経済ビジネス

ブラックスワン、破壊的被害をもたらすもの

ブラック・スワンとは?

ブラックスワンとは、金融市場・マーケットにおいて、事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のことをいう。

元ヘッジファンド運用者でもある研究者、ナシーム・ニコラス・タレブが2007年に刊行した著書『ブラックスワン(The Black Swan)』で言及したのがきっかけで、一般的に使われるようになった。従来、すべてのスワン(白鳥)は白色と信じられていたが、オーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、鳥類学者の常識が大きく覆されることになる。

これにちなんで、確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることをブラックスワンと呼ぶようになった。具体例としては2008年のリーマンショック、最近では2016年6月の英国EU離脱、12月のアメリカのトランプ大統領当選などが挙げられており、2020年の新型コロナのパンデミックによる株式市場の急激な暴落もブラック・スワンと考える専門家も多い。

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起きている最中は状況を誰も理解できない

『ブラック・スワン』の著者、ナシーム・ニコラス・タレブによれば、ブラック・スワンが起きている最中は、「どうなっているのか誰にもなんにもわからない」という。

たとえば、タレブの生まれ故郷・レバノンで内戦が起きたとき、大人たちは、戦争は「あとほんの数日で」終わると言い続けていたが、結局17年近くも続いたという。

新型コロナというブラック・スワン

2020年の新型コロナパンデミックも同じ状況にあると考えられる。いろんな人が、いろんな立場から、いろんなことを言っているが、いまのところ、何がどうなっているのかを明確に語れる人はどこにもおらず、専門家の意見の間違いも多い。そして政府の対応自体がいつもちぐはぐで、見切り発車になり、あとから訂正することが多すぎる。

緊急事態宣言がいつ終わるのか、日本の医療体制はどうなるのか、特効薬やワクチンはいつできるのか、日本でどれだけの被害が出るのか、これから日本と世界の経済・社会がどうなるのか?誰にもはっきりとした予測はついていない。

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リーマン・ショックでは誰もが予測を変えながら行動していた

リーマンショックが起こったときも、誰も今起こっていることを正確に理解できていたわけではなく、専門家を含めた関係する誰もが「こうなるかもしれない」「こうなるんじゃないか」と、日々予測を変えながら動いていった。

巨大投資銀行のベア・スターンズが倒れ、それにより多くの専門家が「次はリーマン・ブラザーズがやばい」と予測をし、株式市場で株が売られることで株価が急落した。リーマン・ブラザーズがいよいよ危なくなると、「次はメリルリンチだ」「モルガン・スタンレーも絶体絶命だ」「ゴールドマン・サックスだって安泰じゃない」と市場参加者の誰もが思うようになった。

その後、最終的にはリーマンとAIGが破綻し、メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買収され、モルガン・スタンレーはギリギリのところで三菱UFJに救済されて、ゴールドマン・サックスは危機を逃れることができた。リーマン・ショックが起こるそもそもの要因は過剰流動性資金や金融業界のグリードにあるが、この詳細の流れについては、こちらの記事から理解を深めてほしい。

>>リーマン・ショックとは?

>>リーマン・ショックの元々の要因であるサブプライム問題とは?

誰にも正解はわからない

この当時、誰もが最終的にこのような結果になると思ってもいなかった。ポールソン財務長官もガイトナーNY連銀総裁もバーナンキFRB議長もこの結果を予想できていなかった。だからこそ、誰もが少しずつストーリーを書き換えながら、それぞれが起こり得るリスクを想定しつつ、ブラック・スワンのなかで行動を起こし、その都度、目の前の問題に対応していったのだ。

モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスも破綻する可能性も十分にあったのだ。リーマン・ショックではなく、メリルリンチ・ショックになっていた可能性もある。世界経済はもっと深刻な事態に陥っていた可能性もあった。

そしてもしリーマン・ブラザーズを救済できていたならば、その後の世界中の財政支援策はもっと少ない形で済んだのかもしれない。

新型コロナはブラック・スワンの真っ最中だということ

2020年7月後半のいま、新型コロナは収束したわけではなく、世界的な感染拡大は日に日に増している。ブラック・スワンは終わったわけではなく、今まさに続いている状況にあるのだ。

テレビ、インターネット上のニュース、SNSでは日々様々な情報が更新されている。テレビ報道でさえ、あとから考えると間違っていたというものもある。どれが本当に正しい情報なのかを判断することが非常に難しく、正しい情報ソースから正確な、最新の情報を入手し、理解し、自らの中で更新し続ける必要がある。

ブラック・スワンの禍中では、誰ひとり他人ごとではいられない。誰かのちょっとした行動が、良くも悪くも未来を大きく変える可能性もある。SNSではデマ情報ほど広がりやすいことは、春先にマスクやトイレットペーパーが、蒸発するように店頭から無くなったことをみても明白である。過剰流動性で上昇する株式市場も、多くの人が “ やばい ” と逃げ出した瞬間に、パニック的な暴落が起こることも常に意識しておく必要がある。

大局を俯瞰し、過去の統計データも理解し、SNS上の負の感情の増加にも注意を払っておくと、中期的な市場の動きも推測できるので、是非これも参考に活かしてほしい。

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チャーリーTAKA
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日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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