株式市場での勝ち組業種は?
新型コロナによる株式市場への影響は、業種別で勝ち負けが分かれだしている。中長期的な視点から考えた場合、これは入れ替わる事が考えられるが、5月の現時点での状況をまずは解析してみると?
騰落上位セクターは医薬品、その他製品、保険業と、新型コロナにより業績への追い風が予想されるセクターが続いた。
株式市場での負け組業種は?
騰落率下位のセクターは空運業、鉄鋼業、その他金融業となった。騰落上位セクターとは対照的に新型コロナにより悪影響の大きいセクターが顕著に伸び悩む形となった。
個々の銘柄で特徴的だったものとしては、空運業では、世界的な移動制限の大打撃を受けているANAホールディングが下げ止まらず、年初の価格は3,539円。株式市場が大きく下げた3月半ばの安値は2,442円。
株式市場が上昇する中で、3月27日は2,999円まで上昇するも、5月18日時点では2,236円と年初から37%下落している水準にある。金融機関に1.3兆円の融資を求めており、資金繰り懸念が生じているほか、例年稼ぎ時であるゴールデンウイークも自粛が続いたことにより、厳しい状況が続いている。
2番目に弱かった鉄鋼業は、米中貿易摩擦の影響から新型コロナによる需給ギャップと逆風が続くセクターになる。中でも大幅な下方修正を発表した日本製鉄とJFEの株価は、1倍を目安とするPBRで0.3〜0.24倍をつけるなど低迷を続けている。
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3番目に弱かったその他金融業は、航空業界の落ち込みが波及し、航空機リースが打撃を受けていることからリース関連企業の下落が目立っている。中でも優待銘柄として個人投資家にも人気があるオリックスは、年初の高値の1,949円から現在の1,248円と36%以上下落し、株価は低迷している。
アフターコロナに強いセクターは?
直近の株価の動きは新型コロナによる特需や短期的な悪影響の反映であるとの見方もできるが、これから注目すべきは専門家会議が提案する “ 新しい生活様式 ” にある。
長期的なライフスタイルの変化を株価に先取りする企業もあるが、まだまだ出遅れている会社も多いように思われる。特に役割の変化が予想されるセクターを例にあげてみる。
家庭用ゲーム業界の役割が変わる
家庭ゲーム機は新しい生活様式は必須なものとなるだろう。騰落上位2番目のその他製品セクターに属する任天堂は、外出自粛に伴うゲーム需要の増加から、3月16日の安値の32,950円から現在の株価は44,560円と35%以上上昇している。
主力製品であるニンテンドースイッチは生産が追い付かないほどの人気を見せており、今回使用を開始したユーザーが継続的に使用することで、業績が押し上げられることも考えられる。
そして、人々の生活様式の変化が追い風となることも考えられる。今後テレワークが広がりを見せた場合、通勤の時間がなくなるため、通勤時間の暇つぶしとしての利用は減ることになるが、その時間を使って家でゲームを楽しむ人も増えるのではないだろうか。
スマホゲームを家庭ゲーム機が代替し、需要が高まる可能性も期待できるし、家族内でのコミュニケーションツールとしてゲーム機が活躍することも期待される。
マスクの価格は一時より下落したが
新型コロナの世界での流行の蔓延で、連日店舗での品切れがニュースで報道されていたマスクだが、現在はかなり落ち着きを取り戻し、マスクバブルは終焉したように感じられる。
株式市場でも医療用衛生材料最大手である川本産業が1月下旬に10連続ストップ高を記録するなど、新型コロナの影響を先取りして動きがあった。リバウンド相場ではセクターとして目立った動きはなかったが、今後の動きも注目していくべきだろう。
今までは風邪気味の際に周りに迷惑をかけないため、最小限を家庭に保管しておく存在だったマスクが、アフターコロナではエチケットとしてマスクの常時使用がスタンダードになる可能性もある。マスク着用の文化がなかった米国でもマスクをつけることが推奨されるなど、マスクを取り巻く環境は劇的に変化しており、一時的な人気銘柄としてではなく、長期的に成長産業となる可能性を秘めている。
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テレワーク環境に寄与する上場企業に注目
外出自粛規制の中で進んだテレワークだが、アフターコロナではテレワークを継続して推奨する企業も数多くでてきており、人の働き方は確実に変わっていく。
その中で注目すべきは、家庭内でテレワークを行う上での環境を改善してくれる、関連企業に注目すべきだろう。都心から地方への移住も増えることも考えられるし、住宅のリフォーム事業は大きく成長するだろう。家具、PC周辺機器、通信状況の改善、オンライン会議ソフトなども恩恵を受けるだろう。
日本への影響は小さいと思われていた新型コロナは今や、従来のライフスタイルを激変させてしまった。アフターコロナでは、自分の生活を見直すと同時に、それを実践しつつ、体現し気がついたこと、その変化を投資に活用していくことが投資の成果を上げることにつながるのではないだろうか。
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