2026年7月31日 過去24時間の市場動向と経済ニュース
今日のポイント
株式市場はAI投資の収益化を改めて評価しましたが、債券・為替・燃料市場は、インフレ再燃と政策運営への不安を警告しています。
今日の株高を全面的なリスクオンと捉えるのではなく、AI関連株への選別的な買い戻しと、長期金利上昇が同時に進んだ一日として見ることが重要です。
過去24時間の市場ダイジェスト
S&P 500:7,437.63(+1.66%)
S&P 500は大幅反発し、前日の下落をほぼ取り戻しました。マイクロソフトが15%超上昇し、1日で約4,500億ドルという米国企業史上最大の時価総額増加を記録したことが指数を強く押し上げました。11業種中7業種が上昇し、値上がり銘柄数も値下がり銘柄数の約2.2倍となりましたが、上昇の中心は引き続き大型テックとAI関連株です。
ナスダック指数:25,122.18(+2.78%)
ナスダックは半導体株とクラウド関連株を中心に急反発しました。マイクロソフトの設備投資が市場予想を下回る一方、クラウド売上高の見通しが強かったため、AI投資の過剰懸念がいったん後退しました。PHLX半導体指数は8.2%上昇し、マイクロン、AMD、サンディスクなどが二桁高となりましたが、AI支出を収益へ転換できる企業と、資金負担が先行する企業との選別は続いています。
米国10年債利回り:4.6630%(+0.89%)
米国10年債利回りは前日比で約4ベーシスポイント上昇しました。6月のPCEインフレは鈍化したものの、4~6月期の民間国内需要が年率3.9%と強く、景気が利上げに耐えられるとの見方が債券売りを促しました。FRBが明確な先行き指針を示さないなか、30年債利回りは一時19年ぶりの高水準に達しており、株高の裏側では期間プレミアムとインフレ不安が残っています。
ビットコイン:64,681.86ドル(+1.40%)
ビットコインは米ハイテク株の急反発とドル安を受けて64,000ドル台後半まで上昇しました。ただし、FRBの次の政策変更が利下げではなく利上げになる可能性も意識されており、株式ほど明確なリスクオンにはなっていません。小幅な値動きのなかでも暗号資産デリバティブでは約2億8,600万ドルの清算が発生しており、方向感の乏しさに対してレバレッジが依然として高い状態です。
過去24時間の重要経済・金融ニュース
マイクロソフトが史上最大の時価総額増、AmazonもAWS加速 AI相場は「支出額」から「回収速度」へ
マイクロソフト株は30日に15%超上昇し、時価総額を1日で約4,500億ドル増やしました。市場が評価したのは単なるAI関連売上高ではなく、クラウド成長を維持しながら設備投資を市場予想以下に抑え、今後もキャッシュを生み出せると示した点です。さらに取引終了後、AmazonはAWS売上高が前年同期比37%増の422億ドルとなり、18四半期ぶりの高い成長率を記録しました。Amazon株も時間外で一時9%上昇し、企業のAI需要がクラウド収入へ転換され始めているとの期待を強めました。一方、Amazonの直近12カ月のフリーキャッシュフローは76億ドルの赤字であり、投資負担そのものが解消したわけではありません。今日の進展は、AI支出の大きさを一律に嫌う相場から、売上高や受注残へ転換できている企業を選別する相場への移行です。今後はAmazon、Microsoft、Alphabetのクラウド成長率に加え、設備投資額とフリーキャッシュフローの差を確認する必要があります。
米GDPは1.5%成長に減速、内需は3.9%増 「弱い景気」とは言い切れない内容
米国の4~6月期実質GDPは年率1.5%増となり、1~3月期の2.1%から減速しました。ただし、成長率を押し下げた主因は、AIインフラ用の半導体や通信機器などの輸入増加と在庫減少であり、最終需要は弱くありませんでした。個人消費は年率3.2%増、設備投資は15.2%増となり、貿易・在庫・政府支出を除いた民間国内最終需要は3.9%増と2023年初め以来の強さです。一方、6月のコアPCEインフレ率は前年比3.3%とFRB目標を上回り、4~6月期の国内購入価格指数も年率5.7%上昇しました。景気の底堅さとインフレ圧力が併存するため、今回のGDP減速を利下げ材料と単純に解釈するのは難しい状況です。また、家計貯蓄率は2.7%まで低下しており、税還付や資産価格上昇に支えられた消費が秋以降も続くかには疑問が残ります。投資家は次に、雇用、実質所得、ガソリン価格が消費をどの程度圧迫するかを確認すべきです。
円が一時3%急騰、政府介入の観測強まる 日銀会合後のキャリー取引に警戒
外国為替市場では、ドルが一時3%下落して158円台となり、円は2022年以来最大の上昇を記録しました。日本政府は介入を確認していませんが、10分間で約81億ドルのドル売り・円買いが観測されるなど、通常を大幅に上回る取引量から市場では介入観測が強まっています。円は今週、1ドル=164円近辺と約40年ぶりの安値を付けており、エネルギー輸入価格と国内物価への影響が深刻化していました。日本当局は4月から5月にも700億ドル超を投入したとされますが、その後円安が再開したため、今回の上昇が持続するかは不透明です。焦点は31日の日銀会合で、政策金利を据え置いたとしても、今後の利上げについてどの程度強いメッセージを示すかが問われます。円高が続けば、日本株の輸出関連銘柄だけでなく、円を調達して米国株や債券を買うキャリー取引の巻き戻しにもつながります。投資家は155円付近への追加上昇、日銀の声明、米国債市場での海外投資家の売買を確認する必要があります。
原油が下がっても燃料価格は高止まり 精製設備の被害が新たなインフレ経路に
原油価格は1バレル=90ドル前後まで下がりましたが、ガソリン、軽油、ジェット燃料の価格は高止まりしています。原因は原油そのものの不足ではなく、中東とロシアの製油所が相次いで停止し、原油を使用可能な燃料へ加工する能力が不足しているためです。欧州の低硫黄軽油とブレント原油の価格差は1バレル当たり74.66ドルと過去最高を記録し、米国のディーゼル精製マージンも過去最高となりました。サウジアラビアのジザン製油所は攻撃後に停止し、クウェートのアルズール製油所も一部操業を停止しています。さらにウクライナによるロシア製油所への攻撃を受け、ロシア政府はガソリンとディーゼルの輸出を制限しています。この状況では原油先物が下落しても、輸送費、農業コスト、航空運賃、商品価格へのインフレ圧力が十分には低下しません。次に確認すべきなのは原油価格だけではなく、精製マージン、製油所の復旧状況、米国のガソリン・軽油小売価格です。
