相場にも季節があります
1年間の中で、マーケット(相場)は色々な顔色を見せてくれます。もちろん今回のようなコロナ禍のように、突発的な内容はありますが、それをさらに一回り大きく包み込んでいるのが普段のアノマリーです。
アノマリーとは、少し表現がむずかいしいですが、例えば以前記載した、満月や新月でマーケットの流れが変わったり、節分天井、彼岸底などといった内容をさします。このようなアノマリーを投資家は非常に意識しており、そこで売買の流れが変わるので季節ごとに覚えておく必要があります。
満月・新月アノマリーとは?
今回は、7月8月に起こる夏枯れ相場について説明します。そして、その後に待っている大統領選を考慮したマーケットの動きも模索してみたいと考えていますので、どうぞお付き合いください。
取引量減少、夏枯れ相場
相場の1年の中で最も取引量が減少するのが、これから来る7月、8月です。取引量が少ない=枯れている状態を意味し、「夏枯れ相場」と言われています。
このような夏枯れ相場のときには、取引量が少ないために一方向に相場は動きやすくなるので注意が必要です。
もちろんそれを狙っての取引を行うという考え方もありますので、一概に良い悪いとの判断はむずかしいですが、そのような状態にあるという認識の元で行うか行わないかでは、結果が大きく違ってきます。
リスクを理解している、していないという意味でもありますね。
株は5月に売れ(セル・イン・メイ)とは
5月になると、セルインメイなどという言葉が飛び交うのをご存知でしょうか。これは、株は5月に売れという意味なのですが、もし持っている株があれば売却しておいた方がいいかもというニュアンスです。
理由は、夏枯れ相場とリンクしますが、7月8月の薄商いの中で、下落をする傾向があるのであれば、5月6月付近で一旦手仕舞いをするというのも、ゆったりとしたスパンの投資であれば、ありといえます。
もちろん、これは絶対ではありません。2020年は5月6月で日本株、米株ともに大きく戻しています。ですので、セルインメイ&夏枯れ相場を意識するとそろそろ手仕舞いの売りが入ってもおかしくないという、大局です。
目先で見れば、新型コロナウィルス第二波懸念の暴落!とニュースでは、読み解くことも可能ですが、そういった場合は、さらに一回り大きく包んでいる毎年起こりやすい現象を季節、季節で振り返るのも重要です。
過去データ検証、8月と年末の株価
日経平均の過去データは興味深いものがあります。
下記画像をご覧ください。2016年~2019年までで、青色縦線8月付近と赤色縦線年末(年始)にご注目ください。
日経平均の値です。
2016年:上昇
2017年:上昇
2018年:下落
2019年:上昇
過去4年で見ると3上昇、1下落で、夏枯れ後に年末に向けて上昇の傾向にあることが見て捉えられます。さらにさかのぼると12年上昇、13年上昇、14年上昇、15年は12月中旬まで上昇そこから下落となっています。かなりの割合で、夏から年末にかけて上昇傾向の割合が高いということです。
そして、現時点で上昇にあった日経平均がやや下降気味になっていますし、コロナ禍での第二波懸念や経済悪化もありますので、ある程度の調整があると見られます。
そこからの盛り返しもですが、その調整が3月の下落を下回らない場合、大きく年末に向けて上昇する可能性が夏枯れ後からも見られますが、それ以外にも大きな要因があります。
2020年は米国大統領選
2020年11月3日に米国大統領選があります。7月上旬の現時点でトランプ大統領がどのメディアでも劣勢と伝えられています。
これは、米国の新型コロナウィルスの拡大や人種差別問題の対応によるものともいわれていますが、これからもトランプ氏、バイデン氏の間であらゆる報道が出るでしょう。ただ最終的に11月に決着は着くことは確かです。
この11月、年末に向けて夏枯れ相場から米大統領選の結果も含めた大きな動きはあるのは、例年よりも高いと考えられるのではないでしょうか。
気になる点、3月の大暴落
少し気になるのが、前例のない大暴落が2020年3月にあったことです。サーキットブレイカー制度といって、株式市場の大暴落に歯止めがかからない時に発動する制度が何度も発動しました。
それほど売りが売りを呼び、株式市場は大きく下落をしました。これは、目に見えない新型コロナウィルスの恐怖を皮切りに、今まで溜まっていた上昇パワーをかき消す力が働きましたが、今回来るであろう夏枯れ相場時の調整は、「3月の安値を抜けるか」が重要なポイントとなります。
仮に抜けない程度の調整であればさらに高値を更新していく動きも考えられます。もちろん世界経済の低迷は頭に入れておくべきですが、最近の株式市場は、金融政策の影響もあって、実体経済との乖離状態であることも意識しておきたいところです。
投資は、過去のデータがいくら揃っていても、いつもと違う動きをする場合がありますので、あくまでも確率論で今回の夏枯れ相場と向き合って見てはいかがでしょうか。
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