2026年8月4日 過去24時間の市場動向と経済ニュース
今日のポイント
原油安で株高・金利低下へ反転しましたが、強い米景気と国債増発が金利低下の持続性を試す局面です。
市場は中東情勢の緊張緩和を先回りしてリスクオンへ傾きました。ただし、米製造業の強さと米財務省の借入増額を考えると、今回の長期金利低下がそのまま定着するとは限りません。投資家は「原油価格の下落」だけでなく、今週発表される雇用指標と国債発行計画を併せて確認する必要があります。
過去24時間の市場ダイジェスト
S&P 500
S&P 500は7,600.50で取引を終え、前日比1.48%上昇しました。米国とイランの緊張緩和期待から原油価格と長期金利が下がり、インフレ再加速への警戒が後退したことが株式市場を押し上げました。通信サービスが4.3%上昇する一方、原油安を受けてエネルギーは1.2%下落しており、指数上昇の中でもセクター差は鮮明です。発表済み企業の85%超が市場予想を上回るなど、堅調な決算も相場を支えました。
ナスダック指数
ナスダック指数は25,913.90となり、前日比2.13%上昇しました。原油安に伴う10年債利回りの低下が、将来利益の現在価値に敏感な大型グロース株やテクノロジー株を支援しました。MetaやAlphabetが買われたほか、Amazonは4.6%上昇し、時価総額が初めて3兆ドルを超えています。もっとも、上昇は大型株への集中度が高く、今後はAMDやSpaceXなどの決算でAI・設備投資需要の持続性を確認する展開です。
米国10年債利回り
米国10年債利回りは4.6860%となり、前日比1.24%低下しました。原油価格の急落で将来のインフレ期待が後退し、先週まで売られていた米国債に買い戻しが入りました。一方、7月の米製造業PMIは4年超ぶりの高水準となり、雇用や新規受注も改善しているため、景気減速を理由とした金利低下ではありません。米財務省の借入増額や金曜日の雇用統計次第では、長期金利が再び上昇する可能性が残ります。
ビットコイン
ビットコインは63,670.45ドルで、前日比0.26%上昇しました。原油安、米長期金利低下、米株上昇という通常なら追い風となる環境にもかかわらず、一時は6万3,000ドルを割り込むなど上値の重い展開でした。Coldcard製ハードウェアウォレットの脆弱性を利用した被害が約1億1,400万ドルに拡大した可能性があり、自己保管への信頼低下が暗号資産固有の売り材料となっています。株式市場とのパフォーマンス差を埋めるには、被害の封じ込めと現物需要の回復を確認する必要があります。
過去24時間の重要経済・金融ニュース
原油急落で株高・金利低下、米イラン協議はなお不透明
トランプ大統領がイランへの追加攻撃を見送り、ホルムズ海峡の再開に向けた協議を行うと表明したことで、原油価格は約5%下落しました。原油高によるインフレ再加速とFRBの追加利上げを警戒していた市場は、一転して株買いと国債買いに動いています。ただし、イラン側は米国との協議予定を否定しており、外交的な合意が成立したわけではありません。このため、今日の市場は実際の供給正常化よりも、緊張緩和の可能性を先に織り込んだ状態です。航空、クルーズ、輸送、一般消費財には追い風となる一方、石油・ガス関連株には逆風が強まりました。次に確認すべきなのは協議の有無だけでなく、ホルムズ海峡の通航量や保険料、タンカー運賃が実際に正常化するかです。原油が再上昇すれば、今回の株高と金利低下が急速に巻き戻される可能性があります。
米製造業、4年ぶり高水準 雇用回復の裏でコスト圧力残る
米供給管理協会の7月製造業PMIは55.6となり、6月の53.3から上昇して市場予想の54.0も上回りました。これは2022年5月以来の高水準で、製造業は7カ月連続の拡大となっています。新規受注は56.7へ上昇し、雇用指数も49.7から52.8へ改善して、約3年ぶりに拡大圏へ入りました。企業による関税前の発注や中東情勢に備えた在庫確保、AI関連の設備投資が生産活動を押し上げています。一方、仕入れ価格指数は71.1と高く、納期の長期化も続いているため、需要の強さと供給制約が物価圧力を残しています。景気敏感株や資本財、半導体関連には好材料ですが、FRBにとっては早期緩和を難しくするデータです。今後はISM非製造業指数と金曜日の雇用統計で、製造業の強さが経済全体へ広がっているかを確認する必要があります。
日米が円買い介入、再介入も辞さず キャリー取引に警戒
日本と米国が先週、円安を抑えるため協調して円買い介入を実施していたことが確認され、日本政府は必要なら追加介入も行う姿勢を示しました。円は一時1ドル=156.80円まで上昇し、約3カ月ぶりの円高水準となっています。日本は今回の介入に最大約365億ドルを使った可能性があり、今年の介入総額は1,000億ドルを超えたと推計されています。米国側はユーロを売って円を買う異例の方法を使い、ドル全体を下落させる政策と受け取られないよう配慮したとみられます。円高は日本の輸入物価を抑える一方、輸出企業の円換算利益や日本株の上値を抑える要因です。また、円を低金利で調達して米株や暗号資産へ投資するキャリー取引が巻き戻されれば、世界のリスク資産にも影響が及びます。次はドル円の水準だけでなく、日銀の利上げ姿勢と米国が再度介入に参加する条件を確認すべきです。
米財務省、7~9月借入を7390億ドルへ増額 長期金利の次の火種
米財務省は7~9月期の市場借入見通しを7,390億ドルとし、5月時点の予想から680億ドル引き上げました。期初の現金残高が想定以上だった効果を除くと、実質的な借入増額は870億ドルとなります。10~12月期についても6,280億ドルの借入を予定しており、米国債の供給圧力は当面続く見通しです。8月5日に公表される四半期定例入札計画では、年限別の発行額や長期債への配分が明らかになります。短期国債中心であれば市場への影響は比較的限定されますが、10年債や30年債の増発が示されれば、長期金利に上昇圧力がかかります。これは高PERのテクノロジー株、住宅、REIT、金利感応度の高い資産にとって重要なリスクです。今日の金利低下をそのまま追うのではなく、水曜日の発行計画を確認してから長期金利の方向性を判断する必要があります。
