政治混乱

【陰謀説】Qアノンがなぜ広がるのか?

今回は世界中に広がりつつある陰謀説、Qアノンについてまとめてみました。

Qアノンとは?

Qアノン(キューアノン、英: QAnon、発音: [ˌkjuːəˈnɒn])とは、Wikipediaによると、アメリカの極右が提唱している陰謀論およびインターネット・ミームである。

この陰謀論では、アメリカ合衆国連邦政府を裏で牛耳っており、世界規模の児童売春組織を運営している悪魔崇拝者・小児性愛者の秘密結社が存在し、ドナルド・トランプはその秘密結社と戦っている英雄であるとされているが、主要メディアによれば、どの部分をとっても証拠がない「完全に事実無根」のデマと報じられている。この陰謀論で仮定されている秘密結社は、一般的にカバール(英語版)(英: Cabal、直訳すると陰謀団という意味)やディープ・ステート(英: Deep State、影の政府)と呼ばれている。

この陰謀論の信奉者は、リベラルなハリウッド俳優や民主党の政治家、および政府高官の大多数をその秘密結社のメンバーであるとして非難しており、トランプが計画している「嵐」(英: The Storm)と呼ばれる報復の日には、秘密結社のメンバーが大量に逮捕されると信じている。また彼らは、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロスによるクーデターを阻止するために、トランプはロシア人との共謀を装ってロバート・モラーに児童売春組織の存在を暴露し、彼に協力を仰いだと主張している。「Q」というのは、トランプ政権とその反対派に関する米国内の機密情報にアクセスできる「Qクリアランス」の権限を持つ政府高官という意味である。

日本でも広がるQアノン

日本のQアノンのコミュニティーもFacebookやTwitterで広がりをみせています。米国の本家と同様、トランプ大統領が民主党員や「ディープステート(闇の政府)」構成員を含む小児性愛者らの陰謀から世界を守るために闘っていると根拠なく信じています。

公式会員がいないQアノンの信奉者数を推計するのは難しいですが、グーグル・トレンドのデータからは、日本でのQアノンへの関心は3月下旬から4月上旬にかけて急上昇したことが示されています。ツイッターとフェイスブックは、コンテンツに対する警告から特定の投稿の削除など、問題ある投稿の拡散防止に取り組んでいますが、変化の早さに追いつかない状況です。

Qアノンではどのような陰謀説が広がっているのか?

日本のQアノンではどのような陰謀説が広がっているのか、いくつかを挙げてみます。

・出産適齢期の20代の女性が子供を産み育てることに集中できないようにさせ、日本という国を最終的に滅びさせようとしている陰謀説

・首相を含む日本の政財界のエリートは日本人を搾取し、最終的に根絶やしにしようと企む外国人だという根拠のない陰謀説

・菅義偉首相の初期の高い支持率はマスコミによって捏造されたものだと証拠なしに示唆している陰謀説

・大ヒット映画「鬼滅の刃」にも言及しています。鬼が人間を食べる設定などは、小児性愛と食人に関するQアノンの主張を人々に浸透させる狙いがあるという陰謀説

日本では若い世代でのQアノンの浸透が広がっているようで、日本でのトランプ支持層が若年層の方が高いというのも共通しています。

Qアノンの広がりによるリスクは?

Qアノンの陰謀論が政治の主流になっていけば、アメリカでは暴力やテロに発展するかもしれません。Qアノンは、民主党とハリウッドの幹部すべてを殺せと呼び掛けています。彼らはみんな小児性愛者で子どもを密売している、というのがQアノンの主張だからです。民主党とハリウッドの幹部というだけで、アメリカのQアノン信者からすればみな悪魔なのです。

日本で同様の主張が広がり、暴力、テロが広がるとは考えにくいですが、二極化された社会への不満というのは、若年層ほど大きくあるでしょうから、中長期的な日本の将来という意味では大きな不安要因となります。

そしてQアノンの世界的な広がりは、新型コロナウイルスのワクチンが実用化されても接種する人が減るなどの結果を現実の世界にもたらしかねません。新しいワクチンには強烈な副作用が隠されているとか、有色人種には死をもたらすとか、邪悪な陰謀説が広がれば、多くの人がワクチン接種を拒むことになり、結果的に新型コロナの収まりには、より長い時間がかかることになりかねません。

新型コロナ禍により、様々な二極化が広がり、職を失う、給与が大きく下がるなど、先行きが見えない未来への不満、不安も高まる中で、特に若年層の行き場のない感情が陰謀説でさらに高まった時、今の金融資本主義の根本を揺るがすものになる可能性もあります。

アメリカでの広がりもそうですが、日本での広がりについても慎重にみておく必要があります。AI TRUSTでも定期的に取り上げていこうと思います。