2026年8月12日 過去24時間の市場動向と経済ニュース
今日のポイント
弱い雇用でいったん後退した利上げ警戒が、原油高とCPIを前に再び「インフレと長期金利」の問題へ戻ってきています。株安はまだ小幅ですが、焦点は株価そのものより、CPIと米国債入札が高金利を正当化するかどうかです。
過去24時間の主要市場動向
S&P 500・ナスダック指数
S&P 500は7,728.20(-0.32%)、Nasdaqは26,445.45(-0.60%)とそろって下落しました。イラン側がホルムズ海峡の再開には米国側の譲歩が必要との立場を改めて示し、原油高が長期化するとの警戒から、AmazonやAlphabetなど大型テック株を中心に売りが優勢となりました。一方でエネルギー株は上昇しており、全面的なリスクオフというより、翌日の米CPIを控えた高バリュエーション銘柄からのポジション調整という色合いです。
米国10年債利回り
米10年債利回りは4.6840%(-0.32%)へ小幅低下しました。原油高とインフレ懸念は本来金利上昇要因ですが、11日の580億ドル規模の3年債入札が堅調で、入札前水準を0.5bp下回る4.291%で落札されたことが債券市場を支えました。ただし30年債利回りは一時5.28%近辺まで上昇しており、12日のCPIと420億ドルの10年債入札が長期金利の次の方向を決める重要イベントになります。
ビットコイン
ビットコインは63,610.59ドル(-0.47%)と、65,000ドル回復に何度も失敗したあと64,000ドルを割り込みました。先週は米現物BTC ETFに8.5億ドル超が流入しましたが、今週初日は約1.44億ドルの流出となり、ETF買いと既存保有者・企業からの売りが拮抗しています。株式同様に最大の材料は12日のCPIで、足元では63,000ドル近辺の需要帯を維持できるかが短期的な焦点となっています。
過去24時間の重要経済・金融ニュース
ホルムズ再開交渉なお膠着 原油高が「CPI待ち」の米株を圧迫
11日は、前日の原油5%急騰からさらに一歩進み、ホルムズ海峡問題が一時的な価格ショックではなく長期化する可能性が意識されました。イラン国家安全保障最高評議会の新書記は、米国が行動を改めイラン側の条件を受け入れない限り海峡は閉鎖されたままだと表明しています。Brent原油は一時90ドル近辺まで上昇し、米株ではエネルギー株が上昇する一方、金利感応度の高い大型テック株が下落しました。重要なのは、12日発表の7月CPIには直近の原油再上昇が十分反映されないため、仮にCPIが鈍化しても市場が素直に「インフレ沈静化」と判断しにくくなっている点です。前日は「ホルムズ再開期待の後退」がニュースでしたが、今日は原油高が金融政策判断を再び難しくしていることが焦点です。今後はBrentが90ドル前後で定着するか、米国のガソリン・インフレ期待へ波及するかを見る必要があります。
米国債3年物は堅調入札 CPIと10年債入札が12日に同時到来
11日に実施された580億ドルの米3年債入札は、落札利回り4.291%、入札倍率2.71倍と比較的強い需要を集めました。これが10年債利回りを4.68%台へ押し戻す一因となりましたが、本当の試験はこれからです。米財務省は今週合計1,250億ドルを発行し、12日に420億ドルの10年債、13日に250億ドルの30年債を入札します。しかも12日の10年債入札は、その数時間前に発表される7月CPIを消化した直後に実施されるため、インフレと財政・国債需給を同じ日に市場が評価する構図になります。Reuters調査では債券ストラテジストは中期的な金利低下を予想しながら、82%が3カ月後の10年金利について予想より上振れるリスクの方が大きいと回答しています。株式、とりわけ大型グロース株を見る上でも、CPIそのものだけでなく10年債入札後の利回りを確認する必要があります。
CoreWeaveとSuper MicroがAI需要の強さ確認 資金調達論から「実需」の検証へ
前日はNvidiaによる5,000億ドル規模のAIインフラ金融構想が焦点でしたが、11日はその巨額投資を正当化する実際の需要が存在するのかを決算が検証しました。CoreWeaveの4~6月期売上高は25.8億ドルと市場予想を上回り、受注残は1,042億ドル、今四半期に入ってからも250億ドル超の新規契約を獲得し、株価は時間外で一時約10%上昇しました。ただし同社の四半期設備投資は94億ドルと、前年同期の29億ドルから急増しています。Super Microも売上高をほぼ倍増させ、2027年度売上高を650億~720億ドルと市場予想を大きく上回る水準で見込み、時間外で上昇しました。これはAIブームの需要面には強い裏付けですが、一方で巨額CAPEXと資金調達を必要とする構造も鮮明にしています。今後はNvidiaだけでなく、CoreWeaveなどAIインフラ企業の受注残、設備投資、資金調達コスト、利益率をセットで見る局面に入っています。
中国新車販売21%減、輸出は88%増 内需不振が世界への「輸出圧力」に転化
中国の7月国内乗用車販売は前年比21.1%減の147万台となり、10カ月連続で前年を下回りました。一方、輸出台数は88.2%増の92.3万台、EV・プラグインハイブリッドの輸出に限れば147.8%増となっています。つまり中国自動車産業は縮小しているのではなく、国内で吸収できなくなった生産能力が海外市場へ急速に向かっているという構図です。BYDなどは欧州、東南アジア、中南米、中東への販売を強化し、GeelyはFordのスペイン工場を利用したEV生産にも動いています。これは中国景気悪化を単純な世界需要減少として見ると見落としやすいポイントで、むしろ欧州・日本・韓国の自動車メーカーには価格競争とマージン圧迫として波及する可能性があります。今後は中国国内販売よりも輸出台数、EUなどの通商政策、中国メーカーの海外現地生産の伸びを見る方が、グローバル自動車株への影響を把握しやすくなります。
