政治混乱

ロシアのプーチン体制は今度どうなるのか?

ロシアプーチン

プーチン大統領による長期独裁体制は何処まで続くのか?

ロシアの調査機関レバダが2月12日に発表した世論調査によると、プーチン大統領に対する信頼感が1月、過去6年で最低水準に低下した。大統領に対する信頼感は低下を続け、1月は35%となり、2017年11月の59%から、大幅な低下となった。

支持率は高水準を維持し、大統領の支持率は2018の年金支給年齢引き上げ発表と長年の所得減少で急落したが、ここ数カ月は安定し68%に小幅上昇した。

レバダの社会学者デニス・ボルコフ氏は、今回の数字は2014年のクリミア半島編入で大統領への信頼感が上昇する前の時期以来の低水準だと述べた。

そして、多くのロシア人がプーチン大統領を全般には評価しているが、有力政治家としてのプーチン氏に対する疲れの感情も存在していることを示していると指摘している。

プーチン大統領は支持はされているが有力者としての重要性は低下しているということだ。

プーチン大統領は2020年1月15日、本人として通算16回目となる大統領年次教書を発表し、教書の中でロシア憲法改正案に言及し、2024年以降のプーチン後のロシアの世界を垣間見せた。

大統領年次教書発表直後にメドベージェフ首相は内閣総辞職を発表した。それにあわせ、プーチン大統領は直ちにミシュースチン税務長官を新首相候補としてロシア下院に提案した。そしてロシア下院は翌16日に新首相候補を審議後、賛成383票、反対ゼロ、棄権41票にて首相候補を承認し、1月21日には新内閣が発足することになった。

驚くほど速やかに行われた一連の作業は、前もってシナリオが描かれており、プーチン大統領の描く通りに進んだと言えるだろう。

過去のプーチン大統領年次教書ではどのような内容な議題だったのか?

2000年7月8日:国家は分裂の危機に直面しており、強いロシアの実現を目指す
2001年4月3日:大統領就任1年間の総括:国家としての統一強化成功
2002年4月18日:国家の目標は不変→民主主義の発展と繁栄した露国家
2003年5月16日:国家10年計画発表;GDP倍増/貧困撲滅/軍改革
2004年5月26日:ESPOパイプライン建設構想
2005年4月25日:ソ連邦崩壊は20世紀最大の地政学的大惨事
2006年5月10日:宇宙開発の重要性強調
2007年4月26日:エリツィン時代を回顧
2012年12月12日:21世紀の露発展のベクトルは東方に向かう
2013年12月12日:シベリア・極東経済特区構想発表
2014年12月4日:ウクライナとクリミア併合問題に言及
2015年12月3日:露下院選挙対策
2016年12月1日:欧米の対露経済制裁措置→輸入代替品促進
2018年3月1日:各種新兵器紹介→軍事力強化誇示
2019年2月20日:内政中心
2020年1月15日:憲法改正提案→教書発表後、内閣総辞職→首相候補指名

 

プーチンの院政による長期体制の現実化

今回の大統領年次教書の内容は、第4期目の大統領任期が切れる2024年5月以降のロシアの政治体制を示唆する重要な内容になっており、教書最後の部分でロシアの憲法修正案に言及している。

現在第4期2年目のプーチン大統領の任期は2024年5月までで、2024年以降のプーチン去就に関しては、従来下記3つの選択肢が論じられてきた。

1)憲法の大統領連続3選禁止条項を撤廃して、自分が事実上終身大統領になる
2)2024年首相職に就き、6年後また大統領に復帰する
3)ロシア・ベラルーシ国家連合を創設して、国家連合の大統領に就任する

今年の大統領年次教書は1月15日に発表され、翌16日には75人から成るロシア憲法改正案検討委員会が発足した。1月20日には憲法改正案がロシア下院に提出され、下院は1月23日の第1読会にて賛成432票を以て採択し、第2読会は2月11日に予定されている。

憲法改正案が事前に用意周到に準備されていたことを物語っており、1月20日下院に提出された改正案では、プーチン院政の方向性が打ち出されたと言えるのではないだろうか。

プーチン体制は今後も当面続くことになり、良し悪しは別として、長期安定体制、強権が継続することにより、ロシアという国の確固たるポジションは継続されることになる。

ただし、新型コロナウイルスによる資源価格の低迷はロシア経済に対しては、じわじわとボディーブローのように効いてくることも予想でき、更に国民の信頼感が低下することになれば、盤石な基盤のほころびも見えることもあるだろう。

日本としては北方領土問題の当事国ではあるが、ロシア側には領土問題はそもそも無いという認識も強く、解決の目処はつかない。

日本の金融市場に与える直接的な影響は限られているが、ドイツ経済もリセッション入りが囁かれる中、ヨーロッパ各国への影響は注視すべきである。

ルーブルを持つ妙味が高まる可能性も!

ルーブル:円相場はこの2年ほど狭いレンジ幅で推移しているが、新型コロナウイルスの広がりが中国で収まらなければ、エネルギー価格は更に下落することも十分考えられ、ルーブル相場が円に対して下落をすれば、資産の一部をルーブルに分散することは効果的な分散投資と言えるのではないか。

成田から2時間少しで飛べる距離にはロシアのウラジオストックがあり、日本人でも銀行口座開設はでき、定期預金金利も高いのだから。

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