaceXも売上高が予想を上回りましたが、巨額のAI関連投資が警戒され、時間外で売られました。つまり市場はAI需要の存在を疑っているのではなく、設備投資額、利益率、キャッシュフローが現在の株価評価に見合うかを選別し始めています。次は売上高より、粗利益率、設備投資計画、受注残の収益化速度を比較する必要があります。

米、中国製データセンター部品を規制へ AI設備投資に新たな供給網リスク

トランプ政権は、中国企業が製造する新型のデータセンター用光トランシーバーなどの輸入を禁止する案を準備しています。光トランシーバーはサーバー間で大量のデータを高速伝送する部品で、AIクラスターの拡張には不可欠です。規制はFCCの安全保障上の「対象リスト」を通じて導入され、早ければ年末にも発効する可能性があります。中国の中際旭創などは世界市場で大きなシェアを持つため、規制はAWSなど米クラウド事業者の調達コストや設備建設スケジュールを押し上げる恐れがあります。一方、Coherent、Lumentum、Applied Optoelectronicsなど米国系メーカーの株価は報道を受けて上昇しました。これは対中規制が米国企業に一律の追い風となるのではなく、部品メーカーには恩恵、ハイパースケーラーにはコスト増となる点が見落とされやすい材料です。今後は最終的な規制対象、新規機種だけが対象か既存製品にも及ぶか、中国側の対抗措置を確認する必要があります。

米求人件数は減少、採用は増加 雇用統計前に「緩やかな冷却」を確認

6月の米求人件数は前月から17万8,000件減少し、735万9,000件となりました。特に医療・社会福祉分野の求人減少が大きく、企業の労働需要が徐々に鈍化していることを示しています。一方、採用者数は9万6,000人増の534万8,000人となり、解雇件数も176万6,000人でほぼ横ばいでした。企業が積極的に人員を増やしてはいないものの、大規模な削減にも動いていない「採用も解雇も少ない」状態が続いています。これは景気後退を示すほど弱くなく、追加利上げを急がせるほど強くもないため、FRBの政策判断を容易にはしません。10年債利回りの低下には寄与しましたが、7月雇用統計が予想を上回れば金利は再び上昇する可能性があります。次の焦点は非農業部門雇用者数だけでなく、失業率、平均時給、過去分の改定です。