政治混乱

過剰流動性相場とは?

過剰流動性相場とは?

過剰流動性相場は、金余り相場とも呼ばれ、過剰流動性によって生まれた相場をいう。また、過剰流動性とは、通貨の量が、正常な経済活動に必要な適正水準を大きく上回り、過度の金融緩和状態にあることをいう。

平時では、各国の通貨当局は、このような状態にならないように金融政策を通じて物価安定、資産価格の安定を図るが、一方で景気が低迷、悪化し、デフレに陥る恐れがある場合には、量的緩和や信用緩和などの金融緩和政策を行うことがある。

一般に金融緩和政策により取引需要を大幅に上回って供給されたマネーは、投資や投機を活発化させ、マーケットに流れ込んで資産価格を上昇させ、時にはバブルを引き起こすこともある。

2008年のリーマンショック後の米国では、資産価格(株式等)を上昇させることでデフレを回避し、また資産効果により経済(消費)を活発化させることにある程度成功したが、その副作用として、国際商品相場を高騰させ、世界的な資産インフレを招いたとも言われている。

過剰流動性相場の終焉は?

過剰流動性相場は、バブルが破裂したり、あるいは金融緩和が終了すると共に、お金の流れが大きく変わり、終焉することになる。

アフターコロナバブル

6月頭現在の株式市場は、株価と実体経済のギャップが大きくなったアフターコロナバブルの状況にある。通常、株価は半年後、1年後を織り込むと言われるが、それだけでは説明がつかないほど、両者のかい離が大きくなっている。

今の株高の原動力は金融緩和や財政支出などの経済政策にある。今後、株価の上昇が続くとしても、これは過剰流動性相場と考えることが正しいだろう。

歴史上、バブルの背景には、必ずと言っていいほど緩和的な経済政策がある。今回も、未曽有の金融緩和と財政支出により、大規模なマネーが生み出されている。当面は各国の空前規模の施策によって生み出されたジャブジャブの余剰資金が、世界中のマーケットで滞留する可能性がある。

過剰流動性は何処で発生している?

過剰流動性とは現金・預金などの流動性資産が、企業の通常の経営に必要な額以上になっている状態をいう。今回の新型コロナ対策で個人や事業主が受けられる助成金の主だったものをまずは並べてみることにしよう。

■個人

特別定額給付金 10万円
住居確保給付金(家賃補助)
学生支援緊急給付金 10万円

■事業主

持続化給付金 上限100万円
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型) 上限100万円
家賃支援給付金 上限25万円
中小企業生産性革命推進事業 事業再開支援 上限50万円
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 特別枠 上限1,000万円
IT導入補助金2020 特別枠(C類型) 30~450万円

事業継続のため、困窮する家計のために使われるお金も多いだろうが、余裕のある家庭、事業者の場合、これらの資金は過剰流動性資産となり、一部が投資に向かうことになる。

無利子・無担保融資

日本政策金融公庫では3月17日から実質的に無利子・無担保で融資を受けられる特別貸付制度を行っているが同様の融資を多くの金融機関で行っている。

日本政策金融公庫の場合は、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた事業者が、「特別利子補給制度」の適用を受けることで、実質3年間は金利が0%で融資を受けられる。特別貸付では最大で中小事業では最大3億円、個人事業では6,000万円の融資を受けることが可能で、特別利子補給制度の適用上限が中小事業においては最大1億円、国民事業では3,000万円となっている。

アフターコロナバブル、個人投資家が更に市場参加する

今回は新型コロナ蔓延、非常事態宣言での移動自主規制も行われたこともあり、融資のハードルは非常に低く実行されている。そして融資を受ける側も、万が一の破綻を避けるため、金利がゼロということもあり、必要以上に多くの融資額を受ける場合が殆どである。

これにより、巨額の過剰流動資産が生まれることになった。6月頭の現在、既に経済活動は世界中の多くの国で再開され、自動車販売など、当初の予想された落ち込みほどではない数字も発表されており、経済が想定を上回る速度で回復すれば、無利子・無担保融資の一部は繰り上げ返済に回されるのではなく、投資市場に流れ込むことになるだろう。

マザーズ指数は3月半ばの底値から倍近くまで上昇し、6月4日時点では1002となっており、日経平均も22,750円まで回復し、世界の株式市場も大きく上昇する中で、個人投資家の投資熱は過熱していくことになり、アフターコロナバブルはますます大きくなることが予想される。

海外勢の買いが加速

海外勢は、年初から一貫して日本株に対して売り姿勢を続けてきた。しかし、東京証券取引所の投資主体別売買動向によると、5月第3週(18~22日)に海外投資家は現物で6週ぶりの買い越しとなった。特に、現物と先物を合わせた現先合計では、2月第1週以来となる15週ぶりの買い越しを記録した。

当初、外国人は日本の新型コロナ対策に、懐疑的な視線を向けていた。それが大幅な空売りの積み上がりとなって表れていた。しかし、日本のコロナ死者数などは欧米に比べ少なく、5月下旬には緊急事態宣言が解除され、経済活動の再開に向かい始めた。

このことが、海外の空売り筋を買い戻しに転じさせた大きな要因だとみられる。海外勢の売り越し金額は大きいだけに、外国人買いは今後継続的に続くことになるだろう。

戦後最も深く、最も短いリセッション

今後の経済統計の前月比が急回復する場合、株式市場では大相場となる可能性もある。過去のリセッションでは政策は小出しになったが、今回は突如底割れしたため、財政・金融がフルサポートされ、金融緩和も続いており、市場には待機資金が積み上がっている状況の中、売り物が殆どない状態で、継続的な買いが続くことで、年内に日経平均が30,000円を超えるような展開もアフターコロナバブルだからこそ有り得る話なのだ。

ばらまかれた過剰流動性資産は今回もとに戻ることは無い。そして金融引締を過度に行おうとすれば、金利上昇により、日銀、世界の中央銀行は自らの首を締める事になりかねず、結果的に資産インフレは膨張し、アフターコロナバブルは長期間続くことになるのではないだろうか。

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