そもそもニートの意味とは?
ニートは Not in Education, Employment or Trainingが元のイギリス英語であり, 就学・就労・職業訓練のいずれも行っていないことを意味するのがニートという言葉である。
日本では、ニートの事を15~34歳までの非労働力人口のうち通学・家事を行っていない者を指しており、「若年無業者」と呼称している。
元々はイギリスの労働政策において出てきた用語で、1999年に同国の政府機関が作成した調査報告書『Bridging the Gap』の中にある一文
「Bridging the Gap: New Opportunities for 16-18 years olds not in education, employment or training」(日本語訳「ギャップを埋める:教育、雇用、職業訓練に参加していない 16~18歳の若者に対する新しい機会」)の「not in education, employment or training」という部分の頭文字を取り、『NEET』と略したものが始まりである。
世界には、2億6,700万人のニートがいる
国際労働機関(ILO)は1月20日、2020年に世界全体で失業者が250万人増える見込みだとの報告書を発表した。失業率は19年から横ばいの5.4%と予想した。
この背景には米中貿易摩擦による世界経済減速などがある。
失業率はリーマン・ショック後の2009年から2018年まで低下傾向が続いたが、改善が止まった模様だ。
また、15~24歳の若者で、仕事や職業訓練、通学をしていないニートが世界で2億6,700万人に上り、この世代のニートの割合は人口の22%にも達していると指摘し、若者は非正規雇用の比率も高く、特にアフリカでは95%に達している。
長らく成長を期待され続けてきたアフリカ諸国であるが、厳しい現実に改めてさらされた格好となった。
日本ではニートというと、どちらかといえば悪い印象を持たれることも多く、親のすねを齧っていつまでも働かないとか、家庭内暴力というイメージもある。しかし世界の多くの国々では、もっと深刻な現実がある。
日本の若年層失業問題
内閣府は2019年6月に取りまとめた子供・若者白書では、先進諸国共通の雇用市場の課題でもある若年層の失業問題の実情を確認している。
高齢社会化、労働人口減少が進む中で、企業では定年の延長化が進んでいる。
さらには技術の発達に伴う労働工程の効率化により、若年層の労働条件・就職環境が悪化するのは先進国共通の社会問題となっている。この現象は先進国病の一つであるとも言われている。
日本でも他の先進諸国同様に若年層の失業率は高く、日本全体の失業率の平均と比べて高水準を維持している。
バブル崩壊後は景気悪化に伴い失業率は増加した。その後2000年に入ってからは派遣などの非正規雇用の促進化もあり、一時的に失業率は改善の動きを見せた。これは景気の回復も大きな改善要因だった。
ところが、2007年夏以降の金融危機、さらにはリーマンショックに伴う景気悪化で、失業率も上昇していくことになった。景気動向に左右されやすい若年層がもろにその影響を受けた。勤続年数が短いことや、非正規雇用率が高いことから、解雇されやすい環境にあるからであり、さらに新規雇用枠増減の影響を受けやすいためである。
ここ数年は景況感の回復基調に伴う労働市場の変化もあり、全体平均とともに若年層の失業率も低下傾向にある。失業率の低下は喜ばしいことであるが、就労人口の減少が最も大きな理由の一つであるが、ここには多くの問題も潜んでいる。
失業率は低下しても大きな問題が!
現在の日本では様々な業種業態での人手不足が叫ばれている。
特にサービス業での人不足は深刻で、コンビニエンスストアや飲食チェーン店での24時間営業体制の見直しなど事業そのものの見直しも進んでいるが、大手コンビニチェーン店のように、加盟店からの訴訟を受け、企業ブランドにマイナスイメージがつけば、客離れにつながり、上場企業であれば、株価の下落にもつながる。
ロボットの導入、人工知能の活用、業務効率化などをうまく進められる企業とそうでない企業とでは、今後それぞれの業界内で明暗を分けることになるであろう。
そして、勝ち組は成果をより大きく得られる可能性が高く、上場企業であれば、株価は大きく上昇することが考えられる。
世界の将来に暗雲が!!
世界の若年層の22%がニートという現実は、将来の世界経済の成長にも暗雲である。
第二次世界大戦終了後から現在までは比較的良好に世界経済は安定的に成長をしてきた。しかしこの先は先進各国で人口減少、高齢化が進む。
そのような中でこれからの若い世代の22%がニートとなると、現状の社会保障制度そのものの維持も難しくなることが予想される。
先日のダボス会議の前に発表された報告書によると、世界の最富裕層2,153人が持つ資産は、最貧困層46億人が持つ資産よりも多いと報告された。
46億人は地球の人口の60%以上に相当している。
富の集中に対しての不満は新興国、後進国だけでなく、先進各国でも同様に広がり、様々なデモという形で現れている。
世界の22%のニートの不満が具体的な標的、ターゲットを見つけたとき、現在の政治体制、金融資本主義、様々なものが崩れる可能性も否定できない。
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