経済ビジネス

【スマート農業の進化】農作物工場の可能性は?

スマート農業の進化

スマート農業というと、AIやIOT、センサー、ロボット、ドローンなどを駆使して、従来からある農業を省力化し、収益アップを図るものというイメージがあるかと思います。しかし、日本でも導入が進んでいる効率的で未来的な農業のもうひとつの方法として植物工場があります。

植物工場とは、光源にLEDを使い、土に代わって培養液を採用し、温度や湿度、空調などすべてが管理された環境のなかで農産物を育てるという仕組みで、随所に最新の技術がつぎ込まれています。今日は植物、農作物工場の今後の可能性について考えてみたいと思います。

植物工場は農業ではなく工業

植物工場というのは日本独自の用語で、明確な定義は日本では存在しません。英語ではプラントファクトリーと呼ばれ、主に人工光を使った工場のことを指します。温度や湿度、炭酸ガスなどを、複数のセンサーを使ってモニタリングし、それらの値を制御することで、1年中季節や気候を問わず農産物を収穫する周年生産に近いシステムになっています。

植物工場最大のメリットは、この周年生産にあります。それを実現するために、自然条件を人工的に管理し、必要な農産物の収量を収穫することが最大のミッションとなっています。収穫するのは農産物なわけですが、この植物工場というビジネスは、厳密には農業ではなく、工業に近いジャンルなのです。

植物工場はというと、土の代わりとなるさまざまな素材を用いたり、水をメインとした水耕栽培など、必ずしも土を使って育てていないケースも多く見られます。なぜかというと、栄養素などを豊富に含んだ土を使うことは、植物の生育に有利になる反面、虫や微生物による植物自体への被害も考えられ、生育環境の厳しい管理が求められる植物工場においては、それが不確定要素になってしまうからなのです。それゆえに、周年栽培で常に一定の収量を予測するためには、土を使わない方が都合が良いことになります。

植物工場における光源

植物は太陽の光と二酸化炭素を結びつける光合成によって生育します。植物工場には自然の太陽光を用いる太陽光利用型と、蛍光灯やLEDライトなどを用いる完全人工光型の2種類の方式があります。太陽光利用型は、オランダの大規模ハウス栽培などで用いられています。ヨーロッパは日照がもともと弱いので、ハウスの天井部に補助光を置き、太陽光とともに光をまかなう方式などもあります。この太陽光利用型では、室内の温度や湿度が細かく変化するので、ICT機器による詳細な制御が必須になります。

一方、完全人工光型は日本で多く実施されている方式で、温度、湿度はほぼ一定で、変化するファクターが少ないため、環境が安定しています。制御すべき項目も光の強さと波長、炭酸ガスなどそれほど多くはないため、管理しやすいと言えます。

植物工場でできる野菜は?

現在植物工場で栽培されている野菜は、レタスに関してはノウハウが非常に成熟してきています。国内で稼働している植物工場の9割以上はリーフレタスで、残り1割がハーブやベビーリーフなどとなっています。そして最近はミニトマトを中心としたトマトの工場も増えています。

植物工場の現在の規模、収支は?

国内の植物工場は、太陽光型が200カ所、完全人工光型が200カ所くらいです。そのうち70%程度は赤字で、軌道に乗っているのは30%くらいと言われています。ただしこれらはLEDメーカー、センサーメーカー、自社の実証プラントで検証やPRのために運用しているモデルハウスのようなものであり、一般的な植物工場の収支均衡ラインと言われる1日3000株以上、5年以上稼働している植物工場に限定すれば、80%以上は黒字になっているといいます。農業ビジネスとして稼働しているところだけを見れば、安定運用されるようになってきているのです。

植物工場の運用コストはどれくらい?

黒字化が可能であれば、植物工場がさらに普及していく可能性は高いと考えられます。では、そのコストはどれくらいなのか、完全人工光型の場合で考えてみましょう。

リーフレタスを1日1000株生産する場合、棚のようなかたちで施設内の空間を縦に使用しますが、成長したレタスにあまり高さは必要ないので、一般的な室内の天井高で問題ありません。ですから、立地としては空き工場や倉庫などが使えることになります。

空き施設を再利用する場合、施設高は2.5~3メートル弱で、リーフレタスの場合は5段くらいを積み上げて栽培します。上記のような空き施設を再利用しながら、生育のための設備を導入するとしたら、だいたい6000万〜7000万円くらいの費用だそうです。建物外部の気温の影響を受けにくくするための断熱パネルや、環境制御のための空調を入れるといった改修費用が2000万〜3000万円くらい。合計で8000万〜1億円弱くらいで植物工場を作れることになります。ただしこれは個人が起業する、企業が新規参入するには高いハードルです。しかしここには様々な補助金も用意されています。

植物工場に関する補助金は?

これほどのイニシャルコストがかかるとなると、大企業やよほどの資金がある農業法人以外は手が出せないことになります。しかし、国側としても様々な補助金などを用意しています。過去には、グローバルな農商工連携に関する経済産業省の補助金で、1年間で1億円くらい支援されることもありました。

以前よりも金額は少なくなりましたが、現在でも似たような補助プランもあります。その他、各自治体による工業誘致支援などでは、数億円の補助支援を行う地域もありますので、興味があれば、これらについてはより詳しい情報を専用サイトで調べてみてください。

個人が関われる可能性は?

植物工場のクラウドファンディングは既にありますし、今後はますます増えることが考えられます。お金として戻るタイプと、農作物が送られてくるパターンに分かれるようです。自宅で水耕栽培を行うというのも、趣味のいっかんとして、子供達の教育という面からも良いかもしれません。食料自給率の低い日本にとって、農業の進化は非常に重要な課題ですので、今後も定期的にAI TRUSTでは記事化をしていきたいと思います。

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日本を代表する投資家兼実業家でもあり、グローバル・チーフ・ストラテジストとして活躍中。
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