経済ビジネス

ソフトバンクGの悪夢を振り返る

ソフトバンク悪夢

ジェットコースターのような株価

2020年2月中旬の6,000円弱の高値から3月23日には2,660円と半値以下まで急落し、その後、2.5兆円の自社株買いを行うことを孫正義CEOが記者会見し、連日記録的な株価上昇となり、3月25日午前の時点では3,926円をつけている。23日の安値からは既に50%近い上昇となった。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、SBGが一時、非上場化を検討していたが、計画はすでに白紙になったと報じたと。

そして、同日、SBGが大きく投資を行うシェアオフィス大手「Wework(ウィーワーク)」を運営する米ウィーカンパニーの社債利回りは大幅に上昇している。新型コロナウイルスの感染拡大を受け手二大拠点のカリフォルニア州やニューヨーク州で外出制限が相次ぎ発表され、利用収入の急減が懸念されている。

市場で社債の売りが増え、利回りは一時36%に上昇した。社債による資金調達は困難で、資金繰り懸念が一段と強まっている。

ソフトバンクGの悪夢を振り返る

日々予断を許さない状況が続くSBGだが、2019年に何が起こっていたのか?
時系列的に振り返ってみたい。

2019年4月:Wagがレイオフ

ビジョン・ファンドが3億ドル投資を行った犬の散歩代行サービスのスタートアップのWagでは2019年4月にレイオフの第2ラウンドを実行した。2019年秋にはSBGが出資を引き上げたが、出資当初の価格より大幅に回収額は下回った模様

2019年5月:UberのIPOは低調

Uber(ウーバー)はIPOでの仮条件を1株当たり44〜50ドルに設定後、レンジの押し上げに失敗し、IPO価格は45ドルとなった。時価総額は754億6,000万ドルで、SBGの期待よりもはるかに低かった。

上場後に株価は下落、3月24日の終値は26.39ドルであり、時価総額にして約454億ドルである。SBGが投資した時のUberのバリュエーションは480億ドルと700億ドルであり、現在は大きな含み損を抱えている状態にある。

2019年6月:Brandlessに新しいCEOが就任するも

SBGの出資するBrandlessは2019年3月にCEOの更迭を行った。長期間にわたるCEOの不在とそれが示す経営幹部を巡る混乱はBrandlessにとって良いニュースではなかった。SBGはBrandlessの持ち分40%を2億4,000万ドルで取得し、ビジョン・ファンドも1億ドルを投資している。

Wall Street Journalによれば、Brandlessの8月時点の販売量は、前年同期に比べ約半分減少したと報道されている。そして2020年2月にはBrandlessは完全廃業に至り、3億4,000万ドルは紙くずとなった。

2019年8月〜10月:WeWorkが上場申請後、空中分解

ウィーワークが2019年第3四半期と第4四半期に空中分解した。同社の上場申請は大混乱を引き起こし、経営陣は対立した。ウィーワークの不動産ビジネスは過大評価されており、投資家は多額の資金を失った。

SBGは、WeWork(ウィーワーク)のIPOを撤回して巨額の損失を被った後、同社を救済し再生に取り組んでいる。しかし、新型コロナ蔓延の影響で主要拠点での利用者は急減し、社債利回りは35%を超え、新規の社債発行は不可能であり、急速な資金繰りの悪化が懸念されている。

2019年9月:Compassでは複数の役員が出資後逃げ出した

SBGの投資先で、これまで10億ドル以上を調達したスタートアップのCompassではSBGの出資後、複数の役員が会社を辞めている。Crunchbase Newsでは「ソフトバンクが支援する不動産スタートアップ、Compassの役員が脱出」と要約しているが、自分たちの株をSBGに売り抜けるだけが目的だったのではないか? SBGにとってはババを掴まされた格好か。

2019年10月:Fairがレイオフ

FairはSBGなどから5億ドルを調達後には12億ドルのバリュエーションがつくユニコーン企業だった。しかし業績は低迷し、10月にはスタッフの40%を解雇し、CEOも解任された。

2019年12月:Katerraがレイオフ

SBGが900億円を投資するモジュール式建設のスタートアップであるKaterraは2019年に何度かレイオフを実施し、12月にも200人の削減と工場閉鎖を決定した。

2019年12月:OneConnectのIPOが低調

OneConnectは中国に拠点を置き、銀行にテクノロジーを提供する会社でSBGが投資している。12月のIPOの仮条件は1株あたり12ドル〜14ドルだったが、IPO価格は10ドルとなった。公開後の時価総額は、37〜38億ドルとなった。ビジョン・ファンドが巨額投資した際の評価額の74億5,000万ドルから大幅に下がり、SBGは大きな含み損を抱えることになった。

2020年1月:OYO

OYOに対してSBGは強力に支援を行っているが、OYOは各国で多くの訴訟を抱え問題が広がっている。新型コロナ蔓延によるホテル稼働率の低下は更に新たな問題を巻き起こすことになり、SBGにとっては第二のウィーワークといえる存在かもしれない。

2020年1月:Zume Pizzaがレイオフ

Zumeは、ビジョン・ファンドから3億7,500万ドルを調達したにもかかわらず、既にスタッフの80%を削減し、SBGのポートフォリオ企業で最も失望をもたらす1社となる可能性が高い。

引き続きSBG,ビジョンファンドの出資先への注意が必要

SBGの各企業への出資はあまりに早急で、そして評価額が信じられないほど高すぎた。多くの企業は評価額と実態が程遠く、今後もSBGにマイナスのインパクトを与えるニュースをもたらす可能性が高い。

しかし、アリババの成功があったように、投資先の数社が大きく成長をすることで、投資額全てを取り返した上で、大きな見返りをもたらすかもしれない。

新型コロナ蔓延という逆境が吹く中で、巨額な自社株買いという博打とも思える策に出ている孫正義CEOの今後の動きには目が離せない。

また、この後の状況については今後もAI TRUST編集部として、何処よりも早く大切なヒントを皆さんにお伝えし続けていく。この点にも是非期待してほしい。

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ABOUT ME
【AI TRUST編集部】山田
【AI TRUST編集部】山田
AI TRUST編集部の大泉です。過去には、日経225のソフト開発などにも関わり、個人でもデイトレードを行なっており、株式のプロフェッショナル。また、日々トレードで経済についても分析しており、経済アナリストとしても活躍中。
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