バブル期の日本の銀行
日本の銀行は、世界の時価総額ランキングで上位5位の中の4行が銀行だったほどの存在でした。”世界の” 時価総額というのが重要なポイントです。2020年現在(最新11月末公開)に世界の時価総額ランキングに、ランクインしている日本企業の最高位は、49位のトヨタ自動車です。
世界のトヨタですら、49位ということを多くの日本人は自覚しているのか?というところが疑問です。なぜなら平成元年は、銀行を含む日本企業が上位10位まで7社がランクインしていました。ほぼ日本という圧倒的な強さでした。それが、わずか30年ほどでこの状況になっています。
今回は、現時点で沈みゆく日本経済の中で、時代遅れになる銀行について解説します。
銀行マンのプライドは崩壊
昔は、銀行に就職が決まったなどといえば、親戚中が大騒ぎするくらいの出来事ではなかったでしょうか。将来安泰、将来有望といったところです。これは、バブル期の恩恵が当然ありました。
そして、そんな業界で仕事をした銀行マン。サービスはどうでしょう。街の銀行は、接客は丁寧ですが、中身を見る限り、悪くいえば殿様商売に見えて仕方がありません。お客様目線ではなく、銀行側目線、嫌ならやめておけ、客などいくらでもいる、僕自身は何度かそう感じたことがあります。
これは、銀行にこびりついた歴史と考えられますが、そのプライドの強さを維持することは崩壊していると考えられ、早い転換を取るべきですが、長年エリート街道を突っ走っていた業界が、急激な発想の転換が出来るかは疑問です。僕の知り合いの銀行マン、若い人材の中には早めに見切りをつけて、退職をしている人もいます。
銀行の種類
銀行は、大きく3つに分かれます。
・都市銀行
・地方銀行
・信用金庫
この3つプラス、ネットバンクです。
都銀とは、東京や大阪などの大都市に本店を構え、日本全国で店舗展開を行なっている比較的規模の大きい銀行のことをいいますが、明確な定義はありません。都銀と呼ばれている銀行は以下の通り
・みずほ銀行
・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・りそな銀行
都銀は技術力があり、時代に応じて変化をし続けています。その変化というのは、店舗数を減少させていることです。ということは、都銀はリストラが進んでいるということです。そして信用金庫は、地域に密着した昔ながらの対面で顧客に対してのニーズに応え続けていますので、殿様商売とまではいっていないのが現状です。
気になるのが、地銀です。都銀ほど技術力があるわけでもない上に、信金ほど密着したサービスを行っていないのが現状です。そして、信金と地銀の大きな違いが法人税の差です。税制上信金は有利です。地銀は今後大変な状況になることが予想されます。
銀行の命綱、手数料収入
銀行の命綱が手数料収入です。要するに中抜きビジネス。近年話題になっているビットコインなどは、スマートフォンの中に入れたウォレットから相手のウォレットに送ることが可能です。そこには手数料は必要ですが、銀行に払う手数料ではありません。
例えば、日本から米国の銀行口座に1,000ドルになるように送金するとします。銀行を介する場合は、手間や多くの手数料がかかります。みずほ銀行では、手数料が11,000円(+為替手数料)です。銀行によって金額に違いはありますが、手数料が大きいことは否めません。
ただ最近では、ネットバンクの登場でネットバンクの手数料は安くなっていますので、そちらを利用する流れが出て来ています。そうなるとなおさら、銀行の存在価値が問われます。さらに銀行は融資による利息で収益をあげますが、低金利政策が長引いている中での融資は銀行にとってはそれほど旨味がある内容ではないのではないでしょうか。
さらには、銀行は厳しい審査を行っていますが、使い手からすれば、別に銀行に偉そうに言われて借りるくらいなら、クラウドファンディングで資金を募った方が早いといった、時代に応じた考え方をする人も増えるでしょう。クラウドファンディングは、自分自身がやりたいビジネスをアピールしてそれに賛同してくれた方から資金を募ります。
銀行、銀行員の仕事は5年以内になくなる
苦しい状況が続くと、合併の話が出てくるでしょう。銀行だけでなくコロナ禍で、中小企業と大手企業とのM&Aは今後必須と考えられます。海外企業も入り込んできそうですね。銀行でいえば、買収が起こると目先パワーアップするようなイメージですが、既存のビジネスの仕組みが変わらない限り、ただ問題を少し先延ばしにした程度になる可能性があります。
人員を残さずに店舗を減らすやり方も加速すると考えられます。ネットバンクのメリットは人件費を抑えられることです。そうなると当然ですが、手数料も安くてすみます。銀行が今後、使い勝手が悪く感じ高齢者なども離れていくと、いよいよ厳しい状況へ突入します。
最大のライバル・デジタル通貨
デジタル人民元などが話題になっていますが、中央銀行いわゆる法定通貨としてのデジタル通貨が今後注目を集めてきます。中国のデジタル人民元の実装実験では、すでに国民のスマホにデジタル人民元が送られ、そのままスーパーなどで利用できる仕組みが出来ています。
ここには銀行が介していません。アフリカ諸国では銀行口座を持たない人々も多くいる中で、スマホさえあればなんとかなるという流れが加速すると、銀行の未来は暗いです。
固執せず時代の変化に対応を
銀行員が全てではありません。銀行がなくなるのが困るという方もいるでしょう。では、公衆電話や固定電話はどうでしょう。これらで大きくビジネスを行っていた人たちは視点を変えて新たなスタートを切っています。
ハンコも脱ハンコの流れが出て来ており、時代の変化に対応せざる得ません。ここで大切なのは、自身がどこに位置していようが、常に最新の情報を得て、その行方を見守る癖をつけることは非常に重要です。