人生

起業心得⑧

34歳:ゴミをお金に変える

自己破産から数ヶ月経った12月、人材派遣業を行っている知人社長と打ち合わせしているとき、年末に新宿の大手百貨店のブランドフロアーのリノベーションがある話を聞き、片付け作業に参加させてもらうことになりました。

様々な宝飾ブランド、高級ブランドがフロアーごと新しくするため、既存のディスプレイを全て廃棄するのです。実はこれがお宝の山なのです。もともと中古CDやパッケージメディアを扱っていたし、ブランド品の中古には高い価値があることを知っていました。

片付けている作業責任者に聞けば、とにかく全部を捨てるといいます。では欲しいものは持っていっても良いかと聞けば、別に構わないとの答えが返ってきました。今であればこういうことは厳しく制限もされているのでしょうが、当時は細かな取り決めなどなかったのでしょうね。そもそもヤフオクを利用している人の絶対数もまだ少なかったですから、捨てるゴミに価値があるなど多くの人には理解できないのです。

ブランド品は宝の山

高級時計ブランドでは、時計を飾るブランドロゴの入ったケースや時計をかける機器を。フランスの著名バックブランドの店では、ブランド名の入ったハンガーやショーケースを。そして更には応接セットも全て捨てるということで、それも多数もらってきました。カッシーナ社の革でできた超高級応接セットを捨てるのです。これはもらわない手はないですよね。

一番大きなサイズの黒のゴミ袋で20袋ほど、そしてそれとは別で応接セットをひとつを持ってかえることになりました。20袋は自宅のリビングに置いておいたのですが、翌日子供たちが目覚め、ゴミ袋をみてびっくりしています。家内からもゴミを拾ってきたと馬鹿にされました。しかしこれがお宝に変わる事になります。

まずは何点かをヤフオクに試しにジャンル毎に出品してみたところ、すぐに多数の問い合わせが入ります。そして大手ブランドリサイクルの1社からまとめて引き取りたいという話になり、300万円以上で売却しました。

既存点、新店舗のディスプレイとして使いたいとのこと。リサイクル系のショップでは欲しくても手に入らない品々ですから、需要と供給が一致したわけです。手間もかけず、原価ゼロで300万円の稼ぎです。そしてこのお金を使い、年明け後の正月は家族でハワイを楽しみました。奥さんも子供たちも臨時収入で豪遊できたし、ゴミがお金に変わったことを驚いていました。

起業心得16:興味を持つ

もしこのとき、引き上げ作業に参加していなければ300万円の利益は生まれませんでした。そして興味を持ち、ほしいと言わなければ貰うこともできませんでした。興味を持ったことには、何事もまずは実践してみることが重要なのです。成功するかどうかはその後の問題です。まずはやってみなければ結果にもつながらないのです。

34歳:顧問職

自己破産後、今は上場する数多くの企業から手伝ってほしいと依頼を受け、時間を拘束されないのであればという条件で、7社ほどの顧問をしていました。固定的な報酬は受け取らず、それぞれの会社とのビジネスの中で収益は自分で作り出す形にし、出張にかかるコストだけは経費として頂きました。この中で上手くいった取り組みを後々は会社化し、パートナーとなる社長が大きくしていったわけです。

当時はベンチャー企業だったIT系企業が多かったですが、今は本当に全ての会社が上場しています。それぞれの社長も若かったですが、若いからこそ柔軟に、そして成長していきました。顧問として手伝いつつ、それぞれの会社のスタッフに直接指導し、鞄持ちをさせることもありましたが、当時学生でインターンで居たその子が、今は上場企業の社長になっており、時代の移り変わりを感じます。

7つの会社の顧問をしつつ、自らのビジネスも行うというと、年中休みなしで、長時間働いているようなイメージを持たれるかもしれませんが、これは全く違うのです。7社の顧問をしつつ、各社で行うことは基本的に、自分が得意とすることに集中し、各社の問題解決につながる部分を行っていましたので、業務が散ってしまうのではなく、7社を串刺しにするイメージで、同時進行で行う事ができたのです。

そして、勉強させられる事も多く、インターネット関連やマーケテイング関連についての知識が深くつき、実践を重ねられたことにより、これが後々のビジネスでも大きな成果にもつながっていきました。

起業心得17:自分の能力を活かす

顧問業というのは、そもそも仕事を退く段階の経験豊富な一定以上の年齢の方が行うものというイメージもありますが、自分の場合それを34歳で数々の会社で経験させて頂きました。

各社の社風も違う中で学ばされる事も多かったのですが、なぜ顧問になれたのか?ここに大切なポイントがあります。

相手から必要だと思われる人間であること。相手の企業にとって必要とされるニーズに応えることができること。問題点を理解し、解決するチカラを持っていること。自分自身が自らの得意分野を理解し、それを相手の問題点解決につなげる事ができるという、柔軟な発想力と実現力があったからだと思います。起業家にとって大切なポイントは、自らの得意分野を理解し、そこに集中させつつ、適材適所にそれができる人材を配置していくことにあると思いますね。

起業心得⑨に続きます。

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