尖閣諸島のもつれた歴史
現在、尖閣諸島について日本、中国とで争っていますが、これを理解するには歴史を理解する必要があります。かなり長くなりますので、詳細は割愛しますが、結論として「尖閣諸島は日本の固有の領土」です。
日本は、尖閣諸島が無人島であるのみならず、他国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で、1895(明治28)年1月に閣議決定を行って沖縄県に編入しました。これは、国際法上、正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています。その後、日本政府許可の下、尖閣諸島に移住し、鰹節工場や羽毛の採集などの事業を展開し、200名ほどが暮らしています。
日本は領土として支配していますが、中国側はこれに抗議し、何十年にも渡りそれが続いています。歴史的要因は、割愛しますが、直近で起こっている中国の動き、それによって尖閣諸島を奪われる状況もあり得る流れとなっていますので、今回はそれについて解説します。
中国、海警法成立、警戒が強まる
中国の全国人民代表大会常務委員会は、中国海警局に外国船舶に対する武器使用を含む権限の拡大を認める「海警法」を可決し、成立しました。これはなにを意味するのか?西太平洋で偶発的な軍事衝突のリスクを高める恐れがあり、当然日本でいえば尖閣諸島が警戒されます。
海警法施行は、2月1日から。現在1月25日ですが、もう一週間もすれば、中国側の判断で「邪魔する外国船」に認定されると攻撃を受けるということです。
中国海警法
・国家主権と安全保障、海洋権益を守る
・武器使用を含む「あらゆる必要な手段」の行使が認められる
・海警局員が中国の「管轄海域」で外国船に乗り込み検査することも可能
中国は、尖閣諸島だけでなく、資源豊かな南シナ海海域でマレーシアやフィリピン、ベトナムなどと領有権を争っており、この辺りも狙いではないかと考えられます。
中国共産党100周年
中国共産党が、建党から100周年を迎えます。皮肉にも、設立年月日が、7月23日。7月23日といえば、東京オリンピック開会日と重なっています。現在、新型コロナウイルスで開催がどうなるか話題になっていますが、開催されても、されなくても2021年の7月23日は注目しておく必要があります。
100周年となる節目。なにもせずに終わるはずがないと考えるのが普通の流れではないでしょうか。また、新経済五カ年計画の初年度の年でもあります。
・国家の戦略的科学技術力の強化
・産業チェーン・サプライチェーンの自立的なコントロール能力の増強
・内需拡大を戦略的ベースにすることを堅持
・改革・開放の全面的な推進
・優良種子と耕地問題の解決
・独占禁止の強化と資本の無秩序な拡大の防止
・大都市の住宅の突出した問題の解決
・カーボンニュートラル活動の推進
異例の2035年までの長期目標も掲げられています。
・1人当たりの国内総生産(GDP)を中位の先進国並みに引き上げる
・主要分野の核心技術で重要な突破(ブレークスルー)を成し遂げ、イノベーション国家の先頭に並ぶ
・都市と農村の格差是正に取り組む
近年、日中軍事力に大きな差
少し前の記憶のままの人が多いのではないか?と思うので、少し説明しますと、日本の自衛隊は優れている、日本の軍事力は世界でも群を抜いているなどの考えがあると思われます。これは、大きな間違いとなってきていますし、自覚しておく必要があります。世界の軍事費は、米国と中国で約半分となっています。
2019年(最新軍事費)
*軍事費総額:1兆9,072億米ドル
・米国:7,318億ドル
・中国:2,611億ドル
・日本:476億ドル (世界9位)
米中共にいえる日本との違いは、あらゆる場所に軍事力を分散させる必要がある国であるということは付け加えておきます。そんな中、日本の軍事費は毎年横ばいの状況となっています。これは、緊縮財政によるものが大きいと思われますが、中国が力をつけてきていることは間違いありません。
完全方向転換、バイデン政権は世界的リスク
バイデン新大統領が誕生し数日経ちますが、目立つのが、トランプ政権期に行なっていた内容の変更です。日中の関係は、引き続き強固な姿勢で挑むとされているものの、どうもほぼトランプ政権の逆をやりたいように見受けられる内容が多いです。このような状況から、日本へのリスクも高まる可能性が高まると考えられます。
茂木外相の弱腰外交
2020年11月24日にあった日中外相会談後の共同記者発表において、王毅国務委員兼外相の発言に対しての茂木大臣の対応が、波紋を呼んでいます。
流れとしては、茂木氏の当たり障りのない発言後、王氏が外相会談の成果について「ここでひとつの事実を紹介したい」と切り出し、「一部の正体不明の日本漁船が釣魚島(尖閣諸島の中国名)周辺に入っている。中国側としてはやむを得ず、必要な反応をしなければならない」などと強く主張。
ここからが問題視されているのですが、その瞬間、茂木大臣はなにも言わずに内容を聞いて、ニヤニヤしていた表情が取り上げられ、非常に大きな批判となりました。茂木大臣は、紳士的にルールを守ったとした上で、再度中国を強く批判しましたが、その場でなにも反論しなかったことに大きな疑問を抱いた国民が多くいました。
菅首相もこの件に関しては、自分ならと付け加えた上で、「その場で言い返している」としています。これは、その場で否定しなかった=認めた、という中国側の勘違いが出てもおかしくない内容となりました。
習近平の思惑以上に過剰に動く姿勢
中国習近平国家主席の意向は常に重視されるのが、中国共産党のあるべき姿ですが、ここで気をつけなければいけないのが、習近平氏の思惑以上に物事が過剰に動くことです。今回の海警法に関しても他国への牽制だったとしても、下の人間はそう捉えるでしょうか。一触即発の場面で武器を使っていいという認識を持つ人間が出てくる可能性も意識しておかなければならないさらに一歩進んだ法律が施工されるということです。
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