人生

起業心得②

23歳 レコードからCDへ 新しいビジネスへの閃き

美容室をしていた当時、ビルの隣にはレンタルレコード店が入っていました。まだ当時はCDや、ましてやスマホでのダウンロードなどではなく、レコードなのです。

隣からレコードをレンタルし、店で流しながらカセットテープに録音していました。お客様のシャンプーをしながら、A面が終われば待っていてもらい、レコードをB面に変えて録音。本当に手間がかかるものでした。当然中には傷が付き音が飛ぶレコードもありました。

レコードがCDに変わったとき、店でもCDプレーヤーを購入し、聞いてみて音質の良さと手軽さに驚かされました。傷がついても音が飛ぶこともなく、テープへの録音も簡単です。そして、このとき、音楽産業は大きく生まれ変わり、伸びるのではないかと感じたのです。

そしてたまたま夜テレビを見ていると、新品のCDを定価の15%OFFで販売しているサウンドSという東京のお店を特集で紹介していました。非常に興味を持ち、早速翌日テレビ局に連絡を入れました。テレビ局からサウンドSの連絡先を教えてもらい、先方に電話すると、社長と話をすることができ、翌日には東京であって話をすることになりました。チャンスだと思ったときには即座に行う行動力が重要なのです。

廉価版CD

サウンドSという店舗を持っていた会社の本業は廉価版CDという、当時1枚:1,000円で駅やデパートの催事売り場で売られていたCDの卸業でした。ビートルズやクラシックやジャズなどの版権が切れたものが廉価版として発売されていました。竹内社長と話をすると、新作の15%引きのCDでの利益は殆どなく、あくまでも客寄せであり、メインは廉価版CDの販売という説明を受けました。

なるほどと思いつつも、「当時静岡では廉価版CDを売っている店もなく、お店を出せばうまくいくのでは?」

そう考え、島田市の隣の藤枝市の駅前にお店を借りて、RADIO STATIONというCDショップを出店しました。

棚は木製の一番安いものを並べ、センターの棚に至っては、ブロックとカラーボックスを使い手作りで安価に仕上げました。並んでいるものは殆ど廉価版CDで、新作CDは卸会社を紹介され、会員になれば10%引きという、当時であれば普通の売値での販売を行いました。美容室の隣がレンタルレコード店でしたので、中古CDを一部分けてもらい、中古CDコーナーも作り、店は完成し、オープンに至りました。

当時のスタッフは美容室のお客様。その後も雇ったスタッフの多くが美容院のお客様でした。それぞれ高校生の時から店に通っていてくれたりしていたため、お互い気楽に話をすることもできましたから。

店はなんとかオープンできましたが、当然のことながら、最初から躓いてしまいます。何が起こったのか?よくよく考えれば浅はかすぎました。

起業心得4:新しいヒントは何処にでも転がっている

なにかに興味を持ち、興味を持ったものについては徹底的に調べてみる。アンテナを張っていると面白いもので、テレビや雑誌やインターネット上でも、全く違う角度から思いもしない情報も手に入り、そこから新たなチャンスが生まれてきます。チャンス、ヒントは何処にでもあり、常にアンテナを張っていれば、誰にでも手に入るものなのです。

23歳 中古CD店への事業修正

お店をオープンするときには新聞折込チラシを市内全域に入れることで、最初はお客様は来てくれます。しかし廉価版がメインの店で、品揃えはとても豊富とは言えません。通常のCDは新作のみをおいていますので、様々なアーティストのCDがほしいというお客様の需要には答えられません。すぐに店は閑古鳥がなくようになりました。

しかしガラガラの店内でいつも人が集まる場所があります。そこが中古CDコーナーだったのです。当時新品CDの価格は1枚3,000円〜3,500円しましたので、音質も劣化しない1,500円〜2,300円程度で手に入る中古CDを欲しがるお客様が多かったのです。

そして更に言えば、近隣で中古CDを販売しているのはうちだけだったのです。中古CDを扱う上で古物商の資格は必要でしたので持っていますし、店舗でのCDの買取を行うようになりました。しかし当時はまだ誰も自らのCDコレクションを売ってくれる人もいなく、中古CDコーナーはどんどん寂しくなっていくことになります。

中古CDを卸してもらう

中古CDがあれば売れる。どうすれば中古CDをまとめて手に入れることができるのか?美容室の隣のレンタルCD店の社長の紹介で、名古屋にある今は上場しているCDの卸問屋の社長を紹介され、その会社が運営する中古CDショップを視察させて頂きました。店から中古CDを融通してもらえることになり、ある程度まとまった数量を確保したので、まずは一息つけることになりました。

しかし話はそこで終わらず、社長から提案が入りました。

“ 今は中小レンタルCD店はどんどん淘汰され、ツタヤなどの大手に寡占化されているから、レンタルCD店に連絡すれば、多分CDを出してもらえるよ。近くの店に電話してみたら? “

そんな状況になっているのかと思いつつ、即座にその後行動に移していくことになるのです。

起業心得5:臨機応変に対応する

当初思っていたように事業がうまくいかない場合は、常に臨機応変に対応し、自らを変化させることが重要です。ひとつの考えに縛られて凝り固まっていれば、資金はどんどん枯渇し、結果的に資金繰りが苦しくなれば、新たな行動も取れなくなってしまいます。

今は当時と違い更に変化が激しい時代ですから、採算の合わない事業を止める判断、切替が大切なのです。

起業心得③に続けましょう

起業心得③23歳 即座に訪れる躓き 中古CDの仕入先は見つかりましたが、決して安定的な仕入先とは残念ながらなりませんでした。それは先方の店舗でも...