投資

世界のトレンドとなるESG投資とは?

菅義偉首相が、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする!! 初めての所信表明演説で、こう示しました。地球温暖化につながる温室効果ガスの排出をゼロにする「脱炭素社会」の実現は大きな課題ですが、日本の現状はどうなっていて、これからどういうことができると考えられるのか、そして世界のトレンドとなっている、ESG投資について今回は理解を深めてみましょう。

温室効果ガスの何が問題か?

大きく分けて二つあると考えられます。一つは地球温暖化です。Wikipediaによれば、20世紀後半から地球は温暖化してきており、このままでは東京23区の一部を含む土地や洋上にある比較的小規模な島は、海面下に水没してしまうという研究がなされています。

そしてこの地球温暖化の原因となっているのがGHGすなわち温室効果ガスで、その主たるものが二酸化炭素CO2とメタンCH4によるものということなのです。これは学説ではありますが、京都議定書にあるように、国レベルで国際的な合意がなされており、日本も含めて世界中の国がCO2の排出を減らすことに合意している、という状況になっています。この学説に異論を唱える人も多くいらっしゃいますが、様々な利害が絡む192もの国が締約しているという点は重く見るべきかと思います。

大気汚染

もう一つの理由は大気汚染です。欧州ではディーゼル車の推進により、ディーゼル車の販売台数のほうがガソリン車の販売台数より多くなってしまっており、排気ガス内のNOx濃度が基準値を超えている日が増えています。NOxは空気内に含まれる窒素が高温で圧縮され酸素と化合することによって発生するのですが、比較的低圧縮であるガソリン車では問題が少なく、原理的にガソリンエンジンよりは高圧縮にしなければならないディーゼル車において比較的問題になりやすいのです。マツダではこのディーゼルエンジンを低圧縮化するSKYACTIV-D技術によりNOxの発生を抑えていますが、欧州メーカーはNOx吸蔵還元触媒という特殊な触媒でNOxから酸素を奪って窒素に戻したり、尿素SCRというシステムで尿素を吹き付け、NOxをやはり還元して窒素に戻す仕組みを採用していました。


ディーゼルエンジンではNOxをエンジン側で少なくなるようにするとPM(いわゆる黒い「すす」やPM2.5など)が増加し、逆にPMを下げるとNOxが増えるというトレードオフの関係があり、DPFというフィルタでPMを取り除いているので、DPFがすぐ詰まってしまうという課題を避けるために、エンジンからのNOx排出はある程度仕方ない部分があります。そうなると吸蔵還元触媒や尿素SCRに頼るしかないわけですが、前者は劣化の問題があり、後者は尿素の消費量や交換頻度が問題になってきます。結果としてどこかでバランスをとる必要があるわけですが、NOxの排出規制値が厳しくなればなるほど限界が近づく技術となっています。

ガソリン車、ディーゼル車の廃止は世界各国で時期も決定され進んでいます。しかしこれだけで問題が解決されるわけではなく、多方面での改善が必要とされています。

発電の大幅改善

現在日本で検討されているのが、二酸化炭素の排出量が多い、古いタイプの石炭火力発電の段階的な削減です。現在、日本では石炭火力発電の半分程度を非効率な石炭火力が占めています。政府は法律で定める石炭火力の発電効率に新たな規制を設けることで、電力事業者に石炭火力発電の休止や廃止を促そうとしています。

太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及を図るため、再生可能エネルギーで発電した電力を販売する際の価格に補助を上乗せすることで、発電事業者が参入しやすくする新たな制度も検討しています。政府は今月から国の中長期的なエネルギー政策の方針「エネルギー基本計画」の見直しを始めました。現行の計画では、2030年度に再生可能エネルギーは22%から24%、原子力は20%から22%、火力は56%程度を目指すとしていますが、2050年の脱炭素の達成に向け、計画も大幅に変更される可能性があります。

さらに政府では、二酸化炭素を排出しない次世代のエネルギーとして期待される水素の活用や、二酸化炭素を回収して燃料や化学品に活用する「カーボンリサイクル」という技術の研究開発なども合わせて進めていて、2050年に向けて、技術革新も加速させることにしています。

ESG投資がトレンド

世界では、投資先を選ぶ際に社会的な課題への取り組みを重視する「ESG投資」がトレンドとなり、各国は、“脱炭素”の新たな技術革新に向けて、しのぎを削っています。こうした投資や融資を呼び込み経済成長につなげていくためにも、日本にとって温室効果ガスの排出ゼロに積極的に取り組む姿勢を強調することは重要になっていると思います。

個人個人が投資に活かせる点は?

個人が参入しやすいフィット制度が新たにスタートすれば、長期的な安定的なインカムゲインを得る良い機会となりますので、この制度の進展には常に注視しておく必要がありますね。

ソーラーパネルや設備も年々コストが下がってきていますので、より低いハードルでの参加も可能になっていくことが考えられますし、政府の買取保証が長期でつくことは、日本と言う国が長期借主の賃貸不動産を運営するようなものであり、何より手堅い投資のひとつとなることは間違いありませんので。

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