東京オリンピックが中止になる可能性も浮上
日本医師会の横倉義武会長は4月28日、日本外国特派員協会のオンライン会見で、新型コロナに対する有効なワクチンが開発されなければ、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催は中止になる可能性があるとの見方を示した。
横倉会長は「その時点での世界的な感染の状況がポイントになる。感染が拡大しているという状況であればなかなか難しい」と述べている。
現時点では、WHOもワクチンが出来上がり、使用されるようになるまでは最低1年以上かかるとの見解を示しており、ワクチンが世界中に配布され、多くの市民がワクチン接種するまでには1年半〜2年はかかるだろう。
米国時間4月21日、CDC(米疾病予防管理センター)のロバート・レッドフィールド所長も、ワシントン・ポストのインタビューで、
「今度の冬、新型コロナは今回よりもさらなる猛威を振るう可能性がある。我々は季節性インフルエンザの流行と新型コロナウイルスの流行に同時に向き合うことになる」
と警告しており、2021年の東京五輪の開催が中止になる可能性も今から考えておく必要があるだろう。
東京オリンピック中止の可能性は?当局の対応
コロナの感染の中心がアジアだったとき、国際オリンピック委員会のバッハ会長は、予定通りに開催するという姿勢を崩さなかった。それが、イタリアを中心としたヨーロッパ各国やアメリカに感染が広がった時点で流れは変わった。
3月22日、バッハ会長が延期も含めて検討すると公表し、4週間以内に結論を出すと語った。それからわずか2日後の24日、バッハ会長と安倍首相が電話で会談し、1年程度の延期で合意した。
4週間が2日に短くなった背景には、欧米各国のオリンピック委員会や競技団体の突き上げがあった。ノルウェーやブラジルなど多くの国が延期を求めると、カナダのオリンピック委員会が、この夏開催なら選手を派遣しないと公表。
さらに、アメリカが代表候補選手へのアンケートを踏まえ、延期を要請したことで流れは決まった。多額の放映権料をIOCに支払っている米テレビ局のNBCが延期を容認したことも、大きかった。日本側にも、3月26日に国内で始まる聖火リレーの前に、一定の結論を出したいという思惑もあった。
東京オリンピック延期の課題は山積み
その後のIOCと日本側の話し合いで、東京オリンピック(五輪)の開幕日は21年7月23日に延期が決まった。現在の新型コロナの感染拡大を考えると、東京オリンピックの1年程度の延期は妥当ともみえるが、課題は山積みである。競技会場や選手村を確保しなければならないのだが・・・・
東京オリンピックでは、会場やメディア施設として、幕張メッセや東京国際フォーラム、東京ビッグサイトなどを利用することになっていた。これらの施設を、準備も含めて長期間、再度確保する必要があり、今大会向けに仮設でつくった施設は、1年分の維持費がかかる。
新型コロナが収束するのか?この点については日本医師会の横倉義武会長、CDCのロバート・レッドフィールド所長の前記の意見から考えると、大会を中止かさらなる延期にせざるをえなくなる。各国の選手選考を考えると、来年春には世界的に収束していなければ現実的に選手の準備も間に合わない。
1年後に大会を開催できたとして、どれだけの経費がさらにかかるのか。大会組織委員会や関係者の間では、3千億円ぐらいになるのではという声が聞かれる。この費用を、国、東京都、大会組織委員会、IOCのだれが払うのかは、まだ決まっていない。
日本オリンピック委員会は1年以上延期は不可と判断
アメリカのスポーツ誌スイミング・ワールド・マガジン編集長のクレイグ・ロード氏が、米国時間4月22日、国際オリンピック委員会ヴァイス・プレジデントのディック・パウンド氏が、“新型コロナのパンデミックが来夏までに十分に抑制されない場合、日本側は、さらなる延期はできないとIOCに言った”と、4月17日のカナディアン・ブロードキャスティング・コーポレーション(CBC)のインタビューで明かしたという。
「日本側は “我々は1年は延期できるが、1年以上は延期できない” と言った。2021年のオリンピックに間に合うように(選手たちが)準備できることを願うしかない」(パウンド氏)
このインタビューが事実だとすれば、日本オリンピック委員会(JOC)は、来夏開催できなかったら完全中止にしたいと考えているのではないか。
東京オリンピック中止で予測されること
もし東京オリンピック(五輪)が中止された場合はどのような影響が考えられるだろうか?
出場する選手の立場ではなく、経済面の影響を考えてみると
・インバウンドビジネスへの大きなマイナス影響
・都心部不動産価格下落
・東京五輪を見込んだ産業の停滞
・東京五輪に期待する各産業の失望感
・日本人全体の喪失感
・株式市場で関連銘柄の継続下落
マイナス影響は様々な形で広がる事が予測できる。
だからこそ、ギリギリまで判断を待つのではなく、前もって東京オリンピックが中止になる可能性を今から予測して行動すべきであろう。
そして、東京オリンピックが中止になるものもと考えるべきであり、チャンスを見つけるためのアンテナを張り巡らせるべきなのである。
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