人生

起業心得⑦

34歳:自己破産という選択

CDOFF

多くの上場企業やベンチャーキャピタルから資金調達を行い、インターネットで中古CDの販売を本格的に推し進める。パッケージメディア自体が先々はなくなると考えていましたし、その分野にいち早く入っていくためにも、より多くの会員の囲い込みをしなければならない。

様々なことを同時進行ですすめながら、当時立ち上げたCDOFFというサイトは、1ヶ月もかからないで10万人近いメンバーを集めることができました。

シングルCDプレゼント企画

当時、CDを自動販売機で売る会社があったのですが、そこが破綻をし、その企業が持っていた大量の在庫を全て引き取ったことがありました。

新品のシングルCDも50万枚以上あったのですが、これを利用し、登録するだけで全員に新品シングルCD◎枚プレゼントと言うキャンペーンを行い、これが大当たりしたのです。シングルCDの原価はただで送料がかかるだけですから、費用対効果としては抜群でした。

物流の外注化の苦労

インターネットで中古CDを販売する上で、物流を大きく改善する必要もありました。全ての倉庫内CDを単品管理し、注文に応じて発送をします。今であれば当たり前に何処でも行われているインターネット通販でのこの作業も、当時は全くゼロからの立ち上げです。東京の外注先企業に依頼をして進めましたが、結論から言えば最後までうまくいきませんでした。

ビジネスの一番の肝となる部分については、やはり自社で徹底内製化してノウハウを蓄積後、そのあとに任せるものは任せていかなければならないという教訓となりました。もともと自社店舗では中古CDの単品管理をしていましたし、200,000枚以上のCDの価格管理もしていました。コアな自社の強みのとことんの追求という事が今思えば足りなかったと思います。

取引先破綻から自己破産まで

このころ、大手デパートや商業施設が連続して破綻をし、そこに納品していた企業、更には出店していた企業との取引が拡大していたのですが、3社の取引先が破綻をし、8億円以上の債権が回収できなくなったことで資金繰りが一気に悪化しました。

このタイミングは日本のインターネット・バブルがまさに破綻したときで、株主からの追加支援を得ることもできず、結果的に会社は破綻しました。そしてあわせて自らもこのときに自己破産をしたのです。会社をたたむまでは本当に悩みに悩みました。

資金繰りの厳しかった期間は本当に死にたい思いに何度もなりました。しかし会社を閉じる決断をしたときは “ やっと終われる ” ホッとした気持ちになったことも覚えています。多くの社員、パートさんたちには迷惑を掛ける事にもなりましたが、今でも当時からずっとつながっているメンバーも多くおり、今となっては良い経験だったと考えています。

起業心得14:必要とされる決断

会社を閉じる。自己破産をする。これもひとつの決断です。継続し続ける事が良いわけではなく、継続することで傷口がどんどん拡大してしまうのであれば、やめることも決断なのです。

特にインターネットが発達する今の時代、更にはアフターコロナの時代は今まで以上に早期の判断・決断が重要になります。これからの起業家に最も求められる部分となるかもしれません。

34歳:ヤフオクで月500万円稼ぐ

自己破産をする半年前から静岡に住まいは持ちつつ、東京での暮らしも始めていました。取引先の本社も東京に多く、インターネットビジネス関係の打ち合わせは東京が中心でした。家族全員で世田谷の賃貸マンションに引っ越していました。そして自己破産をするタイミングで静岡の自宅は売却し整理し、その時点で完全に東京に引っ越しです。

マンションの一部屋。書斎が自らのオフィスとなりました。そして自己破産の翌月から大きく稼ぐことができるようになります。もともとの様々な取引先からの依頼で、中古CDの閉店・開店物件の売買をブローカー業として行うことで、まとまった利益を上げる事ができたのです。

そしてそれとは別でヤフオクでの販売を本格的にスタートしたのです。当時、映像メディアはビデオからDVDへのまさに過渡期であり、ビデオCDという、映像の質はビデオレベルで、媒体としてはCDで、DVDプレーヤーで再生できるパッケージメディアがあったのです。

多くのメーカーがDVDに移行する中で、ビデオCDの在庫処分を行いました。この在庫を1枚:1円。実際のところ送料だけ負担する形で、50万枚以上を引き取ることができました。これをヤフオクで1枚:380円、10枚、20枚のセットはそれぞれ3,000円、6,000円というような形で販売することで、半年後にはヤフオクだけで月間500万円を超える売上=利益を上げることができるようになりました。

顧客データベースを作り、新しい作品、その人が持っていない作品の紹介をし、継続的な売上につなげました。価格設定も当時のDVDレンタルが380円が基準でしたので、それよりも割安に設定したわけです。レンタルより保有を多くの人が求めることは、中古CD店舗を立ち上げたときにわかっていたことです。値ごろ感のある価格設定を感覚的に理解しているというのもビジネスにおいては重要なことだと思いますし、常に前を向いて進み続けるからこそ、良い情報、チャンスも得られるのです。

起業心得15:最初は全て自分でやる

自己破産後は閉店物件の引き上げは基本的に閉店する店の人達と自分で行いました。ビデオCDの倉庫からの抜き取り。自宅書斎での梱包作業や仕分け。お客様との個々の連絡。その全てを最初は一人で行いました。起業家は会社で起こることを最初は全てを理解し、自らが行う必要があります。全てをわかっているからこそ、スタッフとの話もできますし、改善することもでき、解決できるのです。

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