米国では戦後最悪の経済指標が発表
新型コロナの影響で、世界経済の指標は軒並み、歴史的な下落に見舞われている。
その中でも特に、米国で発表された雇用統計を含む直近の経済指標はかつてない下落水準になった。
4月だけで2050万人もの雇用が失われ、失業率は1カ月で10%超も跳ね上がったのである。
新型コロナの感染が米国で広がる直前まで絶好調の経済指標を続け、「アメリカで感染が広がる心配はない」と豪語していたトランプ大統領の発言が、完全に裏目に出た形になっている。
このままでは「戦後最悪の恐慌」の到来が確実だ。
問題はこの先で、今が最悪の数字なのか、または2番底が控えているのか、いつ回復するのか、どういう形で回復するのか。
新型コロナウイルスを完全に抑え込む方法を人類が持たない以上、
その道筋まだまだ霧に包まれており、それがさらに消費者心理をネガティブなものにさせ、経済を下押しさせていくのだ。
米国の景況は世界にも波及するため、新型コロナの感染が落ち着きを見えている我々日本も人ごとではない。
パニック後のドル円為替相場
これほどまでの「メガ・ショック」を米国が受けたことで、株式市場も乱高下を繰り返し、またそれに鏡写しのように日本の株式市場も乱高下を見せている。
一方で、為替相場はどうなのか?
2月末〜3月に2週間かけて、1ドル112円→ 102円まで大幅に下落する局面があった。
2019年の1年間の値幅が8円だったことを考えると、非常に極端な変動に見舞われた瞬間だったが、
それはアメリカでの感染拡大の実態が、それまでの米政府発表の楽観的なものと真逆の状況だったためで、言い換えれば米政府の怠慢がもたらした相場へのサプライズ・ショックだったといえる。
しかし、その後1ヶ月も経たず、再び111円台に戻った。
なぜか?
それは、すでに多くの情報が出回り、パニック状態から脱却し、良い情報も悪い情報も予想ができる範疇になったためであろう。
SNS時代の今、世界のニュースは瞬時に世界を駆け回る。
手元のスマートフォンにオンタイムで入ってくる世界の情報は、テレビのニュースのように、テレビの前で、決まった時間しか情報を知ることが出来ないメディアとは根本的に違う。
そして、様々な国、場所、角度から情報が入ってくる。
それをもとに、市場は早々に冷静さを取り戻したのである。
有事の逃避先となり、価格が動かないドル円
ただ、それだけでは説明の出来ない状況が今のドル円の為替相場に見られる。
5月に入ってから、景気刺激策の一つとして米政策金利の先物市場では、マイナス金利の導入を予見する動きがあり、
米2年国債利回りは一時史上最低の0.10%台まで下がる場面が発生。
それにもかかわらず、結果としてドル円は狭い値幅で落ち着いたのだ。
多少のボラティリティはあるものの、おおよそ1ドル106円台を軸にした動きになっており、
現在は107円前後で取引されている。
米国が金利を調整する際、特に「金利を下げる」となった場合、通常であれば大きく円高・ドル安が進む。
しかしなぜ今回、相場は大きく動かなかったのか。
それは、世界が一律で経済状況が沈んでいる中、ドルも円も、それぞれ資産の逃避先の通貨となっているためだ。
ドルも、円も、それぞれ世界各国から買い続けられているため、2つの通貨間の価値の違いで変動する為替相場の変動も少ない状況になっているのである。
どちらも需要がある通貨になったことで、
ドル円は「下がれば買う、上がれば売る」という顕著な動きになった。
そのため、一定の価格を軸に、ある程度ボラティリティを持たせながら上下を繰り返している、非常に分かりやすいボックス相場が形成されているのである。
アフターコロナのドル円為替相場予想
今年3月に米・連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナの影響の経済落ち込みの対策として、3月に政策金利を0~0.25%に切り下げた。
これにより、日本円と米ドルの政策金利との差がほぼ無くなったことになる。
現状の経済の影響、そしてその経済対策の先を考えると、FRBが金利を戻すのは相当先と見て良い。
さらに金利を下げる=マイナス金利を選択する余地も一部残されてはいるが、可能性としては大きくはない。
一方で日本は、既にマイナス金利になっている以上、さらに金利を下げる余地はほぼ無い。
あったとしても、ごくわずかなものになるだろう。
これらのことから、日米の金利差はしばらく大きな変動が起きないだろう。
ひょっとすれば数年単位のレベルでこの水準が続く可能性がある。
つまり、ドル円の為替相場の変動は、大局で見た時の軸となる価格は緩やかに変動していくだろうが、今のようなボラティリティのあるボックス相場のトレンドは継続していくだろう。
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