老後2,000万円問題
少し前の話ですが、老後に2,000万円が必要、という内容がニュースで一人歩きしました。これは、細かく辿ると何歳まで生きるか?夫婦でいくら?など色々あり、一概に全ての人に2,000万円という数字が当てはまる訳ではありません。
ただ、マスコミはもちろんのこと、投資関連で「チャンス」と思い、この内容を機に投資に意識が傾いている方をターゲットに新規開拓していきました。それが悪いという訳ではありませんが、若者〜高齢者まで投資にたいする意識は、近年強まっています。そんな中、僕のYouTubeチャンネルを通じて、色々と相談が来ることが増えてきました。
気になったのが、高齢で投資初心者の方からご相談をいただいた中で、これは注意が必要だなと思った内容がありますので、ポイントを5つシェアさせていただきます。参考になれば幸いです。
ポイント①:証券会社の「人柄」を信用しない、任せない
インターネットが多く普及している中、投資に関してもネット証券などを活用する人が増えています。しかし、その反面でよくわからずに証券会社や銀行などで投資を行なっている人もいます。
理解して利用しているのであれば、問題ありません。ただ対面である中、手数料が高く、動かすのに何かと手間がかります。そして、いざ対面でお世話になっているが故に信用をしてしまい、ついつい任せてしまうというケースもあります。
「色々とよくしてくれるので・・」それは、わかります。しかし、証券マンは仕事であること、ここをしっかりと理解しておく必要があります。人柄で資産が増えれば、だれもが資産が増えますよね。
ポイント②:未来のことなどだれも分かっていない
人は、自分より弱い相手(情弱)と分かると積極的に強気で話をします。営業でもそうですね。ここは、投資でも同様です。パリッとしたスーツの男性が壇上できっぱり、「過去のデータからいっても株価は今後上昇します!」など断言するセミナーがあったらどうでしょう?僕なら、詐欺かよと疑ってしまいます。
さらに突っ込むのであればその方に、「何年、何月何日にどこまで上がるのか、そしてその根拠は」と問いただすと思います。嫌がらせのような質問と感じるかも知れませんが、あなたがもし、その男性の言葉で大切な資産を預けようと考えているのであればどうでしょう。真剣に質問する権利があり、断言したのであれば答える義務がありますね。
もちろんこのような発言をする人は、要注意です。理由は、未来のことなどテレビの著名アナリストでも分かっていませんので。僕は6割合っていれば御の字程度で考えています。
ポイント③:証券マンは実際に投資をしていない、経験を積むべき
証券マンの仕事はなんでしょうか。投資をすることではありません。もちろんインサイダーに近いような情報がたまに入ることはあるかも知れません。しかし、だからといって大儲けができるでしょうか。
証券マンは、株を買ったら最低半年、厳しい会社だと一年間はどんな株でも売却できません。インサイダーと認定されたらまず証券会社では働けなくなります。自身の働く会社以外での取引はできません。敷居が高すぎます。めんどくさくてやらないですね。知り合いで、取引所で問い合わせ窓口の電話対応をしている人がいますが、縛りは厳しく投資ができる環境ではないようです。ただ時給は格段にいいです。
これらのことから、この業界の人は、何で生計を立てているのか?当然、「投資するみなさん」からの資産を運用することです。ですので、投資はしていないが、入ってくる情報量は多いです。毎日そのことと向き合っていますので、そのような人たちと対等に向き合うには、自身の経験値をあげることが重要で、近道はありません。
ポイント④:情報を得れば資産が増えるわけではない
投資に興味を持ち始めると、ニュースにも敏感になります。例えば新型コロナウイルスが世界中で広まりパンデミックとなり、株価は一気に急落しました。その後、金融緩和期待から上昇しました。
後から見れば簡単に見えるかも知れませんし、稀に自身の考えが合っていることもあるでしょう。ただ、その背景にはもっと細かいやり取りで世の中のマネーは動いています。例えば、米国株を押し上げたロビンフッダー。これは、スマホ用株式売買アプリ「ロビンフッド」を駆使する素人投資家のことですが、この勢いがコロナ禍で強まっています。そして、実績を誇ってきた著名投資家の成績にすら影響を与えています。
細かいことは理解しなくてもいいのですが、要するに「今までと違う流れが出ている」ということです。これはあくまでも一例ですが、投資は生き物を扱っているような感じで、毎日変わります。ですので、情報を得れば資産が増える・・ わけではないということは理解しておくべきです。
経験値は必要ですが、無駄な情報は不要です。情報で必要といえば、まずは日々の情報を追いかけ一喜一憂するのではなく、投資の基礎をとことん学ぶことが大切です。
ポイント⑤:投資となると急に金銭麻痺、資金管理最重要
最後に高齢者の方で多いのが、退職金を全て投資に回してしまうなど危険な資金バランスです。高齢者だけでなく、単身の若年者にもその傾向があります。長きに渡り勤務して得た数千万円や、特に趣味や付き合いもなく淡々と貯めた数百万円などを一気に突っ込む傾向も見受けられます。ここは、慎重に行うべきです。
当然、投資ですのでリスクを大きく取ればリターンも大きくなります。しかし、失敗がないうちはリターンばかりに意識がいきます。個人的には、まずは投資で失敗すること、そしてそのときの資金は最低限で抑えることですが、ドカンと全財産をなくし路頭に迷うということもあります。
そうなると、今まで優しかった周囲から、「投資は、自己責任」などと急に冷たいことを言われるでしょう。当然といえば当然です。そもそも始める前からあなたの資産をあなたが増やす時点で、証券マンであれ、セミナー講師であれ、ネット上の情報であれ、だれのどの話を聞くときも中心に自分自身をおいて、資金管理をしっかりと行い、無茶な資産をつぎ込まないことが重要です。
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