トランプ大統領落選の可能性は?
アメリカでは新型コロナのパンデミックが未だ収まらず、約2,000万人が職を失うリセッションに見舞われ、警察の暴力に反対するデモが続いている。
最近の世論調査はほぼ全て、11月大統領選での現職トランプ氏の落選の可能性を示唆している。実際のところトランプ氏がにオクラホマ州で開いた集会には空席が目立ち、支持層の離散も続いてる様子も見て取れる。
バイデン前副大統領はリード中
リアルクリアポリティクスによる各種世論調査の平均では、民主党のバイデン前副大統領のトランプ氏に対するリードは9.5ポイントに拡大し、ファイブサーティーエイト・ドット・コムの同様の調査平均でもバイデン氏が9.2ポイントリードし、全ての激戦州で優位に立っている。
ギャラップが今月10日に発表した調査では、トランプ氏の支持率は10ポイント低下して39%まで低下した。現時点で大統領選の基本的な構図を見ると、カーター、ブッシュ(父)両氏の領域まで支持率が低下しており、2人はいずれも再選を果たせなかった。
2016年の選挙戦では幾多の危機を乗り越えたトランプ氏だが、現職大統領が選挙半年前の劣勢を挽回するのは歴史的にみて厳しい。トランプ陣営のベテラン選挙関係者、共和・民主両党の戦略担当者、独立系の経済予測専門家も、現段階で選挙を実施すれば、トランプ氏は極めて厳しいだろうと声をそろえる。
もしトランプ大統領が落選した場合、株価、世界経済、金融市場にどのような影響を及ぼすだろうか?
アジア諸国:トランプ大統領が落選すれば地域全域が安堵する
韓国、日本とオーストラリアなど他のアジアの同盟国も、アメリカが過去より自国を守る意志と能力がみな落ちていることを憂慮している。
加えて、中国が経済的、軍事的影響力を隣国に対して次第に攻撃的な方法で行使するにしたがって、このような憂慮は警戒心に変わってきている。アジアの同盟各国は、もし今年11月の大統領選でトランプ大統領が落選すれば、地域全域が安堵することになるだろう。
フランスではデジタルサービス課税が米企業に対して強化される
フランスは昨年7月、デジタルサービス課税を施行して、世界で7億5千万ユーロを超える売上高を持つ大企業に、その3%を徴税すると決めていた。対象とされた27社のうち17社が米国企業で、フランス企業は1社だけだった。
トランプ大統領はこれに反発し昨年12月初めに、フランスのデジタルサービス税を米企業への不当な差別税制と決め付け、翌月にも対抗措置として24億ドル分のフランス製品63品目に報復関税を課すと警告した。
そのリストには、スパークリングワイン、チーズ、ハンドバッグなど国際競争力の高いフランス製品が目白押しになっていた。バイデン候補が大統領に当選すれば、妥協点が模索され、米大手IT企業への課税が進むことになり、株式市場への影響も考慮する必要がある。
アメリカ史上初の女性副大統領誕生
11月の選挙でバイデン候補が現職のトランプ大統領に勝てば、アメリカ史上初の女性副大統領の誕生となるだろう。さらに、その歴史的快挙が実現すれば、より大きな変革への扉も開かれ、人種差別問題への対応も様々取られることになるだろう。
今回の選挙で女性副大統領が誕生すれば、その後、アメリカ初の女性大統領が誕生する可能性が非常に高まることになる。このため、いま候補者選びが全米で大きな注目を集めている。
そしてバイデン候補は現職の「トランプ・ペンス」コンビに対抗する副大統領候補の選定作業を加速し、黒人暴行死事件で全米に高まる抗議デモを背景に、候補は黒人女性4人に絞られたようだ。これにより将来、アメリカ初の女性大統領は黒人となる可能性が一気に高くなったわけだ。
トランプ大統領落選で株価はどうなる?
バイデン氏の勝利は政策の左旋回を意味する。同氏がどれぐらい投資資本に友好的でないかについて市場は過小評価しており、トランプ大統領落選した場合、秋以降の株価の調整には注意を払う必要がある。
市場が懸念すべきことは税制改革であり、バイデン氏は、法人税率は現行の21%から28%に引き上げると主張しており、企業業績にも直接影響を及ぼす。年収40万ドル未満の誰も増税しないとも述べており、これは富裕層への増税を示唆している。特に法人税率引き上げはトランプ減税の巻き戻しであり、本当に実行すれば株式相場の急激な調整は避けられない。
シカゴ市場のS&P500種株価指数オプションの12月物の建玉をみると、2000のプット(売る権利)が5万8000枚あまりと2500に次いで価格別で2番目に大きくなっている。6月3日の終値は3122.87だから3割以上もの下落を見込んでいることになる。
これは分散投資方法として行う価値はある。バイデン氏の支持率上昇が続けば、同氏の当選に身構える投資家がさらに増えることにより、株価下落リスクは増すことになる。AI TRUSTとしても過剰流動性相場の株式市場の下落は秋に来ると予想しており、このあたりの詳細については改めて特集記事を掲載するので期待して欲しい。
https://ai-trust.info/usa-china5/
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