2026年8月3日 過去24時間の市場動向と経済ニュース
今日のポイント
市場の焦点は「攻撃が起きるか」から、「緊張緩和が原油供給・インフレ・企業利益の実体に波及するか」へ移りつつあります。
トランプ政権の対イラン攻撃見送りはリスク資産に追い風ですが、ホルムズ海峡の正常化はまだ確認できません。OPECプラスの増産やAI関連企業の利益も、表面的な数字と実際の供給・キャッシュフローを分けて見る必要があります。
過去24時間のビットコイン
ビットコイン、6万2,500ドル台から反発 対イラン攻撃見送りで買い戻し
ビットコインは一時6万2,519ドルまで下落した後、6万3,500ドル近辺まで反発し、最新価格は6万3,372.60ドル、24時間比1.23%高となりました。
前日までの下落には、CoinbaseやStrategyの決算不振、米スポットETFからの資金流出、FRBの利下げ期待後退が影響していました。
その反動に加え、トランプ大統領がイランへの新たな攻撃を見送り、ホルムズ海峡再開に向けた交渉を優先すると表明したことで、週末のリスク回避姿勢がやや後退しました。
ただし正式合意はなく、イラン側も航路交渉と海峡の全面再開は別問題と説明しているため、上値追いは限定的です。
今回の上昇は安全資産としての買いというより、薄商いの週末市場における地政学リスク後退と売られ過ぎの修正とみるのが妥当で、6万3,500~6万4,000ドルを明確に回復できるかが次の焦点です。
過去24時間の重要経済・金融ニュース
トランプ氏、対イラン再攻撃を見送り 市場は「海峡再開」の実行力を注視
トランプ大統領は、イランおよび複数の中東諸国から交渉時間を求められたとして、計画していた新たな対イラン攻撃を見送ると表明しました。
条件は、イランの核開発を抑制し、ホルムズ海峡を迅速かつ全面的に再開する合意が成立することです。
これを受けて日曜日に取引された湾岸株式市場では、サウジアラビア株が1.1%、カタール株が1.3%上昇し、金融・エネルギー株を中心に買い戻しが入りました。
ただしイラン政府は、オマーンとの航路協議は最終段階にあるものの、海峡の開閉とは別の協議だと説明しており、米国側との認識差が残っています。
イスラエルも、イランが核・弾道ミサイル計画を再開すれば独自に攻撃すると警告しており、停戦が固定化したわけではありません。
原油、インフレ期待、米長期金利、航空・海運株、BTCを含むリスク資産に直接影響するため、今後は声明よりも実際のタンカー通航量を確認する必要があります。
週明けの市場では、原油価格がどこまで下がるか、米国とイランが具体的な合意期限や検証手続きを示すかが最初の判断材料となります。
OPECプラス、9月に日量18.8万バレル増産 「数字だけの供給増」に注意
OPECプラスの主要7カ国は、9月から原油生産枠を日量約18万8,000バレル引き上げることで合意しました。
これにより、2023年に始まった日量165万バレルの自主減産については、段階的な縮小が一通り完了します。
もっとも、イラン戦争やウクライナ戦争による湾岸諸国、ロシア、カザフスタンの輸出障害により、これまで発表された増産の多くは実際の輸出増加につながっていません。
今回の決定も、ホルムズ海峡の通航や損傷したエネルギー施設が正常化しなければ、世界市場への実質的な供給増は限定されます。
また、OPECプラスは10~12月の方針を明示せず、さらに別枠の日量約200万バレルの減産は2026年末まで維持する予定です。
したがって、今回の発表を単純な原油弱気材料と捉えるのではなく、「地政学的な輸出制約が解除された場合に供給余剰が生じる可能性」が高まったと見るべきです。
投資家は週明けの原油先物だけでなく、湾岸諸国の積み出し量、タンカー運賃、OPEC加盟国の実生産量を確認する必要があります。
中国、欧米との通商協議を前に産業政策の「譲れない一線」を明示
中国政府は、欧州および米国との通商協議を前に、先端製造業と輸出を重視する現在の経済モデルを大幅には変更しない姿勢を打ち出しました。
欧米側は、中国の補助金や過剰生産能力が安価な輸出を生み、他国の製造業を圧迫していると批判しています。
しかし中国は、過剰生産という指摘を保護主義的な主張として退け、消費中心の景気刺激や大規模な構造改革よりも、産業支援の継続を優先する構えです。
一方、中国人民銀行は景気安定のため「適度に緩和的」な金融政策と潤沢な流動性を維持し、地方政府債務の処理やインフラ支出も支援すると表明しました。
中国の4~6月期成長率は4.3%と3年超ぶりの低水準となっており、短期的な金融緩和と、輸出・投資依存モデルの維持が同時に進むことになります。
これは中国株だけでなく、欧州自動車・機械、鉄鋼、化学、レアアース、産業用金属や新興国通貨にも波及しやすい構造的な材料です。
今後は政策金利の変更より、地方債発行、銀行融資、設備投資、対EU追加関税など、実際の資金供給と通商措置を確認する必要があります。
AI投資の含み益が米企業利益を押し上げ 決算評価は「本業の稼ぐ力」へ
米主要企業の4~6月期決算では、AI企業への出資価値上昇による未実現利益が、利益成長率を大きく押し上げていることが明らかになりました。
Amazonの1株利益は前年同期比242%増となりましたが、その背景には主にAnthropicへの投資から生じた500億ドル超の評価益があります。
AlphabetもSpaceXやAnthropicへの投資評価益により、1株利益が約300%増加しており、S&P500全体の利益成長率にも影響を与えています。
これらは会計上の利益ではあるものの、クラウドやAIサービスから得られる営業キャッシュフローとは性質が異なります。
今週はSpaceXの上場後初決算に加え、AMDやメモリー関連企業などの発表が予定され、AIインフラ投資の収益化能力が改めて試されます。
市場への盲点は、指数全体の利益成長が強く見えても、評価益を除いた本業利益やフリーキャッシュフローはそれほど増えていない可能性があることです。
投資家は見出しのEPS成長率だけでなく、評価損益を除いた営業利益、設備投資額、AI設備の稼働率、資金調達コストを比較する必要があります。
